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番外編
鷹と天使の真夏の夜の夢
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特にオチもない日常ハグの日(8月9日)のお話です
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「あの……暑くはないのですか?」
暑の月を迎え、夜でも暑い日が続いていた。いくら寝衣を薄くしても、暑いものは暑い。
ましてや、ふたりで睦みあったあとであればなおさらだ。
流したものの、汗ばむ肌に顔をうずめていた蒼鷹にソルーシュが問いかけると、むしろ蒼鷹はより密着してきた。
「暑いな」
「でしたら少し離れてもよいのでは……」
「ソルーシュは嫌か?」
「嫌ではないのですが、また迷惑をお掛けしそうで」
昨年初めての賢高の夏に、暑気あたりを起こしたことを引きあいにだした。
「ふむ……それは確かに困るな。ちょっと待ってろ」
颯爽と寝台を抜け出した蒼鷹は部屋も飛び出していってしまった。
気もそぞろなソルーシュが寝台の上でどうしたものかと思案していると、蒼鷹は手に大きな盥を抱えて戻ってきた。
「これで少しは涼しくなる」
盥を窓枠に置くと、先ほどまで生ぬるくまとわりついてきた夜風が涼を運んだ。
「なにをしたのですか?」
「氷を持ってきた」
盥の中には大きな氷がたっぷりと盛られていた。
「御膳部から持ってきたのですか?こんなにたくさん?」
「毎日はさすがに景超に怒られるがたまにはいいだろう」
御膳部長の景超は気のいい男だが、こと食材の管理には厳しい。氷は冬の間に作られ氷室に保管されている。
生物を腐らせないように、また甘く煮た豆と削った氷で作る紅豆冰にも使われた。
明日、氷が減っていることに気付けばきっと景超は激怒することだろう。
そこまでしてでも、抱き合って眠りたいらしい。
「明日はワタシも一緒に謝りに行きますね」
そう言って掛け布をめくり蒼鷹の寝場所を作った。
「そうしてくれると助かる」
あるべき場所に収まった蒼鷹をその腕で包み込む。
走ったのか熱い蒼鷹の身体は先ほどの行為を少し思い出させたが、さすがにソルーシュの体力はもう残っていない。
鎮めるつもりでゆっくりと呼吸をすると、胸の中から静かな寝息が聞こえてきた。
安心して眠る蒼鷹の額に唇を落とし、ソルーシュは 目を閉じた。
その日の夢は子どものころの蒼鷹がつまみ食いをして景超に怒られるものだった。
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「あの……暑くはないのですか?」
暑の月を迎え、夜でも暑い日が続いていた。いくら寝衣を薄くしても、暑いものは暑い。
ましてや、ふたりで睦みあったあとであればなおさらだ。
流したものの、汗ばむ肌に顔をうずめていた蒼鷹にソルーシュが問いかけると、むしろ蒼鷹はより密着してきた。
「暑いな」
「でしたら少し離れてもよいのでは……」
「ソルーシュは嫌か?」
「嫌ではないのですが、また迷惑をお掛けしそうで」
昨年初めての賢高の夏に、暑気あたりを起こしたことを引きあいにだした。
「ふむ……それは確かに困るな。ちょっと待ってろ」
颯爽と寝台を抜け出した蒼鷹は部屋も飛び出していってしまった。
気もそぞろなソルーシュが寝台の上でどうしたものかと思案していると、蒼鷹は手に大きな盥を抱えて戻ってきた。
「これで少しは涼しくなる」
盥を窓枠に置くと、先ほどまで生ぬるくまとわりついてきた夜風が涼を運んだ。
「なにをしたのですか?」
「氷を持ってきた」
盥の中には大きな氷がたっぷりと盛られていた。
「御膳部から持ってきたのですか?こんなにたくさん?」
「毎日はさすがに景超に怒られるがたまにはいいだろう」
御膳部長の景超は気のいい男だが、こと食材の管理には厳しい。氷は冬の間に作られ氷室に保管されている。
生物を腐らせないように、また甘く煮た豆と削った氷で作る紅豆冰にも使われた。
明日、氷が減っていることに気付けばきっと景超は激怒することだろう。
そこまでしてでも、抱き合って眠りたいらしい。
「明日はワタシも一緒に謝りに行きますね」
そう言って掛け布をめくり蒼鷹の寝場所を作った。
「そうしてくれると助かる」
あるべき場所に収まった蒼鷹をその腕で包み込む。
走ったのか熱い蒼鷹の身体は先ほどの行為を少し思い出させたが、さすがにソルーシュの体力はもう残っていない。
鎮めるつもりでゆっくりと呼吸をすると、胸の中から静かな寝息が聞こえてきた。
安心して眠る蒼鷹の額に唇を落とし、ソルーシュは 目を閉じた。
その日の夢は子どものころの蒼鷹がつまみ食いをして景超に怒られるものだった。
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