67 / 103
67.大袈裟な言動
しおりを挟む
お父様が婚約に関して好意的な見解を示したことによって、ヴェルード公爵家とラベーシン伯爵家との間で話し合いが起こった。
実際に婚約が決まったという訳ではないのだが、結構いい感じに話は進んでいるようだ。
そういった事情の中で、レフティス様がヴェルード公爵家に訪ねて来るというのは、非常に重要な出来事だといえる。
彼がどういう人間なのか、見極めなければならない。それがヴェルード公爵家の共通の認識であった。
ただアドルグお兄様は、妹の婚約について非常に過激な反応を示すため、その意見は概ね無視するべきだということになっている。
「エフェリア嬢、先日のお茶会では、ありがとうございました。お陰で楽しい時間が過ごせましたよ」
「いえ、私は何も……それより、あの時は申し訳ありませんでした。急に場を開けることになってしまって」
「お気になさらず。事情は聞いています。どうやら色々なことがあったそうですね。あの後は大丈夫だったのですか? なんだか大きな声も聞こえましたし……」
「ええ、あの場もなんとか収めることはできました」
レフティス様は、やはり大袈裟な人であった。
どこか言動が仰々しいし、ともすれば演技のようにも思えてしまう。だからだろうか、彼の真意というものは読み取ることができない。
もしかしたら、これも一つの術ということなのだろうか。貴族というものは、自分を律する必要がある訳だし、その一環という可能性はあるかもしれない。
「それなら良かった……ことの顛末については、一応耳には入っています。ディトナス侯爵令息とは友人でしたから、少し残念です」
「……彼と仲が良かったのですか?」
「人並みに付き合いはありました。ヴェルード公爵家の方々の前でこういうことを言うのは少々気が引けますがね。しかし彼には、どうにか再起して欲しいと思っています」
レフティス様は、ディトナス様のことも気に掛けているようだった。
お茶会に来ていたことからも考えられることではあるが、それなりに交流があったということだろうか。いやその心配も、演技ということなのかもしれないが。
「そうですか。レフティス様はお優しい方なのですね」
「そう言っていただけるのは嬉しいですね……感謝します、エフェリア嬢」
レフティス様は、ゆっくりと一礼しながらお礼の言葉を口にした。
そういった所作も、やはり少々大袈裟だ。とはいえ、綺麗な一礼である。そういった所は、私も見習うべきかもしれない。
「……さてと」
そんなことを思いながら、私は周囲を見渡していた。
現在、私は客室の外から様子を伺っている。庭でこっそりと行動しているのだ。
それは別に、悪戯をしているとかそういうことではない。私はある任務のために、こそこそとすることになっているのだ。
その原因となった一人を見つけて、私はため息をついた。その人物であるエフェリアお姉様は、私を見つけて罰が悪そうな表情をしていた。
実際に婚約が決まったという訳ではないのだが、結構いい感じに話は進んでいるようだ。
そういった事情の中で、レフティス様がヴェルード公爵家に訪ねて来るというのは、非常に重要な出来事だといえる。
彼がどういう人間なのか、見極めなければならない。それがヴェルード公爵家の共通の認識であった。
ただアドルグお兄様は、妹の婚約について非常に過激な反応を示すため、その意見は概ね無視するべきだということになっている。
「エフェリア嬢、先日のお茶会では、ありがとうございました。お陰で楽しい時間が過ごせましたよ」
「いえ、私は何も……それより、あの時は申し訳ありませんでした。急に場を開けることになってしまって」
「お気になさらず。事情は聞いています。どうやら色々なことがあったそうですね。あの後は大丈夫だったのですか? なんだか大きな声も聞こえましたし……」
「ええ、あの場もなんとか収めることはできました」
レフティス様は、やはり大袈裟な人であった。
どこか言動が仰々しいし、ともすれば演技のようにも思えてしまう。だからだろうか、彼の真意というものは読み取ることができない。
もしかしたら、これも一つの術ということなのだろうか。貴族というものは、自分を律する必要がある訳だし、その一環という可能性はあるかもしれない。
「それなら良かった……ことの顛末については、一応耳には入っています。ディトナス侯爵令息とは友人でしたから、少し残念です」
「……彼と仲が良かったのですか?」
「人並みに付き合いはありました。ヴェルード公爵家の方々の前でこういうことを言うのは少々気が引けますがね。しかし彼には、どうにか再起して欲しいと思っています」
レフティス様は、ディトナス様のことも気に掛けているようだった。
お茶会に来ていたことからも考えられることではあるが、それなりに交流があったということだろうか。いやその心配も、演技ということなのかもしれないが。
「そうですか。レフティス様はお優しい方なのですね」
「そう言っていただけるのは嬉しいですね……感謝します、エフェリア嬢」
レフティス様は、ゆっくりと一礼しながらお礼の言葉を口にした。
そういった所作も、やはり少々大袈裟だ。とはいえ、綺麗な一礼である。そういった所は、私も見習うべきかもしれない。
「……さてと」
そんなことを思いながら、私は周囲を見渡していた。
現在、私は客室の外から様子を伺っている。庭でこっそりと行動しているのだ。
それは別に、悪戯をしているとかそういうことではない。私はある任務のために、こそこそとすることになっているのだ。
その原因となった一人を見つけて、私はため息をついた。その人物であるエフェリアお姉様は、私を見つけて罰が悪そうな表情をしていた。
969
あなたにおすすめの小説
短編 跡継ぎを産めない原因は私だと決めつけられていましたが、子ができないのは夫の方でした
朝陽千早
恋愛
侯爵家に嫁いで三年。
子を授からないのは私のせいだと、夫や周囲から責められてきた。
だがある日、夫は使用人が子を身籠ったと告げ、「その子を跡継ぎとして育てろ」と言い出す。
――私は静かに調べた。
夫が知らないまま目を背けてきた“事実”を、ひとつずつ確かめて。
嘘も責任も押しつけられる人生に別れを告げて、私は自分の足で、新たな道を歩き出す。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。
結婚式後に「爵位を継いだら直ぐに離婚する。お前とは寝室は共にしない!」と宣言されました
山葵
恋愛
結婚式が終わり、披露宴が始まる前に夫になったブランドから「これで父上の命令は守った。だが、これからは俺の好きにさせて貰う。お前とは寝室を共にする事はない。俺には愛する女がいるんだ。父上から早く爵位を譲って貰い、お前とは離婚する。お前もそのつもりでいてくれ」
確かに私達の結婚は政略結婚。
2人の間に恋愛感情は無いけれど、ブランド様に嫁ぐいじょう夫婦として寄り添い共に頑張って行ければと思っていたが…その必要も無い様だ。
ならば私も好きにさせて貰おう!!
「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました
ほーみ
恋愛
その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。
「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」
そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。
「……は?」
まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる