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#62 沿海州に到着!

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 沿海州へと出発してから2日目の夕方くらい。


「やっと着きましたねー」

「そうですね」


 蒼天の風一行はようやく沿海州の街、フルガンに到着した。

 その街は白基調の建物が多く立ち並んでおり、現在顔を出している夕陽も相まって、とても眩い綺麗な風景になっていた。

 そんな街の門で色々と手続きや入場料を払い、一旦お世話になる冒険者ギルドへと向かう。

 今日のところはそこで挨拶と簡単な歓迎会のようなものを行い、長旅だった事も考慮して早めに休ませてもらう事になっている。


「着いたぞ。 ここが毎回世話になっている冒険者ギルド、潮騒の花だ」

「おお、綺麗な建物ですね」


 馬車で街中をゆっくり進んでいくと、街の中心部にその建物はあった。

 そこは蒼天の風に負けず劣らずの大きさをしていて、他の建物同様、真っ白な外壁でとても綺麗で立派な建物となっていた。

 そのギルドの馬車などを停めるスペースに馬車を停め、メンバーは続々と馬車から降りて潮騒の花の建物の中へと入っていく。


「おっ、ギルマス! あと皆んなも! 来ましたぜ!」


 すると、それに気づいた潮騒の風の構成員が、他のメンバー達を呼びに行った。

 それから少し待っていると、30人くらいのメンバーが続々と集まってきて、その中にいた綺麗な青髪のロングヘアで、顔の横に魚のヒレのようなものが付いている女性が前に出てきた。


「ようこそ、蒼天の風の皆様。 初めましての方は初めまして。 私はこの潮騒の風のギルドマスター、海人族のパナセアと申します」

「パナセア、今回もよろしく頼む」

「こちらこそです、ジルさん」


 両ギルドマスターが固く握手をし、挨拶を交わすと、既知の仲のメンバー同士も再会を喜び合っていた。


「パナセア、ここのリック、カイン、メイは最近ウチに入った新入りだ」

「「「よろしくお願いします!!!」」」

「あら、お3人共良い目をしていますね。 向こうではできない勉強や鍛錬もありますから、ぜひ色々と学んでいってください」

「それと、手紙で話していたがこちらはシュージ。 最近ウチに入った用務員で、とても腕のいい料理人だ」

「初めまして、シュージと申します。 よろしくお願いします」

「あら、貴方がそうなのですね。 てっきり戦闘員の新メンバーの方かと」

「はは、よく言われます」

「ちなみに、用務員とは言っても体術はウチのギルドで1番と言っていいくらいの実力だ。 シュージ、もし時間があればいつもウチでやってるように、体術の鍛錬に付き合ってやってくれ」

「それぐらいなら全然大丈夫ですよ」

「まぁ、助かりますわ。それと、ぜひうちの料理番とも仲良くしてください。 最近人が増えて、結構苦労しているようなので」


 パナセアの言葉通り、潮騒の風のメンバーは蒼天の風の2倍くらいの人数がいて、しかも屈強な男が多めな事もあり、食事の量がとても多そうだなとシュージも思っていた。


「では、皆さんのお部屋に案内しますね」


 それからパナセアに今回泊まる部屋に案内してもらった。

 ありがたい事に各自に個室が用意されていて、蒼天の風ほど広くて過ごしやすくは無いが、ベッドもあるしシャワーも付いていて、十分快適に過ごせそうだった。

 その部屋に荷物を置き、ここからは自由に過ごして良いそうなので、早速シュージはこのギルドの食堂に向かう事にした。

 時間的にも食事の用意を始める頃だと思うので。

 そうして入り口近くにあった食堂に入ると、そこにはキリカとパナセアと同じように頭の横にヒレが付いた褐色肌の女性がいた。


「あ、セリアちゃん、あの人が今話してたらシュージさんだよ」

「おっ! どうも初めましてっす! ウチがこのギルドの料理番のセリアっすよ!」

「どうも初めまして。 蒼天の風で用務員をしているシュージと申します。 お二人は仲がいいんですね?」

「私ももう結構ここには来てますし、歳も近くて同じ女の子だから、自然と仲良くなりましたね」

「そうっすね! キリカは頭も良くて可愛くていい子っすから!」

「ふふ、セリアも元気で可愛くていい子だよ」


 どうやら才女で落ち着きのあるキリカと、いかにも元気っ娘といった感じのセリアは真逆だからこそお互い惹かれるものがあるようで、見ているこっちがホッコリしてしまうようなやり取りをしていた。


「いやー、話聞いた時からシュージさんには色々聞きたかったんすよ! ウチも最近、前まで料理番だったお婆ちゃんが抜けて、大変な思いしてるんで」

「お一人で作っているんですか?」

「いや、もう1人いるっすよ? もうそろそろ来ると思うっすけど」

「あ、セリアさん」

「お、噂をすれば」

「えっと、キリカさんはお久しぶりです。 そちらの方は?」

「この人は話してた蒼天の風の凄腕料理人のシュージさんっす!」

「ああ、言ってましたね。 どうも、ミドリって言います」


 そう名乗ったミドリは、歳はリック達と同じくらいの、髪を一つ結びにした中性的な見た目をした少年で、ぺこりと頭を下げて挨拶をしてくれた。


「初めまして、シュージと申します。 これから1週間くらい、よろしくお願いしますね」

「そうしたら、ウチらはこれからご飯作るんすけど、シュージさんはどうします?」

「良ければお手伝いさせてもらってもいいですか?」

「もちろんっすよ!」

「シュージさんはこちらに来ても変わりませんねー」


 という事で、早速シュージは沿海州の料理を体験させてもらう事にした。
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