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シェリングフォード家の主従
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「第二に、エリオットは従僕という仕事に誇りを持っている。だからこそあの若さで、わたしと出会った十五の頃から、大城館の老執事にも比肩する品格を備えていた。その誇りに反する振る舞いを彼がするとは考えにくい。主人とのけじめのない付き合いは、その最たるものなんだよ」
「――私は気にしない、むしろそうしてほしいと願っても?」
「それは従僕の職分に含まれず、むしろ反する要求だ。主人の我が儘として受け流す以外、彼にできることはないだろう」
少々言い過ぎかと思いながらも事実を曲げるわけにはいかず、早口で言い切ると、
「…私の気持ちは」
すっかり表情を無くしたアルバートは沈痛な声音で呟いた。
「エリオットにとって、ただの主人の我が儘に過ぎないのか…?」
「第三に、もしエリオットが君を恋愛の対象として見ている場合」
背中を丸めて落ち込んでいるアルバートに内心では天を仰ぎながら、レジナルドは急いで付け足した。
「やはり主人とのけじめのない付き合いを嫌う彼は、自分の気持ちを決して表に出すことはないだろう。彼の無言のサインを読み取るのは君であって、わたしではない。これ以上何も言えることはないよ」
「――私は気にしない、むしろそうしてほしいと願っても?」
「それは従僕の職分に含まれず、むしろ反する要求だ。主人の我が儘として受け流す以外、彼にできることはないだろう」
少々言い過ぎかと思いながらも事実を曲げるわけにはいかず、早口で言い切ると、
「…私の気持ちは」
すっかり表情を無くしたアルバートは沈痛な声音で呟いた。
「エリオットにとって、ただの主人の我が儘に過ぎないのか…?」
「第三に、もしエリオットが君を恋愛の対象として見ている場合」
背中を丸めて落ち込んでいるアルバートに内心では天を仰ぎながら、レジナルドは急いで付け足した。
「やはり主人とのけじめのない付き合いを嫌う彼は、自分の気持ちを決して表に出すことはないだろう。彼の無言のサインを読み取るのは君であって、わたしではない。これ以上何も言えることはないよ」
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