【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

本編

結婚式

本日は晴天なり。


王位継承権のある公爵の結婚式。
しかも、１歳になる嫡男のお披露目も兼ねているということで、
この日ばかりは殆どの貴族が会場に駆けつけていた。



「きれいよ、クリス。」

「お兄さま綺麗！」
「素敵ですわ。」


花嫁の控室には、お母さまとケイト。キャサリンとアレクサンドラ。それに、アリス。


「まま、ままー！」

「そっか、お母さまきれいか。それはよかった。アリスもカッコいいぞ！」

　アリスは、真っ白なスーツに、布で作った白い花を胸にあしらって王子さまみたいだ。


「じゃあ、行こうか。」





会場がはっとなる。

教会の扉が開き、現れた花嫁。

刺繍がふんだんにあしらわれた濃青のローブは金糸で縁取られ、深いスリットから覗く白のズボンから先は、合わせてあしらえた靴。

しなやかな腰には金のベルト。
細身の愛用の剣を２本ぶら下げ。

艶やかな黒髪は片方を耳に掛け、サファイアで飾り、サファイアのイヤリングとネックレス。

そして、薄いヴェールをマントのように靡かせて。

こんなに美しく、華やかで、色香もあり、凛々しい花嫁が、今までいただろうか。


花嫁にみとれていた者たちが、キャサリンに気付き、騒ぎ始めた。


ヴァージンロードを立ち止まり、クリスが睨む。

クリスらしいな。

「キャサリンが守ってくれなければ、アリスは今日ここにいなかった。彼女は命の恩人で大切な友人だ。彼女を蔑む行為はやめてもらいたい。」

会場がしんとなる。

ここまでこの場で言えば、あとは大丈夫だろう。


友人を助けたクリスを神の前で迎える。


揃いの指輪をつけ、ヴェールをあげ、口付けを。


王位継承権のある麗しい公爵と、強い武人であり、美しい妻。

二人に幸ありますように。