妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗

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17.陽気な双子

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「最近はさ、使用人の人達も慣れてきて、入れ替わりネタが誰にも通用しなくて、ちょっとつまんなかったんだよね……」
「いや、久し振りだったね。でも、クラリアには嫌な思いをさせてしまったかな?」
「い、いえ気にしていませんから」
「あ、私のことは普通にエフェリアお姉様でいいからね」
「それなら僕は、オルディアお兄様ということになるかな?」

 エフェリアお姉様とオルディアお兄様が、私に対して友好的であるということはすぐにわかった。二人はずっと笑顔で、楽しそうにしていたからだ。
 上の兄弟が大丈夫だったからと、私が油断しているということもないだろう。この二人なら信用できると、なんというか肌で感じ取れる。

「えっと、エフェリアお姉様とオルディアお兄様は、何をしに来たのですか?」
「クラリアと仲良くなりに来たんだ。ほら、私達って色々と複雑な関係でしょ。でも、私達はそういうこと気にしていないっていうか」
「僕は末っ子だからね。妹が欲しいと思っていたんだ。兄ぶらせてもらおうかな」
「まあ、私も同じような感じかな。オルディアは別に弟っていう感じじゃないし」
「僕達は双子だからね。どっちが上とか下とか、そういうことはあんまり気にならないんだ」

 赤い髪飾りのお陰で見分けはつくが、二人は本当に良く似た顔をしている。
 ただ、性格は少し違うようだ。エフェリアお姉様の方が少しテンションが高くて、オルディアお兄様の方が少し穏やかである。
 そうして認識してみると、顔つきが少し変わって見えてきた。微妙な差異というものが、もしかしたらあるのかもしれない。

「まあ、言うならば半身みたいなものかな? オルディアとは部屋が一緒でも特に気にならないし、むしろいないと不安っていうか」
「イフェネアお姉様の部屋からは、いい年して恥ずかしいからっていう理由で別の部屋にさせてもらったんだけどね」

 イフェネアお姉様は、兄弟四人で同じ部屋で暮らしていたと言っていた。
 そこから二人は、巣立っていったそうである。しかしそれでも、二人での同室はやめなかった。それは双子だから特別な何かがある、ということなのだろうか。
 その辺りには、私にはよくわからない。いや、少し前までは兄弟がいるとさえも思っていなかった私に、双子のことなんてわかるはずはないだろうか。

「イフェネアお姉様は、寂しそうにしていたけどね。でも、今日はルンルンだった気がする」
「……もしかして、クラリアはもう、イフェネアお姉様と仲良くなったの?」
「え? ええ、そのお兄様がとも」
「……手が早いね」
「僕達が一番だと思っていたのに……」

 オルディアお兄様からの質問に、私は少し情報を加えて返答した。
 すると二人は、顔を見合わせる。どうやら上の兄弟達に先を越されたことに対して、二人は驚いているようだ。
 ただ同時に呆れているようにも見えるのは、私の気のせいだろうか。
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