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16.どちらがどちらか
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「えっと……」
「ごめんね、クラリア。僕はオルディアではなくて、エフェリアなの」
「まったく、エフェリアは……ああ、僕の方がオルディアだよ」
「……?」
二人の言葉に、私は首を傾げていた。
どちらがエフェリア様で、どちらがオルディア様なのか、私には既にまったく持ってわからなくなっている。
最初にエフェリアとしてテンションが高かったのがオルディア様で、それを注意していたのがエフェリア様、そういうことで良いのだろか。
「まったくエフェリアは、クラリアが混乱しているじゃないか。だからやめておいた方が良いって、僕は言ったんだ」
「その割にはノリノリで私の振りをしてたよね?」
「そんなことはないさ。これでも結構、渋々やっていて……誰が好き好んでエフェリアの振りなんかするもんか」
「なっ、また私を馬鹿にして」
「……ここで、実は私が本当にエフェリアだって言ったら、クラリアはどうする?」
「ちょっと待ってください」
エフェリア様とオルディア様の言葉に、私は頭が痛くなっていた。
結局の所、どちらがエフェリア様で、どちらがオルディア様なのだろうか。目の前にいる二人の見分けがつかない私には、判断のしようがない。
恐らくそれは、二人の意図通りのなのだろう。同じ格好をしている時点で騙すつもりだったのだ。
これはつまり、妾の子である私に対する意地悪、ということなのだろうか。
いや、二人の雰囲気からはそういった感情は読み取れない。他のお兄様やお姉様とは違ってすぐにわかった。この二人は単純に、悪戯しているだけだと。
「まあ、場も和んだ所だし、そろそろ種明かししないとね。オルディア、後ろ向いてて」
「外に出ておくよ。クラリア、また後でね」
「え?」
そんなことを考えていると、オルディア様が部屋の外に出て戸を閉めた。
何故そんなことをするのだろうか。私がそう思っていると、目の前にいるエフェリア様らしき人が服を脱いだ。
「私がエフェリアだよ、クラリア」
「……な、何をっ!」
「いや、証明する方法って、これ以外ないって思ってさ。あ、今からは目印の髪飾りつけておくから、絶対に見分けがつくようになるから安心して」
エフェリア様は、一糸纏わぬ姿で髪飾りを身に着けた。
確かに、二人が姉弟である以上、それは紛れもない証拠を見せる方法ではある。
ただいくらなんでも、大胆過ぎると思ってしまう。私が規範とするべきだと思ったイフェネアお姉様とは、違い過ぎる。
「オルディア、もう入っていいよ」
「許可を出すのは、クラリアなんじゃないかな?」
「あ、そうだった。クラリア、いいよね?」
「あ、はい。良いですけれど……」
私が色々と考えている内に、エフェリア様は服を着ていた。
その頭には、真っ赤な髪飾りがついている。それがある限り、確かに二人を間違えることはない。しかし、私の動揺は収まっていなかった。この一瞬で、もう何度驚いたことだろうか。
「ごめんね、クラリア。僕はオルディアではなくて、エフェリアなの」
「まったく、エフェリアは……ああ、僕の方がオルディアだよ」
「……?」
二人の言葉に、私は首を傾げていた。
どちらがエフェリア様で、どちらがオルディア様なのか、私には既にまったく持ってわからなくなっている。
最初にエフェリアとしてテンションが高かったのがオルディア様で、それを注意していたのがエフェリア様、そういうことで良いのだろか。
「まったくエフェリアは、クラリアが混乱しているじゃないか。だからやめておいた方が良いって、僕は言ったんだ」
「その割にはノリノリで私の振りをしてたよね?」
「そんなことはないさ。これでも結構、渋々やっていて……誰が好き好んでエフェリアの振りなんかするもんか」
「なっ、また私を馬鹿にして」
「……ここで、実は私が本当にエフェリアだって言ったら、クラリアはどうする?」
「ちょっと待ってください」
エフェリア様とオルディア様の言葉に、私は頭が痛くなっていた。
結局の所、どちらがエフェリア様で、どちらがオルディア様なのだろうか。目の前にいる二人の見分けがつかない私には、判断のしようがない。
恐らくそれは、二人の意図通りのなのだろう。同じ格好をしている時点で騙すつもりだったのだ。
これはつまり、妾の子である私に対する意地悪、ということなのだろうか。
いや、二人の雰囲気からはそういった感情は読み取れない。他のお兄様やお姉様とは違ってすぐにわかった。この二人は単純に、悪戯しているだけだと。
「まあ、場も和んだ所だし、そろそろ種明かししないとね。オルディア、後ろ向いてて」
「外に出ておくよ。クラリア、また後でね」
「え?」
そんなことを考えていると、オルディア様が部屋の外に出て戸を閉めた。
何故そんなことをするのだろうか。私がそう思っていると、目の前にいるエフェリア様らしき人が服を脱いだ。
「私がエフェリアだよ、クラリア」
「……な、何をっ!」
「いや、証明する方法って、これ以外ないって思ってさ。あ、今からは目印の髪飾りつけておくから、絶対に見分けがつくようになるから安心して」
エフェリア様は、一糸纏わぬ姿で髪飾りを身に着けた。
確かに、二人が姉弟である以上、それは紛れもない証拠を見せる方法ではある。
ただいくらなんでも、大胆過ぎると思ってしまう。私が規範とするべきだと思ったイフェネアお姉様とは、違い過ぎる。
「オルディア、もう入っていいよ」
「許可を出すのは、クラリアなんじゃないかな?」
「あ、そうだった。クラリア、いいよね?」
「あ、はい。良いですけれど……」
私が色々と考えている内に、エフェリア様は服を着ていた。
その頭には、真っ赤な髪飾りがついている。それがある限り、確かに二人を間違えることはない。しかし、私の動揺は収まっていなかった。この一瞬で、もう何度驚いたことだろうか。
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