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出しゃばり過ぎは良くない
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ダンジョンから宿に戻った翌日……休むということを知らない二人は、直ぐにダンジョンへと出勤。
今回は討伐系の依頼を受け、十一階層へ向かった。
仕事として討伐すべきモンスターが十一階層以降に現れるということもあり、二人としては丁度良かった。
なぜならば、今回の本命は……前回の探索でソロでは倒せなかったモンスター、アサルトレパードを倒すこと。
昨日の今日で早くないか? と思うかもしれないが、既に二人の意識はそこに向いている。
「うぉっと、トレントか」
前回と比べて、割と気持ちに余裕を持って探索できている二人に、木に擬態したモンスター、トレントが襲い掛かる。
魔力感知のスキルを使っていれば、擬態に騙されることはない。
しかし、普段の探索で気配感知は使っていても、魔力感知を使い続ける冒険者はあまりいない。
二人はダンジョン内で、主にトラップに気を付けているので、今回は持ち前の反射神経でなんとか回避。
(トレントか。嫌な相手だな~)
手数が多く、回復力が高い。
その割には身体能力はそこまで高くなく、あまり戦いごたえがないモンスター。
素材という点としては、中々なのだが、ティールとしては好んで戦いたいモンスターではない。
ラストもおおよそ似た考えを持っており、二人で急接近。
迫る鋭い枝を斬り裂いていき、ティールは魔力感知をフル活用し、魔石の位置を完全把握。
その部分だけ風の斬撃で上手く斬り取り、回復できないように止めを刺した。
「マスターっ!!」
「っ!?」
ようやく倒した、と思った瞬間にもう一体のトレントが二人を奇襲。
幸いにも鋭い枝で貫かれることはなく……ただ、ティールの怒りを買うだけで終わった。
「トレントってさ、本当にこう……つまらないという、やり辛いというか、戦闘に関しては色々と不満が出るよな」
「あぁ、そうだな」
普通なら、そもそも戦闘という命懸けの行為に不満が出ない訳がない、という考えがしか出ない。
ただ、ラストはティールと似た思考をしているので、主人の言葉に深く同意した。
「まっ、ギルドは高く買い取ってくれるから良いんだけどさ」
多くのギルドには訓練場が付いており、訓練場には木製の武器が置かれている。
その訓練用の武器として、トレントの体は重宝されている。
「早めに目的のモンスター、現れてくれないかなぁ」
二人が受けた依頼は、ライガルの肉一頭分。
推奨ランクはBランクかCランクの冒険者なので、二人にはピッタリの依頼。
受付嬢達も二人がリベンジオーク、アサルトレパードを倒す実力を有していると解っているので、二人の身を心配しても、受理するのを躊躇おうとは思わなかった。
周囲に居た冒険者たちも、先日ティールが絡んで来たルーキーを真面目にボコボコにしたこともあり、陰口すら言葉にする者はいなかった。
(……あっ、そういえば)
ライガルが早く目の前に現れてくれないかと思っていると、先日までの探索で手に入れた宝箱の解錠がまだなのを思い出した。
「マスター……西の方から、血の匂いがする」
「人の血か?」
「あぁ、おそらく冒険者のものだ」
獣人族程ではないが、竜人族の嗅覚も侮れない。
仲間のそういった優れた点は信用しているので、その言葉に疑いはない。
「どうする?」
「どうするって言われたもな……戦況はどんなもん?」
「……おそらく、冒険者側がやや押されている。戦っているモンスターは、おそらく獣系のモンスターだろう」
人数や、襲っているモンスターなど細かいことは解らないが、冒険者たちがやや劣勢なのは断言出来る。
「それぐらいなら、放っておいても良さそうだな」
先月の一件があったからとかではなく、冷静な判断で決めた。
実際にその現場を見ておらず、ラストから「助けを求める声が聞こえる」という報告もない。
