転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ

文字の大きさ
145 / 203
2章 幼少期編 II

27.建設現場見学ツアー1

しおりを挟む
 
本日は晴天なり……空中街道の建設現場見学日和なのであります。

アルベール兄さまの引率のもと、見学メンバーは私とベール兄さま、そして飛び入り参加のシブメンと、休暇中の近衛騎士団長のルエ・ヨーンド伯爵で……全5人。

街歩きと違って人ごみに入り込まないので、今日の護衛は近衛騎士だけとなっている。
だけと言っても10人以上いるけれど。それとアルベール兄さまの侍従2名と、侍女2名ね。

今は、王政区から馬車でなんやかんやと一時間いっときかけて、やっとこさ東王都門から出たところだ。一番外側の門ね。

その王都門では、通行証を提示するだけのユルユル検問だったのは意外だった。

聞いてみたところ、雑多な人々が出入りする平民の層を厳しくしてしまうと、流通に支障が出るからなのだそうだ。だから貴族層との境である禁門が厳しくなっているのだと、アルベール兄さまが教えてくれた。

うん、ルベール兄さまとお出かけした時も、お姫さまにも容赦ない厳しさだったよ。

でもね、でもねぇ~、今日の禁門はアレだった。

兵たちのカリスマである『ルエ近衛騎士団長』が同行していたので、禁門兵たちから歓迎ムードでお出迎えされたのだ……って、なんだか釈然としませんよ。ルエ団長がそっくりさんだったらどうするのです?

モヤモヤをアルベール兄さまに訴えようと見たら、おっと、王子さまは腕を組んで目をつむっていらっしゃる。隣に座っているベール兄さまも半眼になっていた。シブメンは……いの一番に馬車を飛び降りたルエ団長を、非常に面倒くさそうな目で追っていた。あらぁ~。

『せいれー---つ!!』

ルエ団長のげきが飛んだ。

やっぱり駄目でしたか。

整列した兵士の前を鬼軍曹の如く行ったり来たりしているルエ団長は、兵士たちの憧れであり、ベール兄さまの剣の先生でもある。
ルエ団長の舞うような剣技が凄いのだと、ベール兄さまはしょっちゅう師匠自慢をしているのだけど、私にとってはチャーハン好きの人という印象しかなかった。
まぁでも、初めて会った時に人気の理由がわかったけどね。彼はとんでもない美人なのだ……じゃなくて美男子なのだ。
お父さまのような紳士的なハンサムさんとはまた違う魅力の、シブメンのような天才型なノーブルさとも違う魅力の、どう表現したらいいのだろう……シュッとした格好いいオジサマ! ……いや、オジサマはないなぁ。う~ん。

そんなつまらないことに頭を悩ませているうちに、仕切り直した通常の厳しい改めが終わって、馬車はカッポカッポと進んだ。
ふふん、この馬車はガタガタゴトゴト音は出ないのだよ。最新式乗用馬車《アルベII》六輪 紺 重型……もう車体がノスタルジックな高級バスなのだ。魔導蒸気自動車の原型が見えてきたのだ。うふふ~、スチームパンク~♪


◇…◇…◇


さぁさぁさぁ、サクサク進んでいよいよ空中街道ですよ。

馬車の窓から顔を出せば王都駅が見えるはず。あっ、アルベール兄さまにカーテンを引かれてしまった。馬車を降りるまで楽しみに待つようにと言明も受けた。もうチラ見もできない。

仕方ありません。ベール兄さまも我慢していますものね。私も良い子で待ちますよ……でも、ちょっとだけ。だめ?




………続く
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜

あいみ
ファンタジー
亡き祖母との約束を守るため、月影優里は誰にでも平等で優しかった。 困っている人がいればすぐに駆け付ける。 人が良すぎると周りからはよく怒られていた。 「人に優しくすれば自分も相手も、優しい気持ちになるでしょ?」 それは口癖。 最初こそ約束を守るためだったが、いつしか誰かのために何かをすることが大好きになっていく。 偽善でいい。他人にどう思われようと、ひ弱で非力な自分が手を差し出すことで一人でも多くの人が救われるのなら。 両親を亡くして邪魔者扱いされながらも親戚中をタライ回しに合っていた自分を、住みなれた田舎から出てきて引き取り育ててくれた祖父祖母のように。 優しく手を差し伸べられる存在になりたい。 変わらない生き方をして二十六歳を迎えた誕生日。 目の前で車に撥ねられそうな子供を庇い優はこの世を去った。 そのはずだった。 不思議なことに目が覚めると、埃まみれの床に倒れる幼女に転生していて……? 人や魔物。みんなに愛される幼女ライフが今、幕を開ける。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処理中です...