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四百六十四話 ガキではない
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「なに、そんなにそのジャン・セイバーさん? って先輩をボコボコにしたの?」
「ボコボコって言うか、全力を出さずに倒したってだけだ。その結果、ジャン・セイバーさんがどういった気持ちになるか、解らない訳ではないんだけど……」
元々が高校生だったため、当時のジャン・セイバーの心情は多少なりとも理解は出来る。
しかし、全力を出したら出したらで、問題があるのも事実。
「けど、全力を出したらそれこそ本当にボコボコにしてしまうっていうか……もはや虐めだよ」
「ふふ、それもそうだね」
「笑い事じゃないよギーラス兄さん。あの試合が終わった直後、大量のブーイングが飛びそうだったんだから」
気が良く、声が大きい男性観客のお陰でその様な事態には発展しなかったが、仮にブーイングが巻き起こり……万が一クロの耳に入るようなことがあれば、大惨事が起こっていたかもしれない。
「にしても……その道を教えたんだね」
「うん、そうだよ。なんと言うか……彼の雰囲気から、曖昧で中途半端な助言をするのは良くないと思えてね」
「…………」
実際にその現場に居たわけではないので、この場で兄のアドバイス内容について、どうこう言えない。
言えないのだが……それでも、訊きたい事はあった。
「その道を教えても大丈夫な程、セイバー先輩のメンタルを強かったんですか」
「……どうだろうね。もしかしたら、道半ばで潰れるかもしれない」
その言葉を聞いた瞬間、ほんの少し……ほんの少しだけ、普段のギーラスには絶対に向けることのない感情が湧き上がった。
しかし、その熱は直ぐに消化された。
「彼も十八だ。俺はこういう道もあるという、将来の道を提示しただけだよ。本当にその道に進むか進まないか、最終的には彼が選択するんだ。彼はもう、言われた事だけをこなす子供じゃないだろ」
「ッ…………そう、ですね」
影響力のある人物からの助言とはいえ、結局のところ助言でしかない。
ギーラスはジャン・セイバーに対して命令も脅迫も、洗脳すらしていない。
ただ……こういう道もあると、一つの可能性を提示しただけ。
兄の言葉が耳に入った瞬間……アラッドは前世で、まだ二十歳を迎えていない者たちが犯した様々な事件が脳内を支配した。
(そうだよな……普通に考えて、善悪の判断ぐらい付く。別に、ギーラスは勝利が欲しいなら、薬を使ってでも勝てって言った訳じゃないんだ……あくまで、選択肢の一つを提示しただけ)
提示した内容は、普通にその言葉通り……最低限の常識を持ちながら行動していれば、他人に危害を加えることはない。
仮にそういった犯罪を犯してしまうようであれば、それは両親や教師、知人のせいではなく……善悪の区別がつくのに悪の道に進んだ者が最終的に悪い。
「……そのジャン・セイバーさんが本気でアラッドを倒しに来たら、アラッドとしてはかなりヤバかったりするの?」
「正直、現段階では何も言えないって気がするな。何か激的に戦況を変えられる手札がないなら、数年後にまた戦っても、結果は変わらないと思う」
アラッドは狂化を使うことで、超ユーティリティーバーサーカーへと変身。
フローレンスは聖光雄化を使うことで、筋肉聖女に大変身。
元々の実力が優れているが、二人には戦況を変えることが出来る自己強化術があり……アラッドに限れば、レベルアップする度に伸びる身体能力の幅が大きい。
なので、手札がマジックアイテムでも構わないので、何かしら自身を強化出来る術がなければ、リプレイが繰り返されるだけとなる。
「狂った結果、俺と同じ狂化を得たとしても、歴で言えば俺の方が上。というか、本当に心の底から狂ってる状態で狂化を使えば……多分戻れなくなる」
最悪の場合、討伐対象に認定される可能性もある。
「えっと、アラッドは良く戻ってこれたね」
「偶々……本当に偶々だ。運が良かった……二回ともな」
まだブラックウルフのクロがトロールに殺されかけた時、そこからの事はあまり覚えていなかった。
それ故に、クロの声が聞こえなければ終わっていたかもしれない……そういった思いが強い。
「個人的に、狂化なんてスキルは、最初の一回で自分の狂気を乗りこなせるか……そこが重要なんだと思う」
「アラッドは最初の発動で乗りこなせたんだ」
「いや、意識して使うようになった二回目からだよ」
「……アラッドの話を聞いて思ったけど、狂化って言うのはもう一人の自分が出てくる……そういったスキルなのかい?」
兄の言葉に、どう答えれば良いか悩む。
そういった事までは意識しておらず、感じようとも……確認しようともしていなかった。
「………………そう、ですね。正確には違うと思う。でも、自分の中の狂気という特定の感情が色濃く表れて、それを制御するのが……うん、本当に難しい」
「なるほどなるほど……本当に一歩間違えてしまうとってスキルなんだね」
「そうなりますね。まぁ、セイバー先輩もバカではないと思うんで、狂う程の力を求めたとしても、同じ力じゃ意味がないってことぐらいは解ると思いますけど」