助けに入るべき場面かもしれないと思い、あまり出しゃばり過ぎるのは良くない……という決断を下し、二人はライガルを探しながら下に進む。
今回は討伐系の依頼を受け、十一階層へ向かった。
仕事として討伐すべきモンスターが十一階層以降に現れるということもあり、二人としては丁度良かった。
なぜならば、今回の本命は……前回の探索でソロでは倒せなかったモンスター、アサルトレパードを倒すこと。
昨日の今日で早くないか? と思うかもしれないが、既に二人の意識はそこに向いている。
「うぉっと、トレントか」
前回と比べて、割と気持ちに余裕を持って探索できている二人に、木に擬態したモンスター、トレントが襲い掛かる。
魔力感知のスキルを使っていれば、擬態に騙されることはない。
しかし、普段の探索で気配感知は使っていても、魔力感知を使い続ける冒険者はあまりいない。
二人はダンジョン内で、主にトラップに気を付けているので、今回は持ち前の反射神経でなんとか回避。
(トレントか。嫌な相手だな~)
手数が多く、回復力が高い。
その割には身体能力はそこまで高くなく、あまり戦いごたえがないモンスター。
素材という点としては、中々なのだが、ティールとしては好んで戦いたいモンスターではない。
ラストもおおよそ似た考えを持っており、二人で急接近。
迫る鋭い枝を斬り裂いていき、ティールは魔力感知をフル活用し、魔石の位置を完全把握。
その部分だけ風の斬撃で上手く斬り取り、回復できないように止めを刺した。
「マスターっ!!」
「っ!?」
ようやく倒した、と思った瞬間にもう一体のトレントが二人を奇襲。
幸いにも鋭い枝で貫かれることはなく……ただ、ティールの怒りを買うだけで終わった。
「トレントってさ、本当にこう……つまらないという、やり辛いというか、戦闘に関しては色々と不満が出るよな」
「あぁ、そうだな」
普通なら、そもそも戦闘という命懸けの行為に不満が出ない訳がない、という考えがしか出ない。
ただ、ラストはティールと似た思考をしているので、主人の言葉に深く同意した。
「まっ、ギルドは高く買い取ってくれるから良いんだけどさ」
多くのギルドには訓練場が付いており、訓練場には木製の武器が置かれている。
その訓練用の武器として、トレントの体は重宝されている。
「早めに目的のモンスター、現れてくれないかなぁ」
二人が受けた依頼は、ライガルの肉一頭分。
推奨ランクはBランクかCランクの冒険者なので、二人にはピッタリの依頼。
受付嬢達も二人がリベンジオーク、アサルトレパードを倒す実力を有していると解っているので、二人の身を心配しても、受理するのを躊躇おうとは思わなかった。
周囲に居た冒険者たちも、先日ティールが絡んで来たルーキーを真面目にボコボコにしたこともあり、陰口すら言葉にする者はいなかった。
(……あっ、そういえば)
ライガルが早く目の前に現れてくれないかと思っていると、先日までの探索で手に入れた宝箱の解錠がまだなのを思い出した。
「マスター……西の方から、血の匂いがする」
「人の血か?」
「あぁ、おそらく冒険者のものだ」
獣人族程ではないが、竜人族の嗅覚も侮れない。
仲間のそういった優れた点は信用しているので、その言葉に疑いはない。
「どうする?」
「どうするって言われたもな……戦況はどんなもん?」
「……おそらく、冒険者側がやや押されている。戦っているモンスターは、おそらく獣系のモンスターだろう」
人数や、襲っているモンスターなど細かいことは解らないが、冒険者たちがやや劣勢なのは断言出来る。
「それぐらいなら、放っておいても良さそうだな」
先月の一件があったからとかではなく、冷静な判断で決めた。
実際にその現場を見ておらず、ラストから「助けを求める声が聞こえる」という報告もない。
助けに入るべき場面かもしれないと思い、あまり出しゃばり過ぎるのは良くない……という決断を下し、二人はライガルを探しながら下に進む。
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