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俺と間男と間男
⑤
しおりを挟む俺は今、猛烈に不安になり怖がっていた。
優男の愛撫を物足りないと思う一方で、どうしても子猫ちゃんの愛撫と比べてしまって、対極に申し訳ないほど優しくされていることを意識せざるをえなかったからだ。
無言なのは同じでも、子猫ちゃんがムードもへったくれもなかったのに対し、時折、口づけを落とし、絶えずぴちゃぴちゃと水音を立てる優男は、確実に俺を昂らせている。
うなじを舐めつくされて、すっかり熱く息の上がった俺は、優男が肩甲骨に舌を滑らせたのに合わせて、俯けていた頭をソファにもたれて首をそらした。
期待するように首筋を伸ばして。
何も言わずに首の付け根から顔の輪郭まで舌を滑らせたのに「はっ」とつい安堵のようなため息を吐く。
口づけを交えながら、ぴちゃぴちゃと舐めつくされたら、インナーの襟ぐりまで覗く胸と脇にも舌が滑っていって、忙しなく脇に抜き差しされては堪らずに「は、あっ・・・ん」と湿った声を漏らして腰を揺らした。
インナーの襟ぐり付近を舐められて、傍にある胸の突起がすっかり反応していたものの、脇を丹念に舐めつくした舌は、もう片方の腕に這っていった。
敏感なところを舐められた後では、Yシャツ越しの舌の感触はじれったいもので、そのせいもあって胸の突起がインナーに擦れるのをやけに感じてしまい、上体をくねらせるのが止められなくなる。
手首のあたりを舐められるころには、熱を帯びた腰の中心部分も固くなって、張りつめた布に擦れるたび「は、ん・・・あ、あ」と喘ぎが漏れてやまなかった。
腕を舐め終えた舌は肩のほうへ滑っていき、その間にインナーを両手でまくりあげられた。
突起にインナーをひっかけるようにされ「う、んっ」と胸と腰を揺らす。
肩まで舌がきて、肩甲骨と胸の谷間を滑っていき、ついにまくられたインナーを超えてきたものの、乳輪の外側の触れるか触れないか際どいところを舌先が掠めるだけで、張りつめた中心は濡らしてもらえず。
両方ともぴんと立つ突起を尻目に、胸の周りを舐められ、しゃぶられ、口づけを落とされ、濡らされるのが妙に恥ずかしくありながら、胸を突きだし強請りたくてたまらなかった。
さすがに、その一線を越えることはできないで、代わりに下の張りつめているのを盛んに布に擦りつける。
布に擦るだけでは刺激が足らなかったけど、胸の突起が舐められるのを想像すると、先走りが漏れてきて、まだ舌がきていないのに股が濡れていった。
胸を舐めつくされ股がぐしょぐしょになったところで、下りていった舌にへそを舐められて「あ、ん」と腰を跳ねた。
熱く張りつめているものまで、もう少しなのを、へそに舌をねじこまれて執拗にしゃぶられて、お腹を引きながらも腰を突き上げるのがやめられない。
パンツだけでなく、ズボンにまで染みてきそうに股が濡れて、微かに水音も耳につき、羞恥心で顔が燃えるように熱い。
恥ずかしく無様な姿を、いっそ嘲笑ってくれたほうが気が紛れるところ、優男は黙りこんで表情も変えずに、ひたすら舌を滑らすから居たたまらなくてたまらなかった。
いい加減、へそをしゃべるのをやめて滑っていった舌は、でも、ズボンのベルトの金具に行き当たって横にそれた。
そのままズボンの上を滑っていって、合間に靴下を脱がし、素足に舌を這わせる。
お預けを食らった状態で、抵抗を覚える足をこれでもかと丁寧に舐められて、体が火照ってしかたないと同時に背筋に悪寒が走ってやまなく、頭がどうにかなりそうだった。
時間をかけて一つ一つの足の股をしゃぶられれば、もう恥もへったくれもなく、「あ、あ・・・は、あ、あん、あぁ・・・」と水音を立たせるのを憚らないで腰を揺らめかした。
やっと、すべての足の指先を舐めきって、ズボンのベルトに手をかけたから、今度こそ触ってもらえると思いきや、指先を離れた舌は足を伝っていくことなく、濡れた股を飛び越えて胸のほうへいき、突起を舐めあげた。
