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有能なる従僕の手法
(2)
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電話口で驚く相手にかまわず、すかさず用件を述べる。
「実はジェイムズ卿が早朝から大変な高熱を出して寝込まれまして。毎年この季節にそういう風邪を引き込むそうなのですが、かつて同じ寮で過ごされたあなたならご存知でしょうか」
一瞬息を呑み、肯定を伝えてくるレジナルドに、
「看病を頼まれたのですが、生憎本日わたしは手が離せない用事がありまして卿のお世話ができません。どなたか代役をと思案したところで、あなたのことを思い出した次第です。ザ・ジャロルズのオーナー様には承諾をいただいていますので、本日あなたにはフロントマネージャーと卿の看護人、二つの選択肢が存在することになります」
一気に告げると、
「選択権はあなたにあります。では、ごきげんよう」
相手の返事を待たずに電話を切るという、生まれて初めての暴挙を働いて肩で息をついた。
(受け入れるにしろ断ち切るにしろ、卿と同じ世界に立てるあなたはためらう必要などないのですよ、レジィ)
「実はジェイムズ卿が早朝から大変な高熱を出して寝込まれまして。毎年この季節にそういう風邪を引き込むそうなのですが、かつて同じ寮で過ごされたあなたならご存知でしょうか」
一瞬息を呑み、肯定を伝えてくるレジナルドに、
「看病を頼まれたのですが、生憎本日わたしは手が離せない用事がありまして卿のお世話ができません。どなたか代役をと思案したところで、あなたのことを思い出した次第です。ザ・ジャロルズのオーナー様には承諾をいただいていますので、本日あなたにはフロントマネージャーと卿の看護人、二つの選択肢が存在することになります」
一気に告げると、
「選択権はあなたにあります。では、ごきげんよう」
相手の返事を待たずに電話を切るという、生まれて初めての暴挙を働いて肩で息をついた。
(受け入れるにしろ断ち切るにしろ、卿と同じ世界に立てるあなたはためらう必要などないのですよ、レジィ)
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