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天降る天使の希い
終の月 その五
しおりを挟む蒼鷹の隣にソルーシュが立つと、集まった臣下、並びに兵たちはしんと静まり返った。
霊廟での儀式を早朝に終えてふたりが立つのは、王城の中心にある凰稜殿。
寒い北風が吹きすさぶ中で冬至祭ははじまった。
蒼鷹はいつものように黒一色の上衣下裳。締められた帯は黄色の絹糸で雲間に飛ぶ鷹の刺繍が施されている。
その隣、ソルーシュは白一色である。
揃いの帯は大袖とともに、風に揺れている。
眼下に見える人の多さに、ソルーシュは圧倒されていた。
――これだけの人の、いや賢高の民の命を預かっているのだ。
王城の門のさらに先にいる民を思い、ソルーシュは気を引き締めた。
蒼鷹の合図とともに冬至を祝う声がほうぼうからあがった。これから本格的になる寒さを乗り越えるため、国の安定と万事円満を願うのだ。
ソルーシュが昨日用意した揚餃子と桂花で作られた酒が振る舞われる。
長老の中には見慣れない食べ物に首を傾げているものも多いが、兵士は珍しい食べ物に興奮している様が見て取れた。
どうやら受け入れられたようだと安堵しているソルーシュに蒼鷹が寄り添う。
「なにやらいつもより不格好なものが多い気がするが」
「すいません。見目の悪いものはこちらに出すようお願いしました。ワタシと紅希様が作ったのですが……」
「それは良い。ソルーシュが作ったものは他の者に食べさせたくはないからな」
努力はしたが厚い皮、なんとか餡がこぼれないように包んだ餃子がうず高く積まれていた。
それをひとつ手にとって蒼鷹が口に放り込んだ。
さくさくとした音の中に、均等に伸ばしきれなかった分厚い部分ががりっと大きな音を立てた。
「固いですよね」
「これはこれで美味い。それに去年まではあれの茹で餃子だっただろう? 味気なくて物足りなかったから、兵士は喜んでいるだろうさ」
蒼鷹に倣ってソルーシュも口に運んだのは、紅希が小さな手で作ったこぶりのものだ。
お湯で割った桂花酒の甘い香りが漂う。
このまま広間では宴会が始まるが、国王夫妻は参加することはない。
峰涼に退席を促されたソルーシュは、今一度、広間を見下ろした。
ちょうど、太陽が南中に差し掛かる。
広間は明るく照らされて、人々の顔はよく見えない。
ただ、みながこちらを向いているように、ソルーシュには思えた。
――なにかあっただろうか?
北風は相変わらずソルーシュの袖や裾を揺らし、黄色い帯がはためていた。
「ソルーシュ。そろそろ戻るぞ」
「はい!」
蒼鷹に呼ばれ振り向くと、なぜか広間からは歓声が聞こえてきた。
何事かあったのだろうか、と首を傾げていたソルーシュがその理由を知るのは年明けるまで待たねばならなかった。
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兄上、お変わりありませんか?。
最近少しずつですが表に立つことが増えました。
紅牡丹様のように美しいわけでも、舜櫂のように知的でもないワタシはただ立つだけですが。
子どもを産めない王妃の役割とはなんでしょう?
なにか蒼鷹の役に立つことができればいいのにと考えていますが、いまだ思いつかないのです。
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