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17.事件が解決して
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「ラルーナは、色々と大変だったみたいだね?」
「まあ、そうだね。大変だったよ」
「でも、良かったじゃん。巨悪は打ち砕かれたんでしょう? オーディス様のこと、すごく噂になっているし……」
「巨悪という訳でもないけれどね……」
最近、教室内ではオーディス・トレファー侯爵令息の話題で持ち切りだった。
稀代の天才リメルナが求婚を受け入れたとされていた彼が、大ホラ吹きだったという事実は、多くの人達の心を動かすものだったらしい。
その噂を流したのは、ゼルート様である。彼はトレファー侯爵家のエヴァンス様の力も借りて、オーディス様を追い詰めているのだ。
流石のオーディス様も、この状況では大きな顔はできないようだった。
最近では学園も休みがちになっているらしく、充分に制裁を受けたといえるだろう。私の心も、結構晴れやかだ。
「それにしても、私が知らない間に色々とあってびっくりしたよ。でもまあ、丸く収まったなら良いんだけどね」
「うん。まあ、その問題は解決したんだけどね」
「え? 何か他に問題でもあるの?」
「問題という訳でもないけれど……まあ、少し色々とあったというか、なんというか……」
「なんだか歯切れが悪いね……」
テセネアからの質問に、私は言葉を詰まらせることになった。
実の所、今の私はとても平静とは言い難い。今回の件が一区切りついた頃に、ある人からあることを提案されたのだ。
私は、そっとその人物の方に視線を向けた。すると彼は、涼しい笑みを返してくる。
「ごめん。そろそろ行かないと駄目かもしれない」
「行くって? 何かあるの?」
「今回の件に関する相談を、しないといけないんだよね……」
「そうなんだ。それならいってらっしゃい」
テセネアに謝った後、私は席を立つ。
目指すべきは、談話室である。そこで私は、これから大切な話をしなければならないのだ。
それは必要な話である。ただ、足取りが軽いとは言い難い。別に嫌という訳ではないのだが、未だに心の整理がついていないのである。
「ラルーナ嬢」
「ゼルート様……」
そんな風に歩いていると、後ろから少し早足でやって来たゼルート様が私に声をかけてきた。
彼と私の目的地は同じである。故に追いついて来たのだろう。
というか、私が今回話をするのが他ならぬ彼である。話の内容的にも、正直少し緊張してしまう。
「行きましょうか?」
「え、ええ……」
私は、ゼルート様とゆっくりと歩き始めた。
談話室は目と鼻の先である。それ程時間がかかるという訳ではない。
ただ、私にはとてもゆっくりに思えてしまった。それは仕方ないことである。なぜなら私は、ゼルート様から婚約を申し込まれているのだから。
「まあ、そうだね。大変だったよ」
「でも、良かったじゃん。巨悪は打ち砕かれたんでしょう? オーディス様のこと、すごく噂になっているし……」
「巨悪という訳でもないけれどね……」
最近、教室内ではオーディス・トレファー侯爵令息の話題で持ち切りだった。
稀代の天才リメルナが求婚を受け入れたとされていた彼が、大ホラ吹きだったという事実は、多くの人達の心を動かすものだったらしい。
その噂を流したのは、ゼルート様である。彼はトレファー侯爵家のエヴァンス様の力も借りて、オーディス様を追い詰めているのだ。
流石のオーディス様も、この状況では大きな顔はできないようだった。
最近では学園も休みがちになっているらしく、充分に制裁を受けたといえるだろう。私の心も、結構晴れやかだ。
「それにしても、私が知らない間に色々とあってびっくりしたよ。でもまあ、丸く収まったなら良いんだけどね」
「うん。まあ、その問題は解決したんだけどね」
「え? 何か他に問題でもあるの?」
「問題という訳でもないけれど……まあ、少し色々とあったというか、なんというか……」
「なんだか歯切れが悪いね……」
テセネアからの質問に、私は言葉を詰まらせることになった。
実の所、今の私はとても平静とは言い難い。今回の件が一区切りついた頃に、ある人からあることを提案されたのだ。
私は、そっとその人物の方に視線を向けた。すると彼は、涼しい笑みを返してくる。
「ごめん。そろそろ行かないと駄目かもしれない」
「行くって? 何かあるの?」
「今回の件に関する相談を、しないといけないんだよね……」
「そうなんだ。それならいってらっしゃい」
テセネアに謝った後、私は席を立つ。
目指すべきは、談話室である。そこで私は、これから大切な話をしなければならないのだ。
それは必要な話である。ただ、足取りが軽いとは言い難い。別に嫌という訳ではないのだが、未だに心の整理がついていないのである。
「ラルーナ嬢」
「ゼルート様……」
そんな風に歩いていると、後ろから少し早足でやって来たゼルート様が私に声をかけてきた。
彼と私の目的地は同じである。故に追いついて来たのだろう。
というか、私が今回話をするのが他ならぬ彼である。話の内容的にも、正直少し緊張してしまう。
「行きましょうか?」
「え、ええ……」
私は、ゼルート様とゆっくりと歩き始めた。
談話室は目と鼻の先である。それ程時間がかかるという訳ではない。
ただ、私にはとてもゆっくりに思えてしまった。それは仕方ないことである。なぜなら私は、ゼルート様から婚約を申し込まれているのだから。
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