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11(モブ視点)
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聖女の体制の崩壊は、思ったよりも早かった。
後任の聖女が来てから、すぐにその問題は起こってしまったのだ。
ビクトンにより、新しい聖女は様々な無理な要求をされた。それに、彼女は耐えられなかったのだ。
まだ慣れていない彼女にとって、その激務は簡単に倒れてしまうものだったのだろう。そんなことは、当たり前のことである。それに気づかなかったあの王子は、愚かとしか言いようがない。
「さて、俺達もどうするかね……」
「どうするもこうするも、ないと思うけど……」
アルメア様が去ったことで、多くの魔術師達がこの王城を去って行った。
彼女を支えにしていた者は、たくさんいた。そんな彼等にとって、彼女がいない王城など耐えられなかったのである。
流石に、やめたいという者が多すぎたためか、ビクトンは段々と退職を受け入れなくなっていた。この王城に、無理やり務めされるようになったのだ。
私達も、無理やり務めされているようなものである。本心では、誰もがやめたいと思っているだろう。だが、もうそれは叶わない。
「新しい聖女様は、大丈夫だろうか……」
「ええ、今日もまた業務にあっているのよね……」
新しい聖女は、昨日倒れたばかりだ。
しかし、そんな彼女をビクトンは無理やり叩き起こした。今も、無理やり業務をさせているはずである。
当然、私達も反発した。だが、それすらもビクトンは聞き入れなかったのだ。
厄介なことに、あんな王子にも協力者が多くいる。その協力者達のせいで、国王様などに密告することもできない。
私達の道は、塞がれてしまっているのだ。
「もう俺達に残された道は、破滅しかないのだろうか……」
「破滅……このまま、あの王子に従っていれば、そうなるかもしれないわね」
「ああ、だが、従わない選択肢も、俺達には残されている」
「ええ……でも、その選択肢も、また破滅ということなのではないかしら?」
「例え、それが破滅だったとしても、二度と同じことを繰り返させないためには、そうするしかないだろう」
だから、私達は道を切り開かなければならないのである。
それが、どのような方法であっても、現状を変えるにはそれしかないのだから、割り切るべきなのだ。
「我らの意思を、腐った王子や何も知らない国王に知らせるのだ! それこそが、今、我々ができること! そうだろう! 皆よ!」
私の隣にいるオーガン・レドフィスは、ある一室に集まった魔術師達に呼びかけた。
彼は、私達の同士である。その彼等とともに、私達は王国に反逆するのだ。
アルメア様がいたら、愚かなる私達を止めただろうか。そんなことを思いながら、私は決意するのだった。
後任の聖女が来てから、すぐにその問題は起こってしまったのだ。
ビクトンにより、新しい聖女は様々な無理な要求をされた。それに、彼女は耐えられなかったのだ。
まだ慣れていない彼女にとって、その激務は簡単に倒れてしまうものだったのだろう。そんなことは、当たり前のことである。それに気づかなかったあの王子は、愚かとしか言いようがない。
「さて、俺達もどうするかね……」
「どうするもこうするも、ないと思うけど……」
アルメア様が去ったことで、多くの魔術師達がこの王城を去って行った。
彼女を支えにしていた者は、たくさんいた。そんな彼等にとって、彼女がいない王城など耐えられなかったのである。
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私達も、無理やり務めされているようなものである。本心では、誰もがやめたいと思っているだろう。だが、もうそれは叶わない。
「新しい聖女様は、大丈夫だろうか……」
「ええ、今日もまた業務にあっているのよね……」
新しい聖女は、昨日倒れたばかりだ。
しかし、そんな彼女をビクトンは無理やり叩き起こした。今も、無理やり業務をさせているはずである。
当然、私達も反発した。だが、それすらもビクトンは聞き入れなかったのだ。
厄介なことに、あんな王子にも協力者が多くいる。その協力者達のせいで、国王様などに密告することもできない。
私達の道は、塞がれてしまっているのだ。
「もう俺達に残された道は、破滅しかないのだろうか……」
「破滅……このまま、あの王子に従っていれば、そうなるかもしれないわね」
「ああ、だが、従わない選択肢も、俺達には残されている」
「ええ……でも、その選択肢も、また破滅ということなのではないかしら?」
「例え、それが破滅だったとしても、二度と同じことを繰り返させないためには、そうするしかないだろう」
だから、私達は道を切り開かなければならないのである。
それが、どのような方法であっても、現状を変えるにはそれしかないのだから、割り切るべきなのだ。
「我らの意思を、腐った王子や何も知らない国王に知らせるのだ! それこそが、今、我々ができること! そうだろう! 皆よ!」
私の隣にいるオーガン・レドフィスは、ある一室に集まった魔術師達に呼びかけた。
彼は、私達の同士である。その彼等とともに、私達は王国に反逆するのだ。
アルメア様がいたら、愚かなる私達を止めただろうか。そんなことを思いながら、私は決意するのだった。
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