79 / 81
番外編
鷹と天使の真夏の夜の夢
しおりを挟む
特にオチもない日常ハグの日(8月9日)のお話です
----
「あの……暑くはないのですか?」
暑の月を迎え、夜でも暑い日が続いていた。いくら寝衣を薄くしても、暑いものは暑い。
ましてや、ふたりで睦みあったあとであればなおさらだ。
流したものの、汗ばむ肌に顔をうずめていた蒼鷹にソルーシュが問いかけると、むしろ蒼鷹はより密着してきた。
「暑いな」
「でしたら少し離れてもよいのでは……」
「ソルーシュは嫌か?」
「嫌ではないのですが、また迷惑をお掛けしそうで」
昨年初めての賢高の夏に、暑気あたりを起こしたことを引きあいにだした。
「ふむ……それは確かに困るな。ちょっと待ってろ」
颯爽と寝台を抜け出した蒼鷹は部屋も飛び出していってしまった。
気もそぞろなソルーシュが寝台の上でどうしたものかと思案していると、蒼鷹は手に大きな盥を抱えて戻ってきた。
「これで少しは涼しくなる」
盥を窓枠に置くと、先ほどまで生ぬるくまとわりついてきた夜風が涼を運んだ。
「なにをしたのですか?」
「氷を持ってきた」
盥の中には大きな氷がたっぷりと盛られていた。
「御膳部から持ってきたのですか?こんなにたくさん?」
「毎日はさすがに景超に怒られるがたまにはいいだろう」
御膳部長の景超は気のいい男だが、こと食材の管理には厳しい。氷は冬の間に作られ氷室に保管されている。
生物を腐らせないように、また甘く煮た豆と削った氷で作る紅豆冰にも使われた。
明日、氷が減っていることに気付けばきっと景超は激怒することだろう。
そこまでしてでも、抱き合って眠りたいらしい。
「明日はワタシも一緒に謝りに行きますね」
そう言って掛け布をめくり蒼鷹の寝場所を作った。
「そうしてくれると助かる」
あるべき場所に収まった蒼鷹をその腕で包み込む。
走ったのか熱い蒼鷹の身体は先ほどの行為を少し思い出させたが、さすがにソルーシュの体力はもう残っていない。
鎮めるつもりでゆっくりと呼吸をすると、胸の中から静かな寝息が聞こえてきた。
安心して眠る蒼鷹の額に唇を落とし、ソルーシュは 目を閉じた。
その日の夢は子どものころの蒼鷹がつまみ食いをして景超に怒られるものだった。
----
「あの……暑くはないのですか?」
暑の月を迎え、夜でも暑い日が続いていた。いくら寝衣を薄くしても、暑いものは暑い。
ましてや、ふたりで睦みあったあとであればなおさらだ。
流したものの、汗ばむ肌に顔をうずめていた蒼鷹にソルーシュが問いかけると、むしろ蒼鷹はより密着してきた。
「暑いな」
「でしたら少し離れてもよいのでは……」
「ソルーシュは嫌か?」
「嫌ではないのですが、また迷惑をお掛けしそうで」
昨年初めての賢高の夏に、暑気あたりを起こしたことを引きあいにだした。
「ふむ……それは確かに困るな。ちょっと待ってろ」
颯爽と寝台を抜け出した蒼鷹は部屋も飛び出していってしまった。
気もそぞろなソルーシュが寝台の上でどうしたものかと思案していると、蒼鷹は手に大きな盥を抱えて戻ってきた。
「これで少しは涼しくなる」
盥を窓枠に置くと、先ほどまで生ぬるくまとわりついてきた夜風が涼を運んだ。
「なにをしたのですか?」
「氷を持ってきた」
盥の中には大きな氷がたっぷりと盛られていた。
「御膳部から持ってきたのですか?こんなにたくさん?」
「毎日はさすがに景超に怒られるがたまにはいいだろう」
御膳部長の景超は気のいい男だが、こと食材の管理には厳しい。氷は冬の間に作られ氷室に保管されている。
生物を腐らせないように、また甘く煮た豆と削った氷で作る紅豆冰にも使われた。
明日、氷が減っていることに気付けばきっと景超は激怒することだろう。
そこまでしてでも、抱き合って眠りたいらしい。
「明日はワタシも一緒に謝りに行きますね」
そう言って掛け布をめくり蒼鷹の寝場所を作った。
「そうしてくれると助かる」
あるべき場所に収まった蒼鷹をその腕で包み込む。
走ったのか熱い蒼鷹の身体は先ほどの行為を少し思い出させたが、さすがにソルーシュの体力はもう残っていない。
鎮めるつもりでゆっくりと呼吸をすると、胸の中から静かな寝息が聞こえてきた。
安心して眠る蒼鷹の額に唇を落とし、ソルーシュは 目を閉じた。
その日の夢は子どものころの蒼鷹がつまみ食いをして景超に怒られるものだった。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる