37 / 74
36話 白鬼先生★
しおりを挟む
ゆらゆらと鬼火が揺れて、暗闇を照らします。
私が刀を振るう毎に、青白い炎が闇を切り裂き、ソレとともに潜む魔物も両断しました。
「もう大丈夫ですよ、向かってきた魔物は全て倒しました」
刀を振るって血糊を落としながら、木陰に隠れていた商人さんを呼びます。
「ありがとうな、お前さんのお陰で夜道も安心じゃわい」
かっかっか、と恰幅のいいお腹を揺らして笑う商人さん。普通、夜中は魔物も強くなります。夜の森の方が危険なのはどの世界でも同じですね。まぁ、夜目が効けばそうでもない魔物が多いようですので、炎を出せる私にとってはあまり問題ないです。
私は元教員から転生して、ゴブリンになってました。
ですが、巨大な狼さんに集落を滅ぼされまして、その時、何故か進化して鬼人になりました。死んだ仲間の魂を背負い戦う鬼なんだそうです。まったく、私なんかが彼らの魂を背負う資格があるのでしょうか?
あれから、私は森の中を彷徨い歩きました。
まぁ、迷子ですね。元いた集落にも戻れず、また、人の姿になったので、狩った魔物の皮を服代わりにしながら、当てもなく魔物を狩っていた訳です。
そんな事をしている内に再び進化して、私は白鬼人になりました。
腰まで届く白髪が夜中も見やすいです。ですが、一応私は男なのに、女性の様な顔とほっそりした体つきになってしまったのは不満です。これが男の娘って奴ですか。
まぁ、その後人里にたどり着いて、纏うのは獣の皮だけだったので痴女扱いされました。解せぬってやつです。
その後服を貰って、冒険者ギルドなるものの存在を聞きつけて加入、今に至ります。
因みに名前は無いと言ったら、勝手に名付け大会が開かれて、ブランに決まりました。少々女の子みたいな名前ですが、実際候補にあがっていた変態露出魔にならなかっただけ良しとしましょう。この名前を候補として提案した奴は後でシメました。えぇ、勿論。
私は魔物を相当数倒していたお陰で、かなり高いレベルであるようで、ほぼ最速でBランク冒険者まで上り詰めました。そのおかげでといいますか、こうしてお得意様の護衛なんかもソロで任される様になった訳です。街のギルドでも結構強い方なんですよ?まぁ、こちらの世界での実年齢はまだ8歳とかその辺ですが。
身長は190近くあるので大人と勘違いされていて困ったものです。姐さんじゃないんですよ、私あなたの娘さんより年下ですから!!って状況になったりすることもしばしばあるくらいですからね...
「じゃー、行くぞぉ」
商人さんが馬をゆっくりと進ませます。
それじゃあ、私も少し休ませてもらうとしましょう。
「少し仮眠を取らせてもらいますね。魔物感知の魔道具が反応したら起こして下さい」
この先は安全地帯ですし、スキルを使って確認してもめぼしい反応は見当たりません。少しくらい、眠らせて貰っても大丈夫でしょう。
それはともかく、ここのところの目標は、『英雄の世代』に会うこと。丁度私と同じ年代ですね。というのも、この年齢の世代はどうにも優秀な力を持った子供が多く生まれた様で、まぁ私もその一人にはなるのですが。
というのも、もしかすると、生徒たちも転生しているかも知れないと思ってしまったのです。
その可能性を思い立ってしまったが最後、居ても立っても居られなくなり、一番手っ取り早く会える、鑑定屋をやっている少年に会いに行きました。
結果はビンゴ。転生者、しかも私が担任を持っていたクラスメイトでした。
彼曰く、同郷、特にクラスメイトに会うのは私で5人目で、勇者パーティ4人が全員同郷で、会ったことがあるそうです。
ここまで来れば、最早全員集まっているという説が濃厚になって来ました。こうなれば、担任として。全員と会って、もし辛い環境に置かれている人が居れば、保護する。
そう、私は密かに闘志を燃やしました。
居場所を特定する手がかりも、生きている保証もないですが、もし、元の世界に戻れたなら、胸を張って自慢話が出来るように、死んでいったゴブリンの仲間たちに顔向け出来るように。
私にやれることは全てやってやりましょう。
あわよくば、全員でまた集まれる事を祈って。
後に、既に一敗している事実を知って消え入りたくなってギルドの屋上から飛び降りたけど身体能力高いせいで普通に着地出来たのはまた別のお話。
私が刀を振るう毎に、青白い炎が闇を切り裂き、ソレとともに潜む魔物も両断しました。
「もう大丈夫ですよ、向かってきた魔物は全て倒しました」
刀を振るって血糊を落としながら、木陰に隠れていた商人さんを呼びます。
「ありがとうな、お前さんのお陰で夜道も安心じゃわい」
かっかっか、と恰幅のいいお腹を揺らして笑う商人さん。普通、夜中は魔物も強くなります。夜の森の方が危険なのはどの世界でも同じですね。まぁ、夜目が効けばそうでもない魔物が多いようですので、炎を出せる私にとってはあまり問題ないです。
私は元教員から転生して、ゴブリンになってました。
ですが、巨大な狼さんに集落を滅ぼされまして、その時、何故か進化して鬼人になりました。死んだ仲間の魂を背負い戦う鬼なんだそうです。まったく、私なんかが彼らの魂を背負う資格があるのでしょうか?
