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六百七十二話 誰?
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「ちょ、マジで痛かったんだけど!!!!!」
額を抑えるガルーレ。
それもその筈であり、アラッドは人差し指と中指の二連デコピンをガルーレの額に放った。
しかも適当に放ったのではなく……身体強化のスキルなどは発動せず、素の状態での……八割、九割ほどの力を込めて放ったデコピン。
咄嗟の出来事でガルーレも反応が間に合わず、防御に失敗。
素の状態とはいえ、アラッドの身体能力でほぼ全力のデコピンが放たれれば……痛いのは間違いない。
どれぐらい痛いかと言うと、ガルーレが地面にうずくまるほど強烈な二発だった。
「そりゃ良かったな。痛くなかったら意味がない」
「結構マジじゃなかった!?」
「スキルとか使わずに、ほぼ全力でデコピンしたからな」
「砕けちゃうじゃん!!!???」
「強いんだから、そう簡単に砕けないだろ」
実際のところ、体の中でも固い部分ではあるため、アラッドが真正面から素の状態でデコピンをマジで放ったとしても、ガルーレであれば頭蓋骨が砕けることはない。
ただ……数メートルほど吹っ飛ぶかもしれない。
「まぁ、こんな感じで少し騒がしい奴だが、悪い奴じゃない」
「そ、そうなんだな」
アラッドの彼女……という言葉に僅かに反応していたレイだったが、直ぐに落ち着きを取り戻した。
(多分、本当でしょうね)
(冒険者同士、加えてアラッドの性格ならあり得なくはないと、一瞬信じてしまいましたが……どうやら、本当に付き合ってはいないようですわね)
それなりにそういった会話に興味があるマリアとエリザだが、アラッドの表情から照れ隠しではないと判断。
ヴェーラに関しては……そもそもあまり恋愛関連の話に興味がなかった。
「ところでアラッド、聞きそびれたけど、どうして急にパロスト学園に? もしかして、学園から臨時教師として雇われたとか?」
年齢的にまだ学園を卒業してない歳の冒険者が、臨時教師として学園に……というのは、非常に違和感が強い。
しかし、パロスト学園の生徒であれば、アラッドの名を知らない者は殆どいない。
一部の生徒を除き、大歓迎となるが……そうではない。
「今回は依頼を受けて来た訳じゃ…………いや、ある意味依頼になるのか? なぁ、レイ嬢」
「……あぁ、なるほど。その件に関してか」
アラッドから話を振られたレイ嬢はほんの少し考え込み、何故アラッドがパロスト学園に……正確には、王都に来た理由を察した。
だが、レイは振られた話に対し、苦笑いしながら答えた。
「参加するのは、私ではないんだ」
「っ!!?? そ、そうなのか…………なら、ここにいる面子の誰か、なのか? それともドラングの奴か?」
ショック……ではないが、アラッドの中で学生代表に選ばれるのは間違いなくレイだと思っていた為、決して小さくない衝撃であった。
「全員違う、と言っておこう」
「…………いや、なら尚更解らないんだが」
「そろそろ来ると思うぞ」
そろそろ来る? と首を傾げるアラッド。
すると……タイミング良く、最近はレイたちの訓練に混ぜてもらっているシルフィーたちが来た。
「あっ! 本当にアラッド兄様が来てる!!!」
「本当だね」
「シルフィー、アッシュ。久しぶりだな…………って、レイ嬢。まさか、シルフィーなのか?」
確かにシルフィーも学生であり、実力者であるのは間違いない。
だが、まだ大勢の高等部の生徒たちと戦っても、常勝とはいかない。
「隣の方だ」
「隣…………………っ!!!!!????? アッシュ……お前が、もしかして参加するのか?」
「あっ、やっぱりアラッド兄さんが王都に来たのはその件が関係してたんですね」
本人が認めた。
詳しい話を知らない者たちからすれば、何を話してるのか解らないだろう。
しかし、その詳しい話を知っているアラッドからすれば……全く驚きが隠せない程、表情が崩れていた。
「……アッシュ、何かあったのか?」
弟であるアッシュが実力者であることは十分解っている。
戦闘センスに関しては、確実に自分よりも上だと思っている。
ただ、アラッドの記憶が正しければあまり戦闘に対して関心はなく、人目が多く向けられる場所に自ら行くことはない。
多くの人目があるのかはさておき、代表として参加するのであれば、戦わないといけないのは間違いない。
「少し移動しようか」
事情を知っているアレク、アラッド、レイ、アッシュの四人は使われていない個室に移動。
アラッドとレイが訓練場から出て行ってしまった後、ベルたちは共に行動してたスティームたちにアラッドとの冒険内容について尋ね、二人は特に渋ることなく話し始めた。
「えっと……まず、最初にレイ嬢に代表として参加しないかという話が来た。その話を知ったアレク先生が、アッシュに参加して勝てば錬金術に良質な素材を貰えると伝えて、それに惹かれたアッシュが結果的に学生代表として参加することになった……という事で合ってますか?」
「うん、そうだね。大体そんな感じだよ」
レイもアッシュもここが違うと反論することはなく、その通りだと頷いた。
