749 / 1,390
七百四十八話 逆ハは望まない
しおりを挟む
「再度言うが、お前たちは若手の中ではトップクラスの強さを持っているのは間違いない。初対面の奴にこんな事を言われてもと思うかもしれないが、そこは理解しているつもりだ」
赤髪のマッシュ男が前衛を務め、エルフの男が後衛から弓で、竜人族の男が魔法で遠距離攻撃を行い、ハーフドワーフの男が屈強な肉体でタンクを務める。
そこにもう一枚前衛が加われば、確かに理想的なパーティーが完成すると言っても過言ではない。
「ただ、個人的にはお前たちがラディア嬢とパーティーを組むメリットと、ラディア嬢が加入するメリットが釣り合っていない。せめて、メリットが五割以上はあると断言出来てからではないとな」
「……っ」
そこまで言うのであれば、試してみるか。
赤髪のマッシュたちがそう口にしようとしたタイミングで、アラッドは更に追加でラディア側のデメリットを口にした。
「それと、一つ気になってたんだが……お前らとラディア嬢がパーティーを組んだ場合、ラディア嬢は他の同性冒険者と仲良く出来るのか?」
何故そんな事を尋ねるのかと、首を傾げる四人を無視して話が続く。
「ラディア嬢は、そこら辺をどう考えてるんだ」
「……私は、出来ることなら仲良くしたいと思っている」
「なるほどな。であれば、そもそもな話……実力云々の前に、組み合わせとしてマッチングする可能性はゼロみたいだな」
どうして、何故だ!!! といった悲観的な顔を浮かべる赤髪マッシュたち、アラッドは落ち付けと両手で伝えながら、しっかりと理由を教えて上げた。
「男が四、女が一っていうのは比率的におかしいだろ」
「むっ、それは……」
比率がおかしい。
その点に関しては反論が出来ない四人。
「もしかしたら、世の中そういったパーティーも存在するのかもしれない。俺はまだ出会ったことはないが、それで世の中広いから絶対にそんなパーティーはいないとは言えない。ただ、お前らの場合は、全員面が良いっていうのが問題なんだ」
面が良い……言葉だけ見れば褒められてるのに、そこがダメなんだと指摘されている。
この何とも言えない状況に、四人は苦い表情を浮かべ……ガルーレはアラッドが何を言いたいのかなんとなく理解している為、笑いを堪えていた。
「面が良い男が四人いて、その中に美女が一人いる。その構図だけ見れば、立派な逆ハーレムパーティーだろ」
「なっ!! お、俺達はそんなつもりで彼女を勧誘した訳じゃない!!」
心外だと、初めて思いっきり感情を露わにした赤髪マッシュ。
そんな彼を……アラッドは若干冷めた顔で見ていた。
(ただラディア嬢と組みたいと思ったから勧誘したって言いたげな顔だな。どう見てもそれ以外の感情がありそうだけど……仮にあったとして、他の三人がラディア嬢のことをどう思ってるのか、そこまできっちり把握してるのか?)
