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15.訪ねて来た双子
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イフェネアお姉様と生活をともにするということは、私にとってはありがたい話だった。
貴族としての生き方を学ぶことができるというのは、今の私にはとても重要なことである。それを学べば、舞踏会の時のようにびくびく怯える必要もないはずだ。
そんなことを考えながら、私は自室で過ごしていた。イフェネアお姉様の交渉が終わるまで、まだしばらくここにいることになる。改めて見てみると、やはり広い部屋だと思う。
「寂しいよね。村の時は、自分の部屋なんかなかったし……あれ? そういえば、イフェネアお姉様は、結局どうして私の部屋に? というか、どうやって入ったんだろう。鍵とか、かかっていないのかな?」
「もしもし?」
「うん?」
私がイフェネアお姉様のことを考えていると、部屋の戸が叩かれた。
そこから聞こえる声は、誰かわからない。女の人の声ではあるが、イフェネアお姉様ではない。
でも多分、メイドさんとかでもないだろう。それにしては、挨拶が気軽過ぎる。あの人達は、一応私のことを令嬢として扱う訳だし。
「ど、どちら様ですか?」
「こちらエフェリアと……それからおまけのオルディア」
「おまけ?」
「……僕をおまけにしないでよ」
「いや、冗談冗談」
部屋の外からは、気軽なやり取りが聞こえてきた。
名乗ったお陰で、誰かがわかった。どうやらエフェリア様とオルディア様の二人が訪ねて来たようである。とりあえず、戸は開けるべきだろう。
「わあっ!」
「え?」
「こんにちは! クラリア、元気?」
「げ、元気ですけれど……」
戸を開けると、ヴァル―ド公爵家の次女エフェリア様が大きな声で挨拶をしてきた。
それに私は驚く。最初に挨拶した時は、こんな感じではなかったと思うのだが。
「クラリア、ごめんね。エフェリアが迷惑をかけて……」
「迷惑なんてかけてないよ」
「いや、でも、うざくないかな?」
「う、うざくはありませんから、大丈夫です」
そんなエフェリア様に対して辛辣な物言いをするのは、ヴァル―ド公爵家の三男であるオルディア様だ。
二人は、双子の姉弟であるらしい。顔も声もそっくりだ。しかも二人とも中性的な見た目であるため、正直見分けがつかない。
「いや、でもやっぱりうざいんじゃないかなぁ?」
「そんなことはありません」
「もう、オルディアはまたそんなことを言って……」
「僕は事実を述べているだけさ」
「事実って?」
「エフェリアは、普段からちょっとうざいってこと」
「なっ! それを言うならオルディアだって普段から一言多いし!」
私の前で二人は、何やら喧嘩を始めてしまった。
どうしていいかわからず、私は困惑することしかできない。そもそもどうして喧嘩になったのだろうか。それがよくわからない。
「まったく、エフェリアは……ふふっ」
「ちょ、オルディア、何を笑って……」
「ごめん……でも、もう限界かもしれない」
「限界って……」
「だって、エフェリアは私だし」
「うん?」
オルディア様の言葉に、私は首を傾げることになった。
今彼は、なんと言っただろうか。いや、彼女というべきなのかもしれない。今オルディア様は、自分のことをエフェリアだと言ったのだから。
貴族としての生き方を学ぶことができるというのは、今の私にはとても重要なことである。それを学べば、舞踏会の時のようにびくびく怯える必要もないはずだ。
そんなことを考えながら、私は自室で過ごしていた。イフェネアお姉様の交渉が終わるまで、まだしばらくここにいることになる。改めて見てみると、やはり広い部屋だと思う。
「寂しいよね。村の時は、自分の部屋なんかなかったし……あれ? そういえば、イフェネアお姉様は、結局どうして私の部屋に? というか、どうやって入ったんだろう。鍵とか、かかっていないのかな?」
「もしもし?」
「うん?」
私がイフェネアお姉様のことを考えていると、部屋の戸が叩かれた。
そこから聞こえる声は、誰かわからない。女の人の声ではあるが、イフェネアお姉様ではない。
でも多分、メイドさんとかでもないだろう。それにしては、挨拶が気軽過ぎる。あの人達は、一応私のことを令嬢として扱う訳だし。
「ど、どちら様ですか?」
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「おまけ?」
「……僕をおまけにしないでよ」
「いや、冗談冗談」
部屋の外からは、気軽なやり取りが聞こえてきた。
名乗ったお陰で、誰かがわかった。どうやらエフェリア様とオルディア様の二人が訪ねて来たようである。とりあえず、戸は開けるべきだろう。
「わあっ!」
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「こんにちは! クラリア、元気?」
「げ、元気ですけれど……」
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それに私は驚く。最初に挨拶した時は、こんな感じではなかったと思うのだが。
「クラリア、ごめんね。エフェリアが迷惑をかけて……」
「迷惑なんてかけてないよ」
「いや、でも、うざくないかな?」
「う、うざくはありませんから、大丈夫です」
そんなエフェリア様に対して辛辣な物言いをするのは、ヴァル―ド公爵家の三男であるオルディア様だ。
二人は、双子の姉弟であるらしい。顔も声もそっくりだ。しかも二人とも中性的な見た目であるため、正直見分けがつかない。
「いや、でもやっぱりうざいんじゃないかなぁ?」
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「ちょ、オルディア、何を笑って……」
「ごめん……でも、もう限界かもしれない」
「限界って……」
「だって、エフェリアは私だし」
「うん?」
オルディア様の言葉に、私は首を傾げることになった。
今彼は、なんと言っただろうか。いや、彼女というべきなのかもしれない。今オルディア様は、自分のことをエフェリアだと言ったのだから。
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