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所詮オメガ
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四方を他国に囲まれたこの国。
逃げ場はなく、水源も航路も陸路も他国に生命線を握られている。
他国から資源を入手し、加工改良を加えて売る、そういった産業が主流。
品物が売れたとしても、原材料は他から入手しているのだから、原価は高い。
民に入るお金は、想像より少ない。
それなのに、税金でもっていかれたら辛いだろう。
技術で売るなら技術者には高い給料が必要。そうでなければ、他国にとられる。人を大事にし、周りと上手くやって立ち回らなくては、この国は潰れるのだ。
あの叔父に王の器はない。
大局を見られない男は、民から税金をとることしか考えられない。
投資的思考も福祉の考えもない。
血筋で宰相をしていただけで、実際は俺の親と国務大臣がまわしていた。
今はグリーンの父親がなんとかしてるんだろうけど、早くあいつをザマァしなければ。
「証拠、証拠………。」
手分けして、大翔と帳簿を調べる。
グリーンが見つけられなかったわけだ。巧妙すぎる。
「………ん?」
「どうした、大翔。」
「これ見てください。」
見ると、大怪我のときに使う痛めどめが、大量に購入されている。
一年前。
両親の体調が少しずつ悪くなり始めた頃だ。
「この痛めどめですが、成分は麻薬と似たようなものなんですよ。現世でも少量の麻薬を痛めどめに使いますからね。」
「騎士団へ納品になっているな?」
「それがおかしいです。こんな大量の薬物が必要なほど、大きな戦いも事故も事件もない。こんなに補充する必要なんて、ない。」
「さすが元敏腕記者。裏の一つはレイからとるとして、購入先も洗いたいな。」
たぶん、これが両親に漏られた 毒。
「顔の効く商会の長をたらしこみましょう。」
コンコン。
「ベネちゃん。また、あれが来てるのよ。なんとかしてちょうだい。営業妨害だわ!」
おかみさんの声。
「ベネディクト、久しぶりだな。」
「ごぶさたしております。」
ヘラヘラニヤニヤ気持ち悪い!
兄上にしたことも忘れてないんだからな!
この近親相姦変態男が!
ちょん切ってやろうか!
「まあ、私も仕方なかったのだ。国民の声もある。処罰しないわけにはな。」
白々しい。
「最近、この店は閨だけを売りにしていないと聞くが。」
「ええ、チェスの相手や歌や踊り。絵のモデル。それら目当てのお方もいらっしゃいますね。あとは、お食事でしょうか。」
俺と大翔の前世の知識で、メイド喫茶作ったからな。
ハンバーガー、ピッツァ、オムライスにカレーライスと軽食だけど、美味しいし、かわいい子がかわいい格好で給仕してくれて、美味しくなあれって魔法かけてくれて、オプションではい、アーンってしてくれるのだ。萌える。
「お茶くらいはいいだろう。おまえの母親の形見が出てきたから、渡したくてな。」
そういって、見せられたのは、銀細工の髪飾り。
おかあさま……。
「いいですよ、少しなら。でも、ハイあ~んはしませんからね。」
「いいとも。」
叔父は気味が悪いくらい普通で、お茶を。
ん?
何だ
なんでっ………
「大丈夫か?ベネディクト。」
クソっ。ケダモノめ。
顔に出てるぞ。
抑制剤を打ち消す程の、酷い誘発剤。
久しぶりの酷いヒート。
「ふふふ、所詮オメガ。一応、私もアルファだよ。ほしいのだろう、種が。子が孕みたくて、奥がキュンキュンしているのだろう!?」
ちくしょう!
