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湖には魔物がすんでいる!?

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 夕食にヴィクトールの作ったコロッケを食べて、ヴィクトールとスノウは、一階の居間の近くの部屋で風呂に入っていた。

 使うことにした二階の部屋にも続き部屋に風呂はあるが、二階まで湯を運ぶのが大変だったため、風呂は一階を使うことにしたのだ。

 いつもスノウはヴィクトールと一緒に風呂に入るのを恥ずかしがるが、今日は自ら進んでヴィクトールと風呂に入ることを選んだ。

 なぜなら、広い別荘は夜になると薄闇に包まれて、灯りをともしていない部屋以外は、不気味な闇に染まっている。普段小さなアパルトマンに住んでいるスノウは、広く暗い邸に怯えて、日が落ちてからはヴィクトールのそばを片時も離れたがらなかったのだ。

 アパルトマンよりもはるかに広い浴槽で、ヴィクトールはスノウを背後から抱きしめるようにして湯につかっている。

 蝋燭ろうそくをたくさん灯した浴槽は、蝋燭の炎がゆらゆらと揺れるたびに幻想的に照らし出されていた。

 暗いのは怖いが、蝋燭に照らされた浴室は気に入ったらしい。

 バグリーが薔薇の花を用意してくれていたから、赤と白の薔薇の花びらがぷかぷかと浮いているのも嬉しいようだ。

 別荘の裏手には山があって、どうやらふくろうが生息しているのだろう。遠くから鳴き声が聞こえてくる。

「明日はリンゴの花を見たあと、リンゴ畑の近くの風車まで行ってみようか? お弁当を持って、お昼ごはんを外で食べるのもいいね」

「お弁当はサンドイッチがいいの」

「コロッケの残りでコロッケサンド? 卵もいいね。あとは?」

「いちご!」

「クリーム入れてイチゴの甘いサンドイッチ?」

「うん」

「了解。お姫様」

 ヴィクトールがスノウの頭のてっぺんにキスをすると、彼女は身をよじって甘えたようにすり寄ってくる。

 いつもは恥ずかしくて縮こまっていることが多いのに、今日はリラックスしているようだった。

 湯につかっているせいで、上気している頬が愛らしい。

 細い肩を抱き寄せれば、ぴったりと身を寄せてきたので、ヴィクトールはたまらなくなって、噛みつくようにスノウに唇を奪った。

「んぅー」

 閉ざされた唇を舌の先でつつけば、スノウは観念したように小さく口を開く。

 舌を絡めて吸い上げながら、ヴィクトールは平らな腹を撫でて、そのまま柔らかい双丘へと撫で上げるように湯の中で手を滑らせた。

「んんーっ」

 すぽっと手のひらにちょうどいい大きさのふくらみを、やわやわと揉みしだくと、さすがにスノウがいやいやと首を振りはじめる。

 ヴィクトールの胸に手をついて、ぷはっと唇を離したスノウは、目尻を赤く染めてヴィクトールを睨みつけた。

「ヴィー! お風呂で意地悪はだめなのよ!」

 それでも胸から手を放さずにいると、スノウが浴槽の端まで逃げて行こうとしたので、ヴィクトールは腹に手を回して引き寄せる。

 くすくす笑いながら、「ごめんごめん」と謝れば、スノウはぷっくりと頬を膨らませた。

(あーもう、かわいい!)

 スノウが可愛すぎて、ヴィクトールの理性はいろいろヤバい。

 これは早く風呂から出た方がいいと判断したヴィクトールは、ちゅっとスノウの鼻先にキスをする。

「お風呂は嫌だったね。続きはベッドでしよう」

 ぼんっと音を立てそうなほど勢いよく真っ赤になったスノウを見て、ヴィクトールは吹き出した。
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