てっきり放置されたままでいると思っていたし、濡れた股のほうに意識が向いていたから驚いて「ああっ・・・!」と甲高く鳴いてしまう。
一舐めされただけなものを、散々焦らされた挙句、不意打に腫れたような熱いそこを舌で濡らされては、体がどうしようもなく喜んでしまって、射精するのを堪えられなかった。
思えば、射精するのは久しかった。
子猫ちゃんの愛撫は痛いほどだったし、慣らされずに突っこまれて突かれるのを毎度「早くイってくれ」と苦行に耐えるように思っていたし。
日ごろのセックスがそれでは、自慰をするのも気分が乗らず、すっかりご無沙汰になっていた。
なので、久しぶりの射精、しかも、これでもかと昂らされ痛みのない愛撫を施されて達したともなれば、頭の意識が飛びそうに快感に痺れるというもの。
熱く息を切らし涎を垂らしっぱなしにして、ソファにぐったりともたれる姿は、さぞみっともないものだろう。
が、優男は別に驚いたようではなく、ベルトを外す手を止めないでジッパーを下ろしお目見えした、濡れそぼったパンツに指をかけた。
パンツがめくられ濡れた粘着質な感触がするのと、ぐちゃ、と水音が立ったのに「っあ・・・」と冷めやまらない体を震わせた間もなく、剥き出しになったそこに固いものが押し当てられた。
息を飲む暇も与えてくれないで、とたんに濡れたそこを固いので容赦なくぐちゃぐちゃに扱きだし、両手で胸を揉むようにしながら指で突起をいじくり回した。
「ああ、あ、だ、めえ、は、はぁん、あ、あ、あぁん」
待ち望みながらもずっと放置されつづけたところを急に、しかも同時に扱かれ揉まれて怒涛のように快感が湧いてくる。
溜まりに溜まった精液をさっき出したばかりのはずが、腰を跳ねるたびに先走りが噴き出してソファに散った。
ソファを汚すことを気にしている余裕はなく、短い間隔で何度も達しているようで、絶え間なく先走りが散るのも、あんあん高く鳴くのも、とても制御ができない。
快楽を処理できるキャパはとっくに超えて、気持ちよくされるのが怖いという思いは頂点に達し「ああ、あ、あ、ん、あん」と喘ぎながらも泣いてしまう。
「・・・怖いんですね」
それまで俺からすこし体を放し、狂ったように善がる姿を眺めていたような優男が、頬ずりをするように耳元に顔を寄せてきた。
そう、怖い。
だから止めてくれ、と言いたくて、泣きながら首を横に振ると「ふふ」と笑いを含んだ吐息が耳に吹きこまれる。
「こうして、あたなをとことん気持ちよくしている僕が、明日には冷たく突き放すかもしれない。
『は?セックスしたくらいで何、本気になっているんですか?』ってね」
「あ、そん、な、ああ、や、やあ」
意地悪なことを囁きつつも、胸と濡れた股を気持ちよくしてくる。
怖いという思いは消えないのに、かといって萎えることなく、股をしとどに濡らす。
それを見咎めたように、水音を立てるように扱いてきて「ほら」と言われた。
「でも、怖いのは気持ちいい、でしょ?」
ただでさえ火照っている顔が、かっと熱くなる。
自覚はないけど、図星のように思えて優男に心の奥底まで見透かされているように思えて、余計に怖かった。
これ以上心を暴かれたくなくて、悪魔のような囁きから逃れようと顔を伏せるも、優男は舐め上げた耳の裏に唇を押し当ててくる。
「あなたにとってセックスは、最後の晩餐のようなんですね。
明日はどうなるか分からない。
今この時にしか気持ちよくなれないかもしれない。
だから、体が快楽を貪り食おうとする」
「たまらない体だ」と言われて「や、やあ、あぁん!」と俺は射精せずに達した。
脳みそが溶けそうなほどの甘い痺れに、指の先も動かせない状態になったけど、優男の手と囁きは留まることを知らないで、その後も快楽の底なし沼に溺れさせられつづけたのだった。
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