虫けら転生録

37話 大森林を呑みこむ波

大量の血が大きな水溜りを作っている。
血みどろの最中でする食事はやはり不味い。
食材が良くないのもあるが、やっぱ景観って大事なんだねって切に思う。まぁ、喰ってるのは下処理も処理もくそも無い新鮮死にたて魔獣肉だけど。

複数頭の魔獣が激しい抗争を繰り広げてたから漁夫ろうとしたら、同じ考えの奴がまぁ多いこと多いこと。結果的には30近くの大乱闘になった。空Nコンボはしません。
まぁ何とか巻き込まれないような立ち位置に居ながら切り抜けて勝ったものの、一番食いたかった炎魔法使いには逃げられたが、他の奴もまずまずの性能だ。

一先ず自分に鑑定眼。


→
個体名：（無し）
　年齢：２歳
　性別：雄
　種族：混蟲カオスインセクト
　状態：疲労（小）
　ランク：C
　レベル：22
　EXP：2/140
　ステータス
　HP：632/620+50
　MP：110/172
　物理攻撃：733+30
　魔法攻撃：593+30
　物理抵抗：932+30
　魔法抵抗：855+30
　速度：502+40
　スキル
　鑑定眼　不退転　魔力の使い手　魔力操縦５　暴食　気配察知２　危険察知５　糸術２　鎌術３　拳術１　鋼の牙３　転がる３　鉄躰６　風属性魔法１　毒魔法５　魔術吐息１　身体再生10　自己再生５　苦味10　強力３　魔力３　生命５　守護３　迅速４　恐怖耐性９　痛覚耐性９　環境耐性６　魔力耐性１　風耐性２　炎熱耐性１　氷雪耐性１　酸無効　毒無効　悪食10　忍耐６　冷静８　演算２　連携１　小さな勇敢１
　穴掘り　木登り　
　スキルポイント：０
　称号
　魔物喰イ　大物食い　暴食　悪食王　勇者のココロ　狡猾な者　混沌なる者　異端児　転生者




おお、大分いい感じじゃない？特に暴食で奪ったこの辺り。

《魔力耐性：魔力を用いた攻撃のダメージを減らす。》

今回の当たりだね。実質魔法抵抗上がったみたいなもん。戦闘中に魔術吐息も試してみたが、まぁまぁ良いダメージが入った。他スキルの検証とかも出来たし、この大乱闘自体収穫が多かった様に思う。
ただ、そうなるとやっぱり炎魔法使ってるやつを逃がしたのは痛手だったな。暴食で炎魔法頂きたかった。ちくせふ。強かったから経験値も多そうだったしね。
こうなると先に糸術かなにかでアイツの動きを止めておくべきだったか？いや、糸で縛って転がしても炎魔法で逃げ出せるわ。
やっぱり地道に探すしか無いのかね。

とか思っていれば、血の匂いに誘われて魔物がやって来る。そろそろ疲れたんで、適当に雑魚の肉をくれてやって撤退。その魔物が追って来ることは無かったが、こちらが見えなくなるまで、じいっとこっちを穴が開く程に見ていて気味が悪かった。


ふと耳をすませば、またどこかで争っている音がした。耳なんか無いけど。触覚って便利。すぐさま駆けつけ漁夫りに行くが、もう既に漁夫待機してる奴が。
うわぁなんだこの森漁夫ばっかりじゃないか！？漁夫なら海に行けよ海に！とかいう冗談は置いといて、先客がいるなら仕方ない、疲れてるし、ここは引くとしよう。ケッ、命拾いしたな！
というのは冗談にしても、また別の戦闘音がする。更に別方向からも戦闘音。更に更に別方向からも．．．

．．．血気盛んすぎね？いつもまぁそこそこ戦ってる場面には出会す事あるけどさ、こんな色んな所でバトッてたっけ？何？バトルトーナメントでも開催されてる？この森を統べる王でも決めるわけ？

ふと、落ち込んでいた気分が戻ってきた事に気づく。そんな場合じゃなかったからだろうか
ともかく、戦闘の波が渦巻いているこの状況は、経験値稼ぎのチャンス。見たことのない魔物も度々見られるし、珍しいスキルとかも奪えるかも知れない。そうなるとこの突発イベントは、急成長のチャンスって事になる。
危険が危ないが、そんな事言ってたら俺はそもそも今生きてないしな。
あの化け物龍がいつまた襲って来るか分からんし、そもそもこの森正面から戦って俺が勝てる奴の種類が意外と少ない。羽化した時のあのドラゴン、この森じゃ弱い方だったとか冗談だろ。
まだまだ未知の化け物がいて、ソレが何時襲って来るかわからない。
そうだ。もしかすると、人の姿を取れるようになるスキルがあるかもしれない。周りは知らない魔物ばかり。可能性は０ではないどころか寧ろ高い。

乗るしか無い。このビッグウェーブに。