あれから、私は森の中を彷徨い歩きました。
まぁ、迷子ですね。元いた集落にも戻れず、また、人の姿になったので、狩った魔物の皮を服代わりにしながら、当てもなく魔物を狩っていた訳です。
そんな事をしている内に再び進化して、私は白鬼人になりました。
腰まで届く白髪が夜中も見やすいです。ですが、一応私は男なのに、女性の様な顔とほっそりした体つきになってしまったのは不満です。これが男の娘って奴ですか。
まぁ、その後人里にたどり着いて、纏うのは獣の皮だけだったので痴女扱いされました。解せぬってやつです。
その後服を貰って、冒険者ギルドなるものの存在を聞きつけて加入、今に至ります。
因みに名前は無いと言ったら、勝手に名付け大会が開かれて、ブランに決まりました。少々女の子みたいな名前ですが、実際候補にあがっていた変態露出魔にならなかっただけ良しとしましょう。この名前を候補として提案した奴は後でシメました。えぇ、勿論。
私は魔物を相当数倒していたお陰で、かなり高いレベルであるようで、ほぼ最速でBランク冒険者まで上り詰めました。そのおかげでといいますか、こうしてお得意様の護衛なんかもソロで任される様になった訳です。街のギルドでも結構強い方なんですよ?まぁ、こちらの世界での実年齢はまだ8歳とかその辺ですが。
身長は190近くあるので大人と勘違いされていて困ったものです。姐さんじゃないんですよ、私あなたの娘さんより年下ですから!!って状況になったりすることもしばしばあるくらいですからね...
「じゃー、行くぞぉ」
商人さんが馬をゆっくりと進ませます。
それじゃあ、私も少し休ませてもらうとしましょう。
「少し仮眠を取らせてもらいますね。魔物感知の魔道具が反応したら起こして下さい」
この先は安全地帯ですし、スキルを使って確認してもめぼしい反応は見当たりません。少しくらい、眠らせて貰っても大丈夫でしょう。
それはともかく、ここのところの目標は、『英雄の世代』に会うこと。丁度私と同じ年代ですね。というのも、この年齢の世代はどうにも優秀な力を持った子供が多く生まれた様で、まぁ私もその一人にはなるのですが。
というのも、もしかすると、生徒たちも転生しているかも知れないと思ってしまったのです。
その可能性を思い立ってしまったが最後、居ても立っても居られなくなり、一番手っ取り早く会える、鑑定屋をやっている少年に会いに行きました。
結果はビンゴ。転生者、しかも私が担任を持っていたクラスメイトでした。
彼曰く、同郷、特にクラスメイトに会うのは私で5人目で、勇者パーティ4人が全員同郷で、会ったことがあるそうです。
ここまで来れば、最早全員集まっているという説が濃厚になって来ました。こうなれば、担任として。全員と会って、もし辛い環境に置かれている人が居れば、保護する。
そう、私は密かに闘志を燃やしました。
居場所を特定する手がかりも、生きている保証もないですが、もし、元の世界に戻れたなら、胸を張って自慢話が出来るように、死んでいったゴブリンの仲間たちに顔向け出来るように。
私にやれることは全てやってやりましょう。
あわよくば、全員でまた集まれる事を祈って。
後に、既に一敗している事実を知って消え入りたくなってギルドの屋上から飛び降りたけど身体能力高いせいで普通に着地出来たのはまた別のお話。
11
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。



のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる