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第9章 創天国の魂編
50.魔の山
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先刻のワニア山での崖崩れに政武が巻き込まれてしまう。
崖下に落ちていった政武の救出に取り掛かる。
だが必死の捜索も虚しく、彼を見つけ出す事は出来ずに時間が過ぎていく…
そうしていると今度は宗重のすぐそばで崖崩れが発生。
幸いにも自身はその被害を受ける事は無かった。
今の場に留まる事は危険と考えた宗重は逃げるように立ち去っていた。
やがて宗重が息を切らせながら足を止めて言う。
宗重
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫であろう。」
宗重はワニア山の東部から一気に走り抜き、中央部にまで移動していた。
どうやらこの場所は地盤の弱かった東部に比べて地盤は固く、しっかりとしているようであった。
ここまで来れば先程のような崖崩れに巻き込まれるような事は無いであろう。
宗重は安心した表情を浮かべていたが、すぐに深刻な様子となり呟き始める。
宗重
「すまん、政武よ…こうするしか、こうするしかなかったのじゃ…」
政武は自身の目の前で起きた崖崩れに巻き込まれ、深い谷底へと落ちていった。
宗重による懸命な救出作業が行われるが、政武の姿を見つけ出せないでいた。
そして焦りを感じ始めた宗重に対して追い打ちをかけるかのように崖崩れが再び発生。
もし、今ここで自身も政武と同じ目に遭えば共倒れとなろう。
与えられた主命は必ず果たさねばならぬ。
故に、たとえ仲間が犠牲となろうともそれを顧みずに残された者たちで任務を全うすべし。
その信念を貫き通す為にも宗重は政武を置いてその場を立ち去ったのである。
だが、信念の為とは言えども仲間である政武を見捨てるという非情な行動は本当に正しかったのであろうか。
宗重は自責の念を抱いており、複雑な心境であった。
しばらくして宗重は次第に畏怖を感じながら口を開き始める。
宗重
「それにしても、この山は真に危険過ぎる。我が創天国の米村山、墨山の比ではござらんな…」
村上島(現 志栄島)の米村山、そして墨山国の墨山。
この二つの山は、創天国において最も険しい山として知られている。
山賊衆出身であった羽村貞道でさえも登頂に苦戦したと言わしめた米村山。
二度にわたる外河軍との決戦時に志太軍が手を焼かされた墨山。
今いるワニア山は、それらをも凌ぐほどの険しさがあるようだと宗重は感じていたのであった。
そして何かに気付いたのであろうか、驚いた様子で口を開き始める。
宗重
「それに、儂らの足場を狙ったように地が崩れていきおる。儂らの侵入を許さぬようにすら感じるわい…」
先刻に政武が崖崩れ餌食となった。
そして時をほどなくして今度は宗重に対してもその脅威が何度も襲いかかってきたという。
だが幸いにも宗重はいずれも既の所で難を逃れており、無事ではあった。
まるで敵である我らの侵入を防ぐ為にあえて狙って崖崩れを起こしているようである。
だとすれば、一体誰がどのようにして自身らを狙ったというのだ。
もしや、常識では考えられぬような超常現象がこの山では発生するというのか…
宗重らを襲った一連の出来事に対して宗重は真剣な表情でそう考えていた。
強引とも思える考えではあったが、やがて自身の中で納得したのであろうか声を震わせながら宗重が言う。
宗重
「魔の山じゃ、ワニア山は魔の山じゃな…かような恐ろしき山を儂らは登っておるというのか…」
宗重はなおも畏怖を感じている様子であった。
崖下に落ちていった政武の救出に取り掛かる。
だが必死の捜索も虚しく、彼を見つけ出す事は出来ずに時間が過ぎていく…
そうしていると今度は宗重のすぐそばで崖崩れが発生。
幸いにも自身はその被害を受ける事は無かった。
今の場に留まる事は危険と考えた宗重は逃げるように立ち去っていた。
やがて宗重が息を切らせながら足を止めて言う。
宗重
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫であろう。」
宗重はワニア山の東部から一気に走り抜き、中央部にまで移動していた。
どうやらこの場所は地盤の弱かった東部に比べて地盤は固く、しっかりとしているようであった。
ここまで来れば先程のような崖崩れに巻き込まれるような事は無いであろう。
宗重は安心した表情を浮かべていたが、すぐに深刻な様子となり呟き始める。
宗重
「すまん、政武よ…こうするしか、こうするしかなかったのじゃ…」
政武は自身の目の前で起きた崖崩れに巻き込まれ、深い谷底へと落ちていった。
宗重による懸命な救出作業が行われるが、政武の姿を見つけ出せないでいた。
そして焦りを感じ始めた宗重に対して追い打ちをかけるかのように崖崩れが再び発生。
もし、今ここで自身も政武と同じ目に遭えば共倒れとなろう。
与えられた主命は必ず果たさねばならぬ。
故に、たとえ仲間が犠牲となろうともそれを顧みずに残された者たちで任務を全うすべし。
その信念を貫き通す為にも宗重は政武を置いてその場を立ち去ったのである。
だが、信念の為とは言えども仲間である政武を見捨てるという非情な行動は本当に正しかったのであろうか。
宗重は自責の念を抱いており、複雑な心境であった。
しばらくして宗重は次第に畏怖を感じながら口を開き始める。
宗重
「それにしても、この山は真に危険過ぎる。我が創天国の米村山、墨山の比ではござらんな…」
村上島(現 志栄島)の米村山、そして墨山国の墨山。
この二つの山は、創天国において最も険しい山として知られている。
山賊衆出身であった羽村貞道でさえも登頂に苦戦したと言わしめた米村山。
二度にわたる外河軍との決戦時に志太軍が手を焼かされた墨山。
今いるワニア山は、それらをも凌ぐほどの険しさがあるようだと宗重は感じていたのであった。
そして何かに気付いたのであろうか、驚いた様子で口を開き始める。
宗重
「それに、儂らの足場を狙ったように地が崩れていきおる。儂らの侵入を許さぬようにすら感じるわい…」
先刻に政武が崖崩れ餌食となった。
そして時をほどなくして今度は宗重に対してもその脅威が何度も襲いかかってきたという。
だが幸いにも宗重はいずれも既の所で難を逃れており、無事ではあった。
まるで敵である我らの侵入を防ぐ為にあえて狙って崖崩れを起こしているようである。
だとすれば、一体誰がどのようにして自身らを狙ったというのだ。
もしや、常識では考えられぬような超常現象がこの山では発生するというのか…
宗重らを襲った一連の出来事に対して宗重は真剣な表情でそう考えていた。
強引とも思える考えではあったが、やがて自身の中で納得したのであろうか声を震わせながら宗重が言う。
宗重
「魔の山じゃ、ワニア山は魔の山じゃな…かような恐ろしき山を儂らは登っておるというのか…」
宗重はなおも畏怖を感じている様子であった。
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