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早めに知れて良かった
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ずっと溜まっていたストレスを発散した結果、二人に喧嘩を売ったルーキーたちはボロ雑巾になった。
ルーキーから撃った喧嘩なので、二人を咎める者はいない。
ただ、さすがにやり過ぎでは? と思う者たちはいた。
「「「っ!!」」」
しかし、二人から零れる圧に退き、道を開ける。
「誰だよ、中身のねぇルーキーだって言った奴はよ」
「俺じゃねぇよ」
「私もそんな事言ってないわよ」
「いや、まぁそこら辺はどうでも良いでしょ……とりあえず、怒らせちゃ駄目な奴ってのは良く解った」
早いうちにそれが解かって良かったと思い、ルーキーの域から抜けたばかりの者たちは、一先ずホッと一安心。
そしてルーキーたちの元に駆け寄り、一応安否を確認する。
「そういえば、あれ忘れてたな」
訓練場ががやがやと騒がしい頃、ティールはダンジョン内で遭遇した出来事を思い出していた。
「何を忘れてたんだ、マスター」
「ほら、ダンジョンでさ、ちょっと不味いことあっただろ」
「……なるほど、それか」
普通に言葉として出せない。
そこから、ラストはティールが何を忘れていたのかを把握。
「一旦宿に戻るか」
周囲が騒がしくない場所に戻り、ティールは帰る途中に購入した封筒と手紙を取り出し、クララへの手紙を書き始めた。
内容は既に固まっていたので、ニ十分程度で書き終わり、冒険者ギルドへと戻る。
ティールとラストが戻ってきたことで、同業者たちはざわつき始めるが、二人は無視して受付嬢の元へ向かう。
「すいません。これ、お願いします」
片方は家族への近況報告の手紙。
そして、もう一つがクララ・インタールへの手紙。
という内容を書いた紙を見せ、余計な騒ぎを起こさないようにする。
「えっと……本当に、よろしいのですか?」
「はい。一応知人なので」
数回会っただけなので、友人だとは思っていない。
「かしこまりました」
普通なら知り合いであっても、冒険者からの手紙が貴族に届くことは、殆どない。
二人は冒険者界隈では有名になりつつあるが、ランクは以前と変わらずC。
二つ名もないため、彼らの名前を覚えている貴族などいない。
しかし、今回に限ってはクララが実家に事情を説明しているため、よっぽどなアホが自分勝手な判断をしない限り、今回の手紙は無事クララの元に届く。
「マスター、後何回挑む」
やっておくべきことが終了し、宿の食堂で夕食を食べる二人。
会話の内容は勿論、森林暗危について。
「アサルトレパードにって意味だよな」
「あぁ、勿論だ」
二人は二度目の攻略で十五階層まで到着し、見事アサルトレパードの討伐に成功した。
だが、二人としては自分たちの力だけで、討伐出来たとは思っていない。
二人の一つ前に挑んだ同業者たちが負わせた傷があったからこそ、自分たちは大きな怪我を負うことなく倒せた。
それが二人の考えであり、客観的に見ても、その考えが正しい。
「そうだな……俺としては、一人で倒せるようになるまで、って言うのが一つの目標かな」
何を言ってるんだこいつは、という視線が今回もティールに向けられるが、中には本当に一人で倒してしまうのでは? と考える冒険者もいた。
「ふむ、マスターなら不可能ではないな」
ティールの目標に対し、真面目な表情で実現できる可能性はあると口にするラスト。
二人の会話が聞こえる者たちの多くは、頭の上にはてなマークが浮かぶ。
しかし、二人の脳は至って正常。
「俺の場合は……厳しいな」
自分が少しずつ成長している自覚はあれど、今はまだアサルトレパードにソロで勝てるイメージが浮かばない。
「無理だとは思わないぞ。ただ、あの空間はアサルトレパードの狩りに適してるからな」
ティールとしては、その環境でアサルトレパードに一人で勝とうと考えている。
ラストの場合はステータスを考えると、少し頭を使う必要があった。
そんな二人の会話に対し、真剣に耳を傾けている者がいた。
新作、カバディ男の異世界転生。狩られたい奴はかかってこい!! の連載を始めます!
