おしどり夫婦を演じていたら、いつの間にか本当に溺愛されていました。

木山楽斗

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14.誤解を解くために

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「……俺は君と割り切った関係性を望んだ。故にもちろん、君が誰かと恋をしたとしても、それを咎めようとは思っていない」
「あっ……」

 私が自らの失念を後悔していると、アルフェルグ様がゆっくりと口を開いていた。
 その発言に、私は思わず固まっていた。ただ、それもミスだ。私は無理やりにでも、アルフェルグ様の発言を止めるべきだった。

「しかし、もしも誰かと関係を持っていたとしても、子供のことだけはきちんとしておいてもらいたい。そのことは俺にとって、決して譲れないことだ」
「アルフェルグ様、違うんです!」
「む……」

 私は、これまで出したことがない程の声量でアルフェルグ様の発言を止めていた。
 こんな夜分に大きな声を出すのは、使用人達に迷惑である。ただ、これくらい強く否定しないと今の彼にはわかってもらえないと思った。使用人達には、後で謝るとしよう。

「その、違うんです。私は、浮気なんてしていません。信じてもらえないかもしれませんが……」
「……」

 少し勢いを失った私の顔を、アルフェルグ様は真っ直ぐに見てきた。
 状況的に、私の潔白を証明するのは中々に難しいことかもしれない。ただ、それでもなんとか言葉を発していくしかないだろう。そうでなければ、私と彼との関係が険悪なものになってしまい兼ねない。

「私が会っていたのは、エルドスという人で、彼女は女性なんです。その心が、という意味なのですが……」
「ほう……?」
「本当に友人なんです。私は彼女のことを女性であると認識していますし……その辺りにつていの考慮が、足りていなかったことは反省していますが」
「ふむ……」

 アルフェルグ様は、考えるような仕草を見せていた。
 私の言葉が本当かどうか、彼なりに吟味しているのだろう。
 そうやって考えてもらえると、なんだか希望が見えてくる。アルフェルグ様は、人を見る目がある人だ。きっと私が本心から話していると、理解してくれるだろう。

「なるほど……確かに、それなら尾行していた者達からの報告も、納得できるか」
「えっと……」
「いや、君の友人というそのエルドスは、不思議な雰囲気を纏っていたと聞いた。それはつまり、女性的だったということなのだろう」
「そ、そうだと思います」
「そういうことだったのか……ふふ、まったく、俺もひどい勘違いをしていたものだ」

 アルフェルグ様は、少し安心したような笑みを浮かべていた。
 その笑みの意図は、どういうことなのだろうか。私は少し、息を呑んでしまう。

「……しかし、そういうことならこの場はなんなのだ?」
「え?」
「俺はてっきり、君が誰かと関係を持った故に、この場を設けたと思っていたが」
「あ、それは……」

 続くアルフェルグ様の言葉に、私は彼からゆっくりと目をそらすことになった。
 どうやら私は、また恥ずかしい思いをしなければならないらしい。それは昼間に済ませたと思っていたのだが、改めて伝える必要があるようだ。
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