【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

本編

ブライズメイド

「ごきげんよう、キャサリン、アレクサンドラ。」


ブライト伯爵の家に行くと、出迎えてくれた。


「ごきげんよう。」


「キャサリン、本当にありがとう。君がいなかったら、間に合わなかったかもしれない。みんな、感謝しているよ。」


「本当に、よかったですわ。」
笑顔だが、元気がない。


「お茶にしましょう。こちらへ。運ばせますわ。」
アレクサンドラは、彼女の周りで遊ぶ子どもを抱っこして、バラ園にあるテラスへ案内してくれた。
アリスより少しお兄さんかな。
いずれ、一緒に遊ぶ仲になるんだろう。



「キャサリン…。これから、君はどうしたい？」


人払いをした後、俺は尋ねる。


「…修道院へ行くか、働きに市井へ出るか、いずれにしても独り立ちしようと思っています。」

もう、結婚なんてうんざり。
それに、私なんて…。


「そっか。」

彼女の意思は尊重したい。
でも、彼女には幸せになってもらいたい。

せめて…。



「急なんだけど、来週、俺、結婚式することになって。」
キャサリンとアレクサンドラに招待状を渡す。

「まだ、ぜんぜん、準備始めたところで何も決まってないんだけど、二人には来てほしいと思って。
それで…。よかったらさ。」

キャサリンに俺の妹と一緒にブライズメイドやってもらいたいなって…。


「えっ…。いいんですか。私…、あの人の妻だった女ですよ。こうして、まだ友達でいられるのも…。
よくないって思っていましたのに。」


「いいんだよ。俺たち、キャサリンがアリスの命の恩人だって、大切な友達なんだってみんなに知ってもらいたいんだ。だから、キャサリンがこれからどこへ行っても、ずっと友達でいて。いつでも遊びに来て。ね？」

手をとって、見つめると。
いつもクールなキャサリンの瞳から、ぽろっと真珠のような涙がおちた。

「私もいつまでもお友達よ。それはずっと変わりませんからね。」


アレクサンドラも含めて３人で、なんだか俺も一緒にわあわあ泣いていた。