【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

本編

ヒーローは遅れてやってくる

結婚式が終わる。

いい式だった。

あんなふうにみんなの前で言ってくれて、嬉しかった。

私、これからどうしようかしら。

「あら…、キャサリン様よ。」
「おかわいそうに。」
「石女らしいですわ。でも良かったのではないかしら。あのような男の子がいなくて。再婚もしやすいでしょう?」
「あら、再婚でも後妻じゃないと。」
「実家にも戻れず災難ですわね。」

学生時代、勝てなかったから、今、マウントをとりたいのだわ。

皆がパーティーで談笑する中、
アレクサンドラから離れたすきに、絡まれる。

…だまって、やり過ごそう。

「キャサリン様ですか?」


後ろから知らない男性の声。

黒髪の凛々しい殿方。
黒のスーツを着ている。

「初めまして。クリスの兄です。弟の晴れ舞台というのに仕事で遅れてしまって。」

甥を助けて下さってありがとうございました。

その方は、私の手を引いて、その場から連れ出しながら、そう言って下さったのでした。