事実確認は取れたので、納得は出来た。
しかし、アラッドの中に色々と疑問が残った。
額を抑えるガルーレ。
それもその筈であり、アラッドは人差し指と中指の二連デコピンをガルーレの額に放った。
しかも適当に放ったのではなく……身体強化のスキルなどは発動せず、素の状態での……八割、九割ほどの力を込めて放ったデコピン。
咄嗟の出来事でガルーレも反応が間に合わず、防御に失敗。
素の状態とはいえ、アラッドの身体能力でほぼ全力のデコピンが放たれれば……痛いのは間違いない。
どれぐらい痛いかと言うと、ガルーレが地面にうずくまるほど強烈な二発だった。
「そりゃ良かったな。痛くなかったら意味がない」
「結構マジじゃなかった!?」
「スキルとか使わずに、ほぼ全力でデコピンしたからな」
「砕けちゃうじゃん!!!???」
「強いんだから、そう簡単に砕けないだろ」
実際のところ、体の中でも固い部分ではあるため、アラッドが真正面から素の状態でデコピンをマジで放ったとしても、ガルーレであれば頭蓋骨が砕けることはない。
ただ……数メートルほど吹っ飛ぶかもしれない。
「まぁ、こんな感じで少し騒がしい奴だが、悪い奴じゃない」
「そ、そうなんだな」
アラッドの彼女……という言葉に僅かに反応していたレイだったが、直ぐに落ち着きを取り戻した。
(多分、本当でしょうね)
(冒険者同士、加えてアラッドの性格ならあり得なくはないと、一瞬信じてしまいましたが……どうやら、本当に付き合ってはいないようですわね)
それなりにそういった会話に興味があるマリアとエリザだが、アラッドの表情から照れ隠しではないと判断。
ヴェーラに関しては……そもそもあまり恋愛関連の話に興味がなかった。
「ところでアラッド、聞きそびれたけど、どうして急にパロスト学園に? もしかして、学園から臨時教師として雇われたとか?」
年齢的にまだ学園を卒業してない歳の冒険者が、臨時教師として学園に……というのは、非常に違和感が強い。
しかし、パロスト学園の生徒であれば、アラッドの名を知らない者は殆どいない。
一部の生徒を除き、大歓迎となるが……そうではない。
「今回は依頼を受けて来た訳じゃ…………いや、ある意味依頼になるのか? なぁ、レイ嬢」
「……あぁ、なるほど。その件に関してか」
アラッドから話を振られたレイ嬢はほんの少し考え込み、何故アラッドがパロスト学園に……正確には、王都に来た理由を察した。
だが、レイは振られた話に対し、苦笑いしながら答えた。
「参加するのは、私ではないんだ」
「っ!!?? そ、そうなのか…………なら、ここにいる面子の誰か、なのか? それともドラングの奴か?」
ショック……ではないが、アラッドの中で学生代表に選ばれるのは間違いなくレイだと思っていた為、決して小さくない衝撃であった。
「全員違う、と言っておこう」
「…………いや、なら尚更解らないんだが」
「そろそろ来ると思うぞ」
そろそろ来る? と首を傾げるアラッド。
すると……タイミング良く、最近はレイたちの訓練に混ぜてもらっているシルフィーたちが来た。
「あっ! 本当にアラッド兄様が来てる!!!」
「本当だね」
「シルフィー、アッシュ。久しぶりだな…………って、レイ嬢。まさか、シルフィーなのか?」
確かにシルフィーも学生であり、実力者であるのは間違いない。
だが、まだ大勢の高等部の生徒たちと戦っても、常勝とはいかない。
「隣の方だ」
「隣…………………っ!!!!!????? アッシュ……お前が、もしかして参加するのか?」
「あっ、やっぱりアラッド兄さんが王都に来たのはその件が関係してたんですね」
本人が認めた。
詳しい話を知らない者たちからすれば、何を話してるのか解らないだろう。
しかし、その詳しい話を知っているアラッドからすれば……全く驚きが隠せない程、表情が崩れていた。
「……アッシュ、何かあったのか?」
弟であるアッシュが実力者であることは十分解っている。
戦闘センスに関しては、確実に自分よりも上だと思っている。
ただ、アラッドの記憶が正しければあまり戦闘に対して関心はなく、人目が多く向けられる場所に自ら行くことはない。
多くの人目があるのかはさておき、代表として参加するのであれば、戦わないといけないのは間違いない。
「少し移動しようか」
事情を知っているアレク、アラッド、レイ、アッシュの四人は使われていない個室に移動。
アラッドとレイが訓練場から出て行ってしまった後、ベルたちは共に行動してたスティームたちにアラッドとの冒険内容について尋ね、二人は特に渋ることなく話し始めた。
「えっと……まず、最初にレイ嬢に代表として参加しないかという話が来た。その話を知ったアレク先生が、アッシュに参加して勝てば錬金術に良質な素材を貰えると伝えて、それに惹かれたアッシュが結果的に学生代表として参加することになった……という事で合ってますか?」
「うん、そうだね。大体そんな感じだよ」
レイもアッシュもここが違うと反論することはなく、その通りだと頷いた。
事実確認は取れたので、納得は出来た。
しかし、アラッドの中に色々と疑問が残った。
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