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80、小さな二人
しおりを挟む「お母様!聞いてください!今日の剣の稽古でキースに勝ったんです!!・・・お父様・・・いい加減お母様から離れて貰えませんか?姿も見えないのですが」
「その願いは聞けないな。オーロラは俺だけのものだからな」
ノアールは息子のメテオールに見えないように、隠すようにオーロラを抱きしめている。メテオールは二人の間に生まれた長男であり、現在7際。ノアールの黒い髪を継ぎ、まるでノアールを小さくしたようにそっくりである。
「ノアール・・・大人気ないわよ?」
「そうですよ、お母様は、僕のお母様なんですよ!」
「ダメだ、お前はお前のものを見つけて愛でればいいじゃないか!」
「お父様・・・おもちゃを取られまいとする子どもみたいですね・・・」
すると屋敷の中から可愛い声がする。
「お父様、お母様より私を抱きしめてくださいませ」
娘のノーチェ、5歳。賢いところも見た目もオーロラそっくり。こちらもまるで幼いオーロラのようだ。
「ノーチェ!わかった、おいで」
オーロラはノアールの腕から解放される。
「お父様あたたかいですわ」
「あぁ・・・ノーチェは可愛いな」
ノアールは娘のノーチェを膝の上に乗せ、ぎゅうぎゅうに抱きしめていて、表情は緩みっぱなしだ。
オーロラがすっと立ち上がる。
「オーロラ!?どこ行くんだ!俺・・・も・・・」
オーロラは呆れた表情をしていたメテオールに歩み寄ると、優しく抱きしめた。
「テオ、頑張っているわね」
いつも母を独り占めする父がいる為、こういった機会は少ない。しかし、きちんと愛情は伝わっている。メテオールは優しいオーロラが大好きである。
「あっ!こら!オーロラは俺のだ!俺以外の男が触れるなど、メテオールであっても許さんぞ!」
「お父様のお膝にはノーチェがいるではありませんか」
「ノーチェは可愛い・・・しかし、オーロラも可愛いんだ!どっちもやらん!」
「はぁ・・・お父様は欲張りですね・・・」
「ふふっ、どちらが子どもなのかしらね?さぁ、テオもノーチェもおやつにしましょうか」
「はい、お母様」
「じゃあ、俺も・・・」
「旦那様はこちらです」
「い、嫌だっ!俺もオーロラとおやつの時間だ!!」
ノアールは優秀な使用人達によって執務へと戻されていった。
「おーろらぁぁぁぁ!!!」
トワイライト公爵家は当主が一番賑やかである。
奇しくも、お互いのぬいぐるみが欲しいを現実にしてしまったようにそっくりな子ども達。
ある日、公爵家の広場で剣の稽古をしていたメテオールに一人の少女が一目惚れをする。ホワイトブロンドに青い瞳をもつ5歳の少女。レオンとマルティナの間に生まれた第一王女アメリアである。
「格好いい・・・」
マルティナがトワイライトけに初めてアメリアを連れて行った際に一目惚れをした。それを知ったマルティナはメテオールとの婚約をすぐに取り付けた。アメリアと娘のノーチェは歳も同じ事もあってすぐ仲良くなった。
後にメテオールはアメリアと結婚し、女王の王配となる。
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次回【最終話】
ノーチェは俺が狙ってたのにぃぃぃ!
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