色々とツッコミたい部分はあるが、ひとまず赤髪マッシュを落ち着かせる。
「他の客に迷惑だから、あまり大きな声は出すな」
「っ、すまない」
「解ってくれてなによりだ。それで、傍から見れば逆ハーレムって言うのは、外から見た人の感想だ。お前たちがどういった対応を取ろうとも、外野が勝手に判断する。身に覚えのない言い掛かりを付けられたり、そういう経験に覚えはないか?」
「「「「…………」」」」
アラッドの予想通り、経験がそれなりにあるため、再び黙ってしまう四人。
「嫌がらせっていうのは、何処で起こるか分からない。お前らが守れているつもりでも、実は守れていなかった、なんて事になってもおかしくない。まだ何か言いたげな顔をしてるが、仮にパーティーを組んだとしても、ラディア嬢が息苦しくなるのは解っただろ」
物事に絶対はない。
それはアラッドも解っている。
赤髪マッシュたちがそれでもと言いたくなる気持ちは解らなくもない。
これまで親交があった訳ではなく、アラッドと赤髪マッシュは完全に初対面。
何故侯爵家の令息とはいえ、お前にそんな事を言われなきゃならないんだ!! と言いたくなるのも仕方ない。
「もし、俺の説明を聞いてもまだ何か言いたい事があるなら、とりあえず俺から見てお前は話が通じない奴なんだとなという認識になる」
話が通じない。
その言葉を聞いた瞬間、再び怒りが顔に出る……のではなく、四人の心にぐさりと何かが突き刺さった。
「っ……っ………………すぅーーー、はぁーーーー…………そう、だな。すまない、食事中に迷惑を掛けた」
結局赤髪マッシュたちはテーブルに座るだけで何も注文しなかった為、彼らはテーブルの上に金貨を合計で二枚起き、アラッドたちに……ラディアに軽く頭を下げ、店から出て行った。
「冒険者にしては礼儀正しい部類とは思ったけど、本当に何も起こらず引いたわね」
「おそらく、自分たちが下手な絡まれ方をしてきた相手に対して、こいつは本当に話が通じない奴だと、彼ら自身が思ったことがあるのでしょう」
嫌悪した感覚を、今度は自分たちが他人に与えようとしていた。
それに気付いた四人は……若干血の気の引いた顔をしながら、己の非を認めて店から出て行った。
赤髪のマッシュ男が前衛を務め、エルフの男が後衛から弓で、竜人族の男が魔法で遠距離攻撃を行い、ハーフドワーフの男が屈強な肉体でタンクを務める。
そこにもう一枚前衛が加われば、確かに理想的なパーティーが完成すると言っても過言ではない。
「ただ、個人的にはお前たちがラディア嬢とパーティーを組むメリットと、ラディア嬢が加入するメリットが釣り合っていない。せめて、メリットが五割以上はあると断言出来てからではないとな」
「……っ」
そこまで言うのであれば、試してみるか。
赤髪のマッシュたちがそう口にしようとしたタイミングで、アラッドは更に追加でラディア側のデメリットを口にした。
「それと、一つ気になってたんだが……お前らとラディア嬢がパーティーを組んだ場合、ラディア嬢は他の同性冒険者と仲良く出来るのか?」
何故そんな事を尋ねるのかと、首を傾げる四人を無視して話が続く。
「ラディア嬢は、そこら辺をどう考えてるんだ」
「……私は、出来ることなら仲良くしたいと思っている」
「なるほどな。であれば、そもそもな話……実力云々の前に、組み合わせとしてマッチングする可能性はゼロみたいだな」
どうして、何故だ!!! といった悲観的な顔を浮かべる赤髪マッシュたち、アラッドは落ち付けと両手で伝えながら、しっかりと理由を教えて上げた。
「男が四、女が一っていうのは比率的におかしいだろ」
「むっ、それは……」
比率がおかしい。
その点に関しては反論が出来ない四人。
「もしかしたら、世の中そういったパーティーも存在するのかもしれない。俺はまだ出会ったことはないが、それで世の中広いから絶対にそんなパーティーはいないとは言えない。ただ、お前らの場合は、全員面が良いっていうのが問題なんだ」
面が良い……言葉だけ見れば褒められてるのに、そこがダメなんだと指摘されている。
この何とも言えない状況に、四人は苦い表情を浮かべ……ガルーレはアラッドが何を言いたいのかなんとなく理解している為、笑いを堪えていた。
「面が良い男が四人いて、その中に美女が一人いる。その構図だけ見れば、立派な逆ハーレムパーティーだろ」
「なっ!! お、俺達はそんなつもりで彼女を勧誘した訳じゃない!!」
心外だと、初めて思いっきり感情を露わにした赤髪マッシュ。
そんな彼を……アラッドは若干冷めた顔で見ていた。
(ただラディア嬢と組みたいと思ったから勧誘したって言いたげな顔だな。どう見てもそれ以外の感情がありそうだけど……仮にあったとして、他の三人がラディア嬢のことをどう思ってるのか、そこまできっちり把握してるのか?)