更に残酷な事実を付け加えると、ジャン・セイバーはクロ……デルドウルフや、人型の光属性の女性精霊、ウィリス並みのパートナーがいなければ……本当のガチバトルには勝利できない。
「ボコボコって言うか、全力を出さずに倒したってだけだ。その結果、ジャン・セイバーさんがどういった気持ちになるか、解らない訳ではないんだけど……」
元々が高校生だったため、当時のジャン・セイバーの心情は多少なりとも理解は出来る。
しかし、全力を出したら出したらで、問題があるのも事実。
「けど、全力を出したらそれこそ本当にボコボコにしてしまうっていうか……もはや虐めだよ」
「ふふ、それもそうだね」
「笑い事じゃないよギーラス兄さん。あの試合が終わった直後、大量のブーイングが飛びそうだったんだから」
気が良く、声が大きい男性観客のお陰でその様な事態には発展しなかったが、仮にブーイングが巻き起こり……万が一クロの耳に入るようなことがあれば、大惨事が起こっていたかもしれない。
「にしても……その道を教えたんだね」
「うん、そうだよ。なんと言うか……彼の雰囲気から、曖昧で中途半端な助言をするのは良くないと思えてね」
「…………」
実際にその現場に居たわけではないので、この場で兄のアドバイス内容について、どうこう言えない。
言えないのだが……それでも、訊きたい事はあった。
「その道を教えても大丈夫な程、セイバー先輩のメンタルを強かったんですか」
「……どうだろうね。もしかしたら、道半ばで潰れるかもしれない」
その言葉を聞いた瞬間、ほんの少し……ほんの少しだけ、普段のギーラスには絶対に向けることのない感情が湧き上がった。
しかし、その熱は直ぐに消化された。
「彼も十八だ。俺はこういう道もあるという、将来の道を提示しただけだよ。本当にその道に進むか進まないか、最終的には彼が選択するんだ。彼はもう、言われた事だけをこなす子供じゃないだろ」
「ッ…………そう、ですね」
影響力のある人物からの助言とはいえ、結局のところ助言でしかない。
ギーラスはジャン・セイバーに対して命令も脅迫も、洗脳すらしていない。
ただ……こういう道もあると、一つの可能性を提示しただけ。
兄の言葉が耳に入った瞬間……アラッドは前世で、まだ二十歳を迎えていない者たちが犯した様々な事件が脳内を支配した。
(そうだよな……普通に考えて、善悪の判断ぐらい付く。別に、ギーラスは勝利が欲しいなら、薬を使ってでも勝てって言った訳じゃないんだ……あくまで、選択肢の一つを提示しただけ)
提示した内容は、普通にその言葉通り……最低限の常識を持ちながら行動していれば、他人に危害を加えることはない。
仮にそういった犯罪を犯してしまうようであれば、それは両親や教師、知人のせいではなく……善悪の区別がつくのに悪の道に進んだ者が最終的に悪い。
「……そのジャン・セイバーさんが本気でアラッドを倒しに来たら、アラッドとしてはかなりヤバかったりするの?」
「正直、現段階では何も言えないって気がするな。何か激的に戦況を変えられる手札がないなら、数年後にまた戦っても、結果は変わらないと思う」
アラッドは狂化を使うことで、超ユーティリティーバーサーカーへと変身。
フローレンスは聖光雄化を使うことで、筋肉聖女に大変身。
元々の実力が優れているが、二人には戦況を変えることが出来る自己強化術があり……アラッドに限れば、レベルアップする度に伸びる身体能力の幅が大きい。
なので、手札がマジックアイテムでも構わないので、何かしら自身を強化出来る術がなければ、リプレイが繰り返されるだけとなる。
「狂った結果、俺と同じ狂化を得たとしても、歴で言えば俺の方が上。というか、本当に心の底から狂ってる状態で狂化を使えば……多分戻れなくなる」
最悪の場合、討伐対象に認定される可能性もある。
「えっと、アラッドは良く戻ってこれたね」
「偶々……本当に偶々だ。運が良かった……二回ともな」
まだブラックウルフのクロがトロールに殺されかけた時、そこからの事はあまり覚えていなかった。
それ故に、クロの声が聞こえなければ終わっていたかもしれない……そういった思いが強い。
「個人的に、狂化なんてスキルは、最初の一回で自分の狂気を乗りこなせるか……そこが重要なんだと思う」
「アラッドは最初の発動で乗りこなせたんだ」
「いや、意識して使うようになった二回目からだよ」
「……アラッドの話を聞いて思ったけど、狂化って言うのはもう一人の自分が出てくる……そういったスキルなのかい?」
兄の言葉に、どう答えれば良いか悩む。
そういった事までは意識しておらず、感じようとも……確認しようともしていなかった。
「………………そう、ですね。正確には違うと思う。でも、自分の中の狂気という特定の感情が色濃く表れて、それを制御するのが……うん、本当に難しい」
「なるほどなるほど……本当に一歩間違えてしまうとってスキルなんだね」
「そうなりますね。まぁ、セイバー先輩もバカではないと思うんで、狂う程の力を求めたとしても、同じ力じゃ意味がないってことぐらいは解ると思いますけど」
更に残酷な事実を付け加えると、ジャン・セイバーはクロ……デルドウルフや、人型の光属性の女性精霊、ウィリス並みのパートナーがいなければ……本当のガチバトルには勝利できない。
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