(完結)好きな人には好きな人がいる

いちみやりょう

文字の大きさ
35 / 61

律葉視点 律葉の恋3

しおりを挟む
生徒会室に行く前、いつも僕は学校の探検をしてから行っていたけど、会長に追い出される様に生徒会室を出た次の日、こっそりと生徒会室を見に行った。
きっと、僕が行く時間帯に他のメンバーがいないだけで、本当は他の生徒会のメンバーも仕事をしているはずだ。その割合が会長に傾いているだけだ。今まで僕は、そうだと気が付きたくなかっただけだ。

そうして案の定、放課後すぐの時間帯は生徒会室には他のメンバーがいた。
各々仕事はちゃんとしているようだった。
それをまとめたり割り振ったり、細かいところを修正したり、そういう小さなことが積み重なって、会長だけが忙しくしているみたいだった。

『会長~、そろそろ僕と付き合ってよ~』

扉越しに聞こえたのは、会長に対する告白だ。
それも、言っている内容的に、これまでもそうして告白していたみたいに聞こえる。

『ばぁか。会長はしつこい奴が好きじゃないって言ってんだろ。狙うなら押すんじゃなくて引くしかねぇよ』
『そんなこと言ったって、引いてたら一生チャンスないじゃんか』

気のおけない者同士の会話という感じだった。

『ねぇ。会長?』
『ありがとう。いつも言っている様に気持ちはとても嬉しいけど、君とはこの先も関わっていきたいからね。恋人になると思いがけないことで別れたりするでしょう? だから、君の気持ちには応えられいかな』

会長が断りの言葉を返しているのを聞いて、僕はホッと胸を撫で下ろした。
そして同時に不思議な感覚だった。会長って、普段こんな話し方をするんだ。
自分の知っている会長とは全然違って、あんなに近くに居たのにすごく遠い存在になった気持ちになって、寂しかった。

僕も、生徒会に入ってあの場所に堂々と居られる人間になったら、会長も少しは僕を認めてくれるんだろうか。
何度も告白して断られているのに、この先も関わっていきたいなんて言ってもらえるあの人みたいに、会長の将来に加えてもらえたりするだろうか。

なんて、もう嫌われているくせに、そんなことを考えて。
だから僕は1年生にたった1枠しかない生徒会の席を狙おうと思った。
その席に座れたのなら、ちゃんと弁えて、告白なんかせずに距離をとろう。
付き合うなんて大それたことは考えないから。せめて近くに居て、人に甘えないあの人を、僕が甘やかしたいななんて思った。

将来もずっと近くにいたいがために、距離を置くなんて本末転倒だなと思いながらも、僕は生徒会に入るために勉強を始めた。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

俺がモテない理由

秋元智也
BL
平凡な大学生活を送っていた桜井陸。 彼には仲のいい幼馴染の友人がいた。 友人の名は森田誠治という。 周りからもチヤホヤされるほどに顔も良く性格もいい。 困っている人がいると放かってはおけない世話焼きな 性格なのだった。 そんな二人が、いきなり異世界へと来た理由。 それは魔王を倒して欲しいという身勝手な王様の願い だった。 気づいたら異世界に落とされ、帰りかたもわからない という。 勇者となった友人、森田誠治と一緒に旅を続けやっと 終わりを迎えたのだった。 そして長い旅の末、魔王を倒した勇者一行。 途中で仲間になった聖女のレイネ。 戦士のモンド・リオールと共に、ゆっくりとした生活 を続けていたのだった。 そこへ、皇帝からの打診があった。 勇者と皇女の結婚の話だった。 どこに行ってもモテまくる友人に呆れるように陸は離 れようとしたのだったが……。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
家族にも見捨てられ、学校で孤独を感じていた静。 毎日が辛くて生きる意味を失いかけた彼の前に現れたのは、眩しい太陽のような青年天輝玲。 玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 しかしある日、玲の口から聞いたある言葉で、信頼から憎悪へと変わった。 それから十年。 玲と再会を果たした静は復讐を果たそうとする。

処理中です...