(完結)好きな人には好きな人がいる

いちみやりょう

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道視点:レクリエーション3

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ジリリリリ

「あ、終わった」

レクリエーションの終了を告げる鐘が鳴り、俺はひょいっと立ち上がった。

「藤井、俺、藤井と友達だった頃、すごく楽しかったんだ。だから藤井が律葉の次に好きになった人がいた時、緊張しないでちゃんと話したらきっとうまくいくと思うし。うまくいくことを願ってるよ」

出口付近で部屋を出る前に振り返ってそう告げると、藤井はその顔に苦笑いを浮かべた。

「……まぁ、次もうまくいかなかったんだけど」
「え?」

藤井が呟いた声は、小さすぎてドア付近にいた俺には何を言ったのか分からなかった。

「なんでもねーよ。ほら、行かないと景品もらえないんだろ?」
「あ、そうだった。じゃあね。話し相手になってくれてありがとう……っんぶっ」

急いでドアを開けて飛び出すとドンっと柔らかい何かにぶつかった。

「せ、せ、先輩?」
「遅かったな、道」

先輩は、俺を見下ろして首を傾げて笑顔を見せた。
その顔は、笑顔ではあるものの、機嫌が良さそうではない。

「どうしてここに……?」
「……たまたまだ」

先輩はそう言いつつ、俺の体をあちこち触ってなにやら確認しているように感じる。

「先輩? な、なに?」
「なんでもない。いや……、なんでもなくない」
「え?」

先輩がここにいるだけでも不思議なのに、なんでもなくないなんて言葉と、まるで苦虫を噛み潰したような表情に、ますます困惑した。

「藤井と一緒に居ただろう。道がこの部屋に入って行ったのも、その後しばらくして藤井が来たのも見ていた。叫び声が聞こえたらすぐに部屋に入るつもりで、ドアの前で待っていたんだ」
「え……、な、なんですぐ声かけてくれなかったの」
「俺が声をかけると、道は俺に捕まったことになってレクリエーションが負けになるだろう」
「え、俺がレクリエーションに負けないために?」
「そうだ……。それで? 藤井に何かされたりはしてないよな」
「あ、うん。ただ話してただけ。あの時はごめんって」

そう告げると、先輩の目元も少し緩んだ。

「そうか。なんもなかったならよかった」
「うん。心配してくれてありがとう」

俺がそう言うと、先輩は俺の頭に手をぽふっと置いて、そのままわさわさと撫でてくれた。

「レクリエーション中ずっと楽しそうだったが、景品の中に目当てのものでもあるのか?」
「うん。まぁ1位を目指すほどではないけど……って、ずっとって、もしかして先輩ずっと俺を見てたの?」
「……ストーカーするつもりはなかったが、こんだけ自由行動で道が安全かどうか心配だったから」
「え、いや。ストーカーなんて思ってないよ。そうやって先輩が俺の心配してくれるの、嬉しいし。だけど、心配かけないようになるべく気をつけるね」
「ああ。そうしてもらえると助かる……それで?」
「それでって?」
「目当ての景品は?」
「ああ。そりゃあ、みんなそうだと思うけど、一番はなんてったって1DKの寮だよね。でも、ちょっと日和って隠れてたから、お菓子詰め合わせは確実にもらえるくらいかなって思ってる」
「そうか」

そこで先輩は風紀委員の人から話しかけられて、体育館に着いたこともあって、俺たちはその場で別れた。

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