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律葉視点 律葉の恋4
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会長の元に通わなくなったものの、僕の下駄箱に入る悪口は止まらなかった。
けれどしばらくすると悪口の紙は入らなくなり、その代わりにラブレターのようなものが入る様になった。純粋な愛を綴った様な内容のラブレターは、けれど日に日に気持ち悪さを含み始め、最終的には狂気的な内容になっていった。
気持ち悪い。
けれど、こんなこと気にしなければ良い。そう思うのに、気になって、気持ち悪くて、だけど僕はどう対処して良いか分からなかった。
道に相談しようと思ったけど、会長から言われた『あんまり頼み事ばかりしていると、周りから人が居なくなっちゃうんじゃないかな?』という言葉が頭の中を回って、結局我慢することにした。道と友達でいるのは楽しいし、もし道が僕を嫌ったらと思うと怖かったから。
そんな頃だった。
僕が生徒会に入りたいのだと知った道は、辰巳先輩に勉強を教えてもらえとお勧めしてきた。
正直に言って、会長と僕が恋愛に発展する可能性はゼロに等しいけれども、かと言って辰巳先輩と2人で勉強しているところが、回り回って生徒会長であるあの人の耳に入ってしまったらと思うと、そのことを後悔しそうだと思ったので、言い出しっぺの道も一緒にという条件で辰巳先輩に勉強を教わる様になった。
初日に、自習室に入った時、辰巳先輩は本を読んでいた。
「先輩、今日からよろしくお願いしますっ」
道と一緒に挨拶をして、それから勉強が始まった。
とりあえず今日は一番苦手に感じている英語を教わった。確かに道が言っていた様に辰巳先輩の教え方はうまくて分かりやすい。質問すればなんでも僕みたいなバカでも分かりやすいくらいに噛み砕いた言い方で教えてくれた。
「寝てしまったな」
辰巳先輩は道を見て、困った様に、けれど優しい目でそう言った。
「そうですね。道ってば、僕よりも成績まずいのに」
「そうなのか?」
辰巳先輩は驚いた様にそう言った。
「そうです。でも、僕は生徒会に入りたいから僕の方が焦ってるけど。生徒会に入るのって、成績も関わってくるって聞くし。道に話したら、それなら辰巳先輩に教えてもらったほうが良いって言ってくれて」
「そうか。道が」
「道って辰巳先輩のこと、大好きですよね。柴犬みたいで可愛い。先輩もそう思うでしょ?」
「……まぁ」
辰巳先輩はその言葉の歯切れの悪さとは裏腹に、道のことをまるで愛おし者を見る目で見るから、僕は辰巳先輩は道のことが好きなんじゃないかなとその時思った。
勉強を始めてちょうど2時間くらい経って、そろそろお開きにしようかとなった。
「道~、帰るよ~」
「んー……あと、1時間」
「いや、1時間は寝すぎだよ」
道がなかなか起きなくて、手こずっていると、辰巳先輩は微かに笑った。
「道が起きるまで俺がここにいるから、律葉は帰った方が良い。勉強だけじゃなくて睡眠も大事だからな。まぁ、道は寝すぎかもしれないが」
チラリと道を見て、先輩がそう言った。
「でも」
「生徒会の選抜までもう時間はないんだ。早めに帰って早めに寝て、また明日勉強をしっかりしなきゃいけないだろう」
「……分かりました。では、道のことお願いします」
先輩は道のことが好きだろうけど、流石に道の合意なしに手を出したりはしないだろうと、僕は道を先輩に預けて帰ろうと思った。
下駄箱について、いつもの様に中に何か入っていないか確認するとティッシュのゴミが入っており、それを捨てようと手に取るとべちょっとした感覚があった。
「ぅわっ……な、なに」
少しぬめったそれが気持ち悪かったけど、手についたその液体を少し嗅いでみると、嗅いだ覚えのある青臭い匂いがした。
