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悪童の流儀(1)
(2)
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(何だろう…無人の大英博物館かV&Aにいるみたいな…)
さすがに異国趣味を免れている台所に退避し、銀器でも磨こうかと立ち上がったところで、ジェイムズが目を覚ました気配がした。そっと寝室の扉を開けると、ジェイムズは起き上がりながら額のタオルを外しているところだった。
「よく眠れたかい?熱は下がったかな」
額に手を当ててみると、薬が効いたのかジェイムズの熱は下がっていて、レジナルドを安心させた。
寝台の上に身を起こしたジェイムズの顔には高熱の後の窶れが見えたが、顔色は悪くなく気分も良さそうだ。再度体を拭いてやり、着替えをさせたところで、さきほど電話を借りたことを思い出した。
「君が寝ている間に電話を借りたよ。どうしても済ませなければならない用事があったんだ」
「ザ・ジャロルズにか」
「そのお客様だよ。――ああ、君も知っている方だ。前にザ・リッツで見たと言っていただろう?」
「あんな気障男に何の用だ」
「気障男って…」
顔付きを一変させて低く唸るジェイムズの言い草に、呆れ半分苦笑半分といったところだ。
さすがに異国趣味を免れている台所に退避し、銀器でも磨こうかと立ち上がったところで、ジェイムズが目を覚ました気配がした。そっと寝室の扉を開けると、ジェイムズは起き上がりながら額のタオルを外しているところだった。
「よく眠れたかい?熱は下がったかな」
額に手を当ててみると、薬が効いたのかジェイムズの熱は下がっていて、レジナルドを安心させた。
寝台の上に身を起こしたジェイムズの顔には高熱の後の窶れが見えたが、顔色は悪くなく気分も良さそうだ。再度体を拭いてやり、着替えをさせたところで、さきほど電話を借りたことを思い出した。
「君が寝ている間に電話を借りたよ。どうしても済ませなければならない用事があったんだ」
「ザ・ジャロルズにか」
「そのお客様だよ。――ああ、君も知っている方だ。前にザ・リッツで見たと言っていただろう?」
「あんな気障男に何の用だ」
「気障男って…」
顔付きを一変させて低く唸るジェイムズの言い草に、呆れ半分苦笑半分といったところだ。
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