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悪童の流儀(1)
(3)
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フランス人であるデュシュッド氏の物腰は、軽薄とは言わないまでも、この国でよしとされている紳士の在り方――多くを語らず行動で示す――と比べれば、多少浮ついているのは否めない。彼自身は上流階級の出身だが、階級に拘らず縦横無尽に人々の間を往き来する身軽さは、ジェイムズにも通じるものがあった。そんなデュシュッド氏を気に食わないというのなら、それはおそらく同族嫌悪というものだろう。
睨みつけて返事を迫るジェイムズに、特に隠す必要もないと判断したレジナルドは、新たなスカウトについて教えてやった。
「新しい事業に参画しないかというお誘いがあってね」
「新しい事業?」
「旧ケイリー伯爵邸を改装してホテルにする計画だそうだ。ついてはホテルマンの経験があり、かつマーシャル家の端くれであるわたしに責任者として参加してほしい、と」
「断固反対する!」
突然、起こした体ごと寝台が揺れるほどの勢いでジェイムズは枕を殴り、怒鳴った。
「そのような人の弱みを突くやり方、私は断じて認めない。私の恋敵を気取るなら、正面衝突で堂々と戦い、木っ端微塵に玉砕しろ。それが紳士というものだ!」
――完全復活。
睨みつけて返事を迫るジェイムズに、特に隠す必要もないと判断したレジナルドは、新たなスカウトについて教えてやった。
「新しい事業に参画しないかというお誘いがあってね」
「新しい事業?」
「旧ケイリー伯爵邸を改装してホテルにする計画だそうだ。ついてはホテルマンの経験があり、かつマーシャル家の端くれであるわたしに責任者として参加してほしい、と」
「断固反対する!」
突然、起こした体ごと寝台が揺れるほどの勢いでジェイムズは枕を殴り、怒鳴った。
「そのような人の弱みを突くやり方、私は断じて認めない。私の恋敵を気取るなら、正面衝突で堂々と戦い、木っ端微塵に玉砕しろ。それが紳士というものだ!」
――完全復活。
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