スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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五百二十二話 あいつ以上に合わない

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「あ、あの。アラッドさん……雷獣の素材は、どうするんですか?」

「どうって……そりゃ全部持って帰りますよ。その為に俺たちは俺たちだけで挑んだんで」

「そ、そうでしたね」

冒険者ギルドとしては、できればいくつか素材を売って欲しいところではあるが……アラッドあちはエレムたち違い、ギルドからの依頼を受けていない。

そのため、素材をギルドに売却する義理は一切なかった。

爪、牙、毛皮に骨など、全ての素材が使えると言っても過言ではない。
一般的な冒険者であれば全ての素材を持ち運ぶことは殆どないが、アラッドの場合はキャバリオンを造ったりなど、錬金術の素材として有効活用することが出来る。

そういった事情もあり、ギルドとしてはあまり強くほんの少しで良いから素材を売って欲しいとは言えなかった。

とはいえ、冒険者ギルドは先日Bランク冒険者たちを敗走に追い込んだ雷獣より強力な力を持つ雷獣が潜んでいたという情報は持っておらず、万が一もしかしたらという展開も全く考えていなかった。

「アラッドさん、スティームさん。こちらがギルドからの報奨金になります」

「……あの、俺たちギルドからの依頼は受けてないと思うのですが」

「た、確かにお二人は独自に雷獣を探して討伐されましたが、それでもイスバーダンの危機を救って頂いたことに変わりはありません」

二体の雷獣に人々を襲おうという……理由はどうであれば、災害になりうる思いがあったのかは不明。

それでも、イスバーダンの住民たちからすれば、街の近くに存在するというだけで恐怖が付き纏う。
冒険者ギルドとしても冒険者たちが殉職してしまう可能性を少しでも下げたいため、未知の脅威として残っていた雷獣も含め、討伐してくれた二人には心の底から感謝している。

「そうですか……解りました。有難く貰います」

貰えるのであれば貰っておくに越したことはない。

とにもかくにも、これにて雷獣の一件は全て終了。
もう一体の雷獣が潜んでいるという絶望もなく……仮に潜んでいたとしても、一対一で戦う事が出来るのであれば、クロが嬉々として自ら挑む。

流れ的に、住民総出で討伐を祝うのが通常の流れなのだが……雷獣が討伐されたという情報が住民に広まれど、全員が全員バカ騒ぎすることはなかった。

「こういうお店で外食するのも良いね」

「そうだな」

「でも、野郎二人ってのはちょっと味気ないと思わない?」

「解らなくもないが……この街に女性の知り合いはいないからな」

諸々の処理が終わった後、二人はイスバーダンの中でも三指に入るレストランへ訪れた。

既に二人の活躍が広まっていたこともあり、店は快く受け入れ、渾身の料理を振舞う。

「それもそうだね……あの人、大丈夫かな」

「あのクソイケメン優男先輩か?」

「うん、その人。別に可哀想とは思わないけど、今回の一件で完全に折れるには、勿体ない人だと思ってさ」

「それは俺も同感だ。あの人、一人だけが俺たちと同行するなら、提案を断ろうとは思わなかった」

あれよこれよと厳しい言葉をぶつけはしたものの、アラッドはクソイケメン優男先輩……エレムの実力は認めていた。

ただ……再度己の考えを本気でぶつけ合った、やはり性格は相容れないことが解かった。

(経験を積めば、まだまだこれから伸びそうな人だが……うん、本当に考え方が合わなかったな。もしかしたら感情が爆発し過ぎてただけなのかもしれないが……今のところ、まだフローレンスの方が話せるって感じだな)

決してお前のことは好きではない、と同等と伝えた相手ではあるものの、相手の思考などを受け入れる度量は感じられた。

しかし、先程の場面だけだと……どう考えてもクソイケメン優男先輩が自分の考えを受け入れてくれてるようには思えなかった。

「まっ、そういう部分も含めて這い上がれるかというのも、その人の真価が問われる場面だ。他人がどうこう出来るあれじゃない」

「ふふ、それもそうだね」

値段に見合う高級料理をたらふく食べた後、余裕がある二人はバーへ移行。

そして二人が最初の一杯を頼んだところで、一人の男性が声を掛けてきた。

「やぁ、少し良いかな」

「あなたは…………クソイケメン優男先輩を庇った冒険者、ですよね」

「ブハっ!!?? あ、あいつ……こ、後輩たちからそんな風に、呼ばれてるのかよ」

エレムをクソイケメン優男先輩と呼んでいるのはアラッドとスティームの二人だけだが、そう呼んでいるのだが……ドミトルにとって爆笑不可避だった。

「雷獣から食らった傷はもう大丈夫なんですか?」

「おぅ、もう大丈夫だ。腕の良い奴に治してもらったからな。マスター、ウィスキーをロックで」

一杯目からアルコール度数が高いのを頼み……一気に半分程呑んでしまう。

「ふぅ~~、美味い……あれだ、一応初対面だよな」

「そうですね。一応初対面です」

「……初対面で悪いんだが、ちょっと訊きたいことがあるんだけど良いか?」

「…………酒代を先輩が奢ってくれるなら、いくらでも答えます」

「はっはっは! お安い御用だぜ!!」

ドミトルとしても、呑めて話せる相手は大歓迎だった。
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