68 / 100
68.隠れていた姉
しおりを挟む
「エフェリアお姉様、何をやっているんですか?」
「あ、あはは……」
私の小声の言葉に、エフェリアお姉様は苦笑いを浮かべていた。
流石に自分がやっていることが、とんでもないことだということは理解しているようだ。
とりあえず無事に見つけられて、一安心である。お兄様方では目立つからという理由で、私にこれが頼まれたのだが、成し遂げられて良かったと思う。
いや、まだ正確には成し遂げているとは言えないかもしれない。私の任務は、エフェリアお姉様を連れて帰ることなのだから。
「……ぼ、僕はオルディアだよ」
「いえ、流石にそれは無理がありますよ。私ももう、お姉様方を見間違ったりしませんから」
「それはちょっと嬉しいけど」
エフェリアお姉様とオルディアお兄様は、性別の違い以外はそっくりだ。そんな二人のことを、私は初め見分けられなかった。
ただ、それは既に昔の話だ。今となっては、どうしてわからなかったのかわからなくなるくらいには、二人の違いを如実に感じている。
「レフティス様と一緒にいるのは、オルディアお兄様ですよね?」
「まあ、うん。そうだけど」
「いつ入れ替わったんですか? 玄関で出迎えた時は、エフェリアお姉様でしたよね?」
「それはそうだね。だから、部屋に案内している間に入れ替わったんだ」
「どうしてそんなことを……」
エフェリアお姉様の言葉に、私は単純な疑問の言葉を口にしていた。
わざわざ二人が入れ替わる意味が、私にはわからない。これは結構重要な場面であるというのに、どうしてこんなことをしているのだろうか。
「理由という程の理由はないんだけど……その、やっぱり私とオルディアを見分けられるかとか、気になるから」
「気になるからって、こんなことをしたら駄目だと思うんですけど……」「
「うう、クラリアが厳しい……」
「いや、厳しいと言いますか……」
私は別に、厳しいという訳ではないと思う。これに関しては、お父様や夫人、お兄様方も疑問に思っていたことだ。
というか皆、結構焦っているようだった。当然のことながら、これがばれたら無礼にあたるからである。
今の所、ばれている様子はないのだが、これからどうなるかはわからない。二人には明確な違いもあるため、ちょっとしたきっかけからばれる可能性もある。
「とりあえず、戻ってもらわないと困ります」
「うん……」
私の言葉に対して、エフェリアお姉様は力なく頷いた。
なんというか、様子が少し変なような気がする。もしかして、レフティス様との婚約に対して不安なことなどがあるのだろうか。
「あ、あはは……」
私の小声の言葉に、エフェリアお姉様は苦笑いを浮かべていた。
流石に自分がやっていることが、とんでもないことだということは理解しているようだ。
とりあえず無事に見つけられて、一安心である。お兄様方では目立つからという理由で、私にこれが頼まれたのだが、成し遂げられて良かったと思う。
いや、まだ正確には成し遂げているとは言えないかもしれない。私の任務は、エフェリアお姉様を連れて帰ることなのだから。
「……ぼ、僕はオルディアだよ」
「いえ、流石にそれは無理がありますよ。私ももう、お姉様方を見間違ったりしませんから」
「それはちょっと嬉しいけど」
エフェリアお姉様とオルディアお兄様は、性別の違い以外はそっくりだ。そんな二人のことを、私は初め見分けられなかった。
ただ、それは既に昔の話だ。今となっては、どうしてわからなかったのかわからなくなるくらいには、二人の違いを如実に感じている。
「レフティス様と一緒にいるのは、オルディアお兄様ですよね?」
「まあ、うん。そうだけど」
「いつ入れ替わったんですか? 玄関で出迎えた時は、エフェリアお姉様でしたよね?」
「それはそうだね。だから、部屋に案内している間に入れ替わったんだ」
「どうしてそんなことを……」
エフェリアお姉様の言葉に、私は単純な疑問の言葉を口にしていた。
わざわざ二人が入れ替わる意味が、私にはわからない。これは結構重要な場面であるというのに、どうしてこんなことをしているのだろうか。
「理由という程の理由はないんだけど……その、やっぱり私とオルディアを見分けられるかとか、気になるから」
「気になるからって、こんなことをしたら駄目だと思うんですけど……」「
「うう、クラリアが厳しい……」
「いや、厳しいと言いますか……」
私は別に、厳しいという訳ではないと思う。これに関しては、お父様や夫人、お兄様方も疑問に思っていたことだ。
というか皆、結構焦っているようだった。当然のことながら、これがばれたら無礼にあたるからである。
今の所、ばれている様子はないのだが、これからどうなるかはわからない。二人には明確な違いもあるため、ちょっとしたきっかけからばれる可能性もある。
「とりあえず、戻ってもらわないと困ります」
「うん……」
私の言葉に対して、エフェリアお姉様は力なく頷いた。
なんというか、様子が少し変なような気がする。もしかして、レフティス様との婚約に対して不安なことなどがあるのだろうか。
801
お気に入りに追加
3,249
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
さようならお姉様、辺境伯サマはいただきます
夜桜
恋愛
令嬢アリスとアイリスは双子の姉妹。
アリスは辺境伯エルヴィスと婚約を結んでいた。けれど、姉であるアイリスが仕組み、婚約を破棄させる。エルヴィスをモノにしたアイリスは、妹のアリスを氷の大地に捨てた。死んだと思われたアリスだったが……。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる