影は落ちました

agapē【アガペー】

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70、誓いのサプライズ

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そして迎えた結婚式。


「新郎、ノアール・トワイライト、オーロラ・トワイライトを妻とし、生涯愛し続ける事を誓いますか?」

「はい、誓います」

「新婦、オーロラ・トワイライト、ノアール・トワイライトを夫とし、夫ノアール・トワイライトのみを見つめ、愛し、生涯離れず過ごす事を誓いますか?」


「えっ・・・?」


ノアールは聞いていた言葉と違って驚いている。しかしその言葉は、自身の不安を払拭させてくれる、優しい言葉である事に気付き破顔する。


「はい、誓います!」

「お、俺も同じ気持ちです!」


すかさずノアールも声に出す。


結婚式はなんとも暖かい雰囲気に包まれた。披露パーティに最後まで参加した二人。周りからは初夜じゃないのかと揶揄われるが、二人の間には互いの考えが手に取るようにわかる。普通は早めに辞して、準備などをするのだろう。湯あみから一緒にしたい二人に、初夜の準備などは必要ないのだ。


ノアールがオーロラから一時も離れたくないのはもちろんだが、それはオーロラとて同じ。


披露パーティもお開きになり、二人は本邸から離れた静かなサターン邸のオーロラの私室にいた。サターン邸の使用人達から、初夜の準備をしない代わりに、ドレスだけは私室で脱ぐように言われた。


「オーロラ、綺麗だ・・・脱がせるのが勿体無いな・・・」

「じゃあ、このままのほうがいい?」

「・・・それは・・・無理」

「でしょ?早く脱ぎたいわ。お湯に浸かりたい!」

「疲れたか?・・・脱がせるぞ?」


ノアールはそっとドレスに手をかけ脱がせていく。パサっと音がして、床に全てのものが落ちた。一糸纏わぬ姿の二人。


「何も来てなくても綺麗だなんて・・・ズルい・・・」

「ノアールも素敵よ?」

「行こう」


ノアールはオーロラの手を引いて夫婦の寝室にあるバスルームに向かう。オーロラを後ろから抱きしめて湯に浸かる。


「なぁ・・・知らなくて驚いたよ・・・誓いの言葉」

「ふふっ、びっくりした?」

「あぁ・・・俺も同じがよかったのに」

「それじゃ、サプライズにならないわ」

「あれにサプライズは必要か?でも・・・嬉しかった。愛されてるって感じた」


「じゃあ、成功ね」

「もう・・・本当にズルい・・・」


ノアールはオーロラの肩や首筋にキスをする。


「嫁が私である限り、ノアールの不安はなくならない・・・でしょ?」

「嫁はずっとオーロラ一人だ」

「あら、私はもう一人くらい夫がいてもいいわ」

「なっ、なんだって!?」

「ノアールがもう一人いれば、二倍幸せよね?」

「い、いや、いらない!俺が俺に嫉妬するなんて奇妙な事になる!」


ノアールはバサァッと湯から出ると、オーロラも引き上げ、タオルで包むと濡れたまま寝台に運んだ。





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次回

もう止めようったって無理だからな?



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