読んでいただけると幸いです
ルーキーから撃った喧嘩なので、二人を咎める者はいない。
ただ、さすがにやり過ぎでは? と思う者たちはいた。
「「「っ!!」」」
しかし、二人から零れる圧に退き、道を開ける。
「誰だよ、中身のねぇルーキーだって言った奴はよ」
「俺じゃねぇよ」
「私もそんな事言ってないわよ」
「いや、まぁそこら辺はどうでも良いでしょ……とりあえず、怒らせちゃ駄目な奴ってのは良く解った」
早いうちにそれが解かって良かったと思い、ルーキーの域から抜けたばかりの者たちは、一先ずホッと一安心。
そしてルーキーたちの元に駆け寄り、一応安否を確認する。
「そういえば、あれ忘れてたな」
訓練場ががやがやと騒がしい頃、ティールはダンジョン内で遭遇した出来事を思い出していた。
「何を忘れてたんだ、マスター」
「ほら、ダンジョンでさ、ちょっと不味いことあっただろ」
「……なるほど、それか」
普通に言葉として出せない。
そこから、ラストはティールが何を忘れていたのかを把握。
「一旦宿に戻るか」
周囲が騒がしくない場所に戻り、ティールは帰る途中に購入した封筒と手紙を取り出し、クララへの手紙を書き始めた。
内容は既に固まっていたので、ニ十分程度で書き終わり、冒険者ギルドへと戻る。
ティールとラストが戻ってきたことで、同業者たちはざわつき始めるが、二人は無視して受付嬢の元へ向かう。
「すいません。これ、お願いします」
片方は家族への近況報告の手紙。
そして、もう一つがクララ・インタールへの手紙。
という内容を書いた紙を見せ、余計な騒ぎを起こさないようにする。
「えっと……本当に、よろしいのですか?」
「はい。一応知人なので」
数回会っただけなので、友人だとは思っていない。
「かしこまりました」
普通なら知り合いであっても、冒険者からの手紙が貴族に届くことは、殆どない。
二人は冒険者界隈では有名になりつつあるが、ランクは以前と変わらずC。
二つ名もないため、彼らの名前を覚えている貴族などいない。
しかし、今回に限ってはクララが実家に事情を説明しているため、よっぽどなアホが自分勝手な判断をしない限り、今回の手紙は無事クララの元に届く。
「マスター、後何回挑む」
やっておくべきことが終了し、宿の食堂で夕食を食べる二人。
会話の内容は勿論、森林暗危について。
「アサルトレパードにって意味だよな」
「あぁ、勿論だ」
二人は二度目の攻略で十五階層まで到着し、見事アサルトレパードの討伐に成功した。
だが、二人としては自分たちの力だけで、討伐出来たとは思っていない。
二人の一つ前に挑んだ同業者たちが負わせた傷があったからこそ、自分たちは大きな怪我を負うことなく倒せた。
それが二人の考えであり、客観的に見ても、その考えが正しい。
「そうだな……俺としては、一人で倒せるようになるまで、って言うのが一つの目標かな」
何を言ってるんだこいつは、という視線が今回もティールに向けられるが、中には本当に一人で倒してしまうのでは? と考える冒険者もいた。
「ふむ、マスターなら不可能ではないな」
ティールの目標に対し、真面目な表情で実現できる可能性はあると口にするラスト。
二人の会話が聞こえる者たちの多くは、頭の上にはてなマークが浮かぶ。
しかし、二人の脳は至って正常。
「俺の場合は……厳しいな」
自分が少しずつ成長している自覚はあれど、今はまだアサルトレパードにソロで勝てるイメージが浮かばない。
「無理だとは思わないぞ。ただ、あの空間はアサルトレパードの狩りに適してるからな」
ティールとしては、その環境でアサルトレパードに一人で勝とうと考えている。
ラストの場合はステータスを考えると、少し頭を使う必要があった。
そんな二人の会話に対し、真剣に耳を傾けている者がいた。
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読んでいただけると幸いです
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