色々とツッコミたい部分はあるが、ひとまず赤髪マッシュを落ち着かせる。
「他の客に迷惑だから、あまり大きな声は出すな」
「っ、すまない」
「解ってくれてなによりだ。それで、傍から見れば逆ハーレムって言うのは、外から見た人の感想だ。お前たちがどういった対応を取ろうとも、外野が勝手に判断する。身に覚えのない言い掛かりを付けられたり、そういう経験に覚えはないか?」
「「「「…………」」」」
アラッドの予想通り、経験がそれなりにあるため、再び黙ってしまう四人。
「嫌がらせっていうのは、何処で起こるか分からない。お前らが守れているつもりでも、実は守れていなかった、なんて事になってもおかしくない。まだ何か言いたげな顔をしてるが、仮にパーティーを組んだとしても、ラディア嬢が息苦しくなるのは解っただろ」
物事に絶対はない。
それはアラッドも解っている。
赤髪マッシュたちがそれでもと言いたくなる気持ちは解らなくもない。
これまで親交があった訳ではなく、アラッドと赤髪マッシュは完全に初対面。
何故侯爵家の令息とはいえ、お前にそんな事を言われなきゃならないんだ!! と言いたくなるのも仕方ない。
「もし、俺の説明を聞いてもまだ何か言いたい事があるなら、とりあえず俺から見てお前は話が通じない奴なんだとなという認識になる」
話が通じない。
その言葉を聞いた瞬間、再び怒りが顔に出る……のではなく、四人の心にぐさりと何かが突き刺さった。
「っ……っ………………すぅーーー、はぁーーーー…………そう、だな。すまない、食事中に迷惑を掛けた」
結局赤髪マッシュたちはテーブルに座るだけで何も注文しなかった為、彼らはテーブルの上に金貨を合計で二枚起き、アラッドたちに……ラディアに軽く頭を下げ、店から出て行った。
「冒険者にしては礼儀正しい部類とは思ったけど、本当に何も起こらず引いたわね」
「おそらく、自分たちが下手な絡まれ方をしてきた相手に対して、こいつは本当に話が通じない奴だと、彼ら自身が思ったことがあるのでしょう」
嫌悪した感覚を、今度は自分たちが他人に与えようとしていた。
それに気付いた四人は……若干血の気の引いた顔をしながら、己の非を認めて店から出て行った。
209
あなたにおすすめの小説
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)
リオール
恋愛
父の代わりに公爵家の影となって支え続けてるアデラは、恋愛をしてる暇もなかった。その結果、18歳になっても未だ結婚の「け」の字もなく。婚約者さえも居ない日々を送っていた。
そんなある日。参加した夜会にて彼と出会ったのだ。
運命の出会い。初恋。
そんな彼が、実は王子様だと分かって──!?
え、私と婚約!?行き遅れ同士仲良くしようって……えええ、本気ですか!?
──と驚いたけど、なんやかんやで溺愛されてます。
そうして幸せな日々を送ってたら、やって来ましたよ妹が。父親に甘やかされ、好き放題我が儘し放題で生きてきた妹は私に言うのだった。
婚約者を譲れ?可愛い自分の方がお似合いだ?
・・・はああああ!?(゚Д゚)
===========
全37話、執筆済み。
五万字越えてしまったのですが、1話1話は短いので短編としておきます。
最初はギャグ多め。だんだんシリアスです。
18歳で行き遅れ?と思われるかも知れませんが、そういう世界観なので。深く考えないでください(^_^;)
感想欄はオープンにしてますが、多忙につきお返事できません。ご容赦ください<(_ _)>
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる