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発情

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「ああっ、はっ、くるし………」

顔が赤い。
潤んだ瞳。赤い唇が扇情的に誘う。

甘い、甘い。強い香り。


アルファの雄を引き寄せる。

子を孕むためのオメガの本能。


「大丈夫、大丈夫ですよ。」


この時間はまだレイは来ないし、グレイスを頼れない。

でも、だから、良かった。



「嫌がること、しません。」


「でもっ、はるともっ」

自室のベッドに転がされる。

部屋には鍵。


大翔だってアルファなのだ。あてられて、辛そうなのに。
玉のように汗が流れて。
あそこも主張している。


「前世の記憶があるから、男は嫌でしょう? それに、女神が定めた運命があるなら、番は俺じゃありません。」


息を吐いて、勢いよく果物ナイフを太ももに突き刺す。

「くっ……。」


「はる!」


「今は治さないで。このくらいは大丈夫、頭が醒めました。」


「はると。はると。」

そんなに想ってくれるなら、いいんだよ。

ヒートでおかしくなっているのかもしれないけど、後で後悔しないって思う。


「大丈夫、レイなら我慢できないだろうけど、俺は大丈夫。ヤラなくても、出せばよくなるから。」

「はあっ………!」


衣服の前を寛がせて、ソレを口に含んだ。


「やっ! きた、きたないからあ!」


「コレなら少しだけど、アルファの唾液も皮膚から摂取できるから。」


「ああ、あ、あああぁっ!!」

上手い、ああ、どうしよう、でるっ。

そりゃあちゃんと娼妓をしてたんだから、上手いよな。


ごくん。


俺の上で、股に顔を埋めていた大翔が、飲み込んで顔をあげる。

「少し、良くなったみたいですね。よかった。」

口の端からこぼれた俺の白が、黒い髪と瞳に映えて、艶がある。


「やだ。ほしい。アルファの……」



「えっ。」

大翔を逆に転がして、彼のものを今度は含んだ。

「ちょうだい。」


おれものむ。




落ちついて、何があったか知ったレイは悔しがったけど、レイだと最後までいただかれてた気がする。

女の子に生まれ変わったようなものなのは分かっているけど、一ノ瀬に引き摺られて、まだ処女を捨てる勇気がないんだ。

ごめんね。


兄上は、めちゃくちゃ大翔を褒めて、太ももの手当をしてくれた。



大翔は優しい。

罪の意識だと思う。


俺のこと、好きなわけじゃない。



くそ。
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