「う゛っ……ぇ、これ」
自分のものはとにかく、他人のそれを触ったのは初めてで吐き気を覚えた。
けれどしばらくすると悪口の紙は入らなくなり、その代わりにラブレターのようなものが入る様になった。純粋な愛を綴った様な内容のラブレターは、けれど日に日に気持ち悪さを含み始め、最終的には狂気的な内容になっていった。
気持ち悪い。
けれど、こんなこと気にしなければ良い。そう思うのに、気になって、気持ち悪くて、だけど僕はどう対処して良いか分からなかった。
道に相談しようと思ったけど、会長から言われた『あんまり頼み事ばかりしていると、周りから人が居なくなっちゃうんじゃないかな?』という言葉が頭の中を回って、結局我慢することにした。道と友達でいるのは楽しいし、もし道が僕を嫌ったらと思うと怖かったから。
そんな頃だった。
僕が生徒会に入りたいのだと知った道は、辰巳先輩に勉強を教えてもらえとお勧めしてきた。
正直に言って、会長と僕が恋愛に発展する可能性はゼロに等しいけれども、かと言って辰巳先輩と2人で勉強しているところが、回り回って生徒会長であるあの人の耳に入ってしまったらと思うと、そのことを後悔しそうだと思ったので、言い出しっぺの道も一緒にという条件で辰巳先輩に勉強を教わる様になった。
初日に、自習室に入った時、辰巳先輩は本を読んでいた。
「先輩、今日からよろしくお願いしますっ」
道と一緒に挨拶をして、それから勉強が始まった。
とりあえず今日は一番苦手に感じている英語を教わった。確かに道が言っていた様に辰巳先輩の教え方はうまくて分かりやすい。質問すればなんでも僕みたいなバカでも分かりやすいくらいに噛み砕いた言い方で教えてくれた。
「寝てしまったな」
辰巳先輩は道を見て、困った様に、けれど優しい目でそう言った。
「そうですね。道ってば、僕よりも成績まずいのに」
「そうなのか?」
辰巳先輩は驚いた様にそう言った。
「そうです。でも、僕は生徒会に入りたいから僕の方が焦ってるけど。生徒会に入るのって、成績も関わってくるって聞くし。道に話したら、それなら辰巳先輩に教えてもらったほうが良いって言ってくれて」
「そうか。道が」
「道って辰巳先輩のこと、大好きですよね。柴犬みたいで可愛い。先輩もそう思うでしょ?」
「……まぁ」
辰巳先輩はその言葉の歯切れの悪さとは裏腹に、道のことをまるで愛おし者を見る目で見るから、僕は辰巳先輩は道のことが好きなんじゃないかなとその時思った。
勉強を始めてちょうど2時間くらい経って、そろそろお開きにしようかとなった。
「道~、帰るよ~」
「んー……あと、1時間」
「いや、1時間は寝すぎだよ」
道がなかなか起きなくて、手こずっていると、辰巳先輩は微かに笑った。
「道が起きるまで俺がここにいるから、律葉は帰った方が良い。勉強だけじゃなくて睡眠も大事だからな。まぁ、道は寝すぎかもしれないが」
チラリと道を見て、先輩がそう言った。
「でも」
「生徒会の選抜までもう時間はないんだ。早めに帰って早めに寝て、また明日勉強をしっかりしなきゃいけないだろう」
「……分かりました。では、道のことお願いします」
先輩は道のことが好きだろうけど、流石に道の合意なしに手を出したりはしないだろうと、僕は道を先輩に預けて帰ろうと思った。
下駄箱について、いつもの様に中に何か入っていないか確認するとティッシュのゴミが入っており、それを捨てようと手に取るとべちょっとした感覚があった。
「ぅわっ……な、なに」
少しぬめったそれが気持ち悪かったけど、手についたその液体を少し嗅いでみると、嗅いだ覚えのある青臭い匂いがした。
「う゛っ……ぇ、これ」
自分のものはとにかく、他人のそれを触ったのは初めてで吐き気を覚えた。
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