「ベネディクトさま!」
大翔が駆けつける。
「おかみさん!ベネディクトは病気です。風邪かもしれません。王様、今日は申し訳ありません。大事な御身体に風邪をうつすわけにはまいりませんので、これで!」
「あらたいへんだわ、じゃあすみませんね、おおさま!(棒読み)」
「あっ、えと、ちょ。」
ポイッと王を追い出す。
「あ、ああ、あ」
ベネディクトの顔は赤い。
「困ったわ、これじゃ今から薬はきかないわ。」
チラッと見ると、大翔の顔も赤い。
ヒートにあてられているのね。
「頼めるかしら、ハルト。」
「わかりました。俺はベネディクト様のものですから。」
逃げ場はなく、水源も航路も陸路も他国に生命線を握られている。
他国から資源を入手し、加工改良を加えて売る、そういった産業が主流。
品物が売れたとしても、原材料は他から入手しているのだから、原価は高い。
民に入るお金は、想像より少ない。
それなのに、税金でもっていかれたら辛いだろう。
技術で売るなら技術者には高い給料が必要。そうでなければ、他国にとられる。人を大事にし、周りと上手くやって立ち回らなくては、この国は潰れるのだ。
あの叔父に王の器はない。
大局を見られない男は、民から税金をとることしか考えられない。
投資的思考も福祉の考えもない。
血筋で宰相をしていただけで、実際は俺の親と国務大臣がまわしていた。
今はグリーンの父親がなんとかしてるんだろうけど、早くあいつをザマァしなければ。
「証拠、証拠………。」
手分けして、大翔と帳簿を調べる。
グリーンが見つけられなかったわけだ。巧妙すぎる。
「………ん?」
「どうした、大翔。」
「これ見てください。」
見ると、大怪我のときに使う痛めどめが、大量に購入されている。
一年前。
両親の体調が少しずつ悪くなり始めた頃だ。
「この痛めどめですが、成分は麻薬と似たようなものなんですよ。現世でも少量の麻薬を痛めどめに使いますからね。」
「騎士団へ納品になっているな?」
「それがおかしいです。こんな大量の薬物が必要なほど、大きな戦いも事故も事件もない。こんなに補充する必要なんて、ない。」
「さすが元敏腕記者。裏の一つはレイからとるとして、購入先も洗いたいな。」
たぶん、これが両親に漏られた 毒。
「顔の効く商会の長をたらしこみましょう。」
コンコン。
「ベネちゃん。また、あれが来てるのよ。なんとかしてちょうだい。営業妨害だわ!」
おかみさんの声。
「ベネディクト、久しぶりだな。」
「ごぶさたしております。」
ヘラヘラニヤニヤ気持ち悪い!
兄上にしたことも忘れてないんだからな!
この近親相姦変態男が!
ちょん切ってやろうか!
「まあ、私も仕方なかったのだ。国民の声もある。処罰しないわけにはな。」
白々しい。
「最近、この店は閨だけを売りにしていないと聞くが。」
「ええ、チェスの相手や歌や踊り。絵のモデル。それら目当てのお方もいらっしゃいますね。あとは、お食事でしょうか。」
俺と大翔の前世の知識で、メイド喫茶作ったからな。
ハンバーガー、ピッツァ、オムライスにカレーライスと軽食だけど、美味しいし、かわいい子がかわいい格好で給仕してくれて、美味しくなあれって魔法かけてくれて、オプションではい、アーンってしてくれるのだ。萌える。
「お茶くらいはいいだろう。おまえの母親の形見が出てきたから、渡したくてな。」
そういって、見せられたのは、銀細工の髪飾り。
おかあさま……。
「いいですよ、少しなら。でも、ハイあ~んはしませんからね。」
「いいとも。」
叔父は気味が悪いくらい普通で、お茶を。
ん?
何だ
なんでっ………
「大丈夫か?ベネディクト。」
クソっ。ケダモノめ。
顔に出てるぞ。
抑制剤を打ち消す程の、酷い誘発剤。
久しぶりの酷いヒート。
「ふふふ、所詮オメガ。一応、私もアルファだよ。ほしいのだろう、種が。子が孕みたくて、奥がキュンキュンしているのだろう!?」
ちくしょう!
「ベネディクトさま!」
大翔が駆けつける。
「おかみさん!ベネディクトは病気です。風邪かもしれません。王様、今日は申し訳ありません。大事な御身体に風邪をうつすわけにはまいりませんので、これで!」
「あらたいへんだわ、じゃあすみませんね、おおさま!(棒読み)」
「あっ、えと、ちょ。」
ポイッと王を追い出す。
「あ、ああ、あ」
ベネディクトの顔は赤い。
「困ったわ、これじゃ今から薬はきかないわ。」
チラッと見ると、大翔の顔も赤い。
ヒートにあてられているのね。
「頼めるかしら、ハルト。」
「わかりました。俺はベネディクト様のものですから。」
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