妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗

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24.ばれていたこと

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「……お二人が何を話しているのかは知りませんが、そろそろこちらに意識を向けてもらいたいものですね」
「あ、すみません、ウェリダンお兄様」
「ちょっと、こっちはこっちで作戦会議を……」

 私達が小声で話していると、ウェリダンお兄様が話しかけてきた。
 いつも通りに笑みを浮かべているが、その表情は少々寂しそうにも見える。
 そういえば、イフェネアお姉様も寂しがり屋だった。そういう所はやはり、兄弟で似るものなのだろうか。でもそれなら、わざわざ部屋を分けなくても良かったというのに。

「ああ、僕達を止めようとか、そういう作戦会議ですかね……エフェリアとオルディアと、四人でこそこそとやっていたみたいですから」
「え?」
「なっ、どうしてそれを……」

 続くウェリダンお兄様の発言に、私達は驚いた。
 どうして私達の秘密の会議のことを知っているのだろうか。あのことは他言無用であると、エフェリアお姉様やオルディアお兄様と決めていたはずなのに。

「僕達は大人ですからね。子供の行動というものは把握しているものですよ。何かあったらいけませんからね」
「そ、それじゃあ、会議の内容なんかも……」
「大方、王家による介入を狙っているのでしょうね。それは有効な手だと思います。国王様を説得するのは骨が折れますからね。こちらとしては折衷案を考えざるを得ません」
「あ、結構いい感じだったのですね……」

 ウェリダンお兄様は、余裕そうな笑みを浮かべながらも、私達の作戦に困っているようだった。
 ただそれは、当たり前のことである。いくら公爵家の令嬢を侮辱したからといって、絞首台なんて無理があるのだ。鞭打ちだって、普通は通る案ではない。

「しかし、あの二人を追い詰めるということは必要なことだということは理解していただきたい。それは個人としての感情を抜きにしても必要なことなのです」
「ヴェルード公爵家が、舐められないため、ということですか?」
「クラリアは賢いですね。ええ、言うならばこれは見せしめです。僕達と敵対すること……今回の場合は、クラリアのことでヴェルード公爵家を叩くとどうなるかを社交界に知らしめる必要があるのです」

 そこでウェリダンお兄様は、真剣な顔になった。
 いつもの笑みが鳴りを潜めると、その端正な顔立ちが際立つ。ただそこには感情というものがなくて、今となっては私はこちらの方が怖い顔だと思った。

「……熱くなり過ぎましたね。僕はクールであることを信条としているというのに」
「ウェリダンお兄様……」
「まあ何が言いたいかというと、今回の件は通常以上の罰が必要だということです。二人もいつかは理解できるようになるでしょう」

 ウェリダンお兄様は、そこで私達に背を向けた。
 その背中は少し、物悲しいようにも見える。それだけ熱くなったことを、後悔しているということなのだろうか。
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