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019.町での生活(偽物、本物、偶像)
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「あの、いきなりお店に出ていいんですか?」
「いいのいいの。今は常連さんしかいないしね」
オーナーさんに連れてこられた私達は、いつの間にかメイド服を着せられていた。
いや、自分で着たのは覚えている。
けど、いつの間にか着ていたのだ。
本当にいつの間にか。
そこにメイド服があったから。
そうとしか説明できない。
なぜか私達に合うサイズのメイド服があり、着るのが当たり前という雰囲気だったから、その雰囲気に流されるままに着てしまった。
まるで、それが自然の摂理であるかのように。
「わあ、可愛いね」
モモは単純に喜んでいるようだ。
確かにモモに似合っている。
こんな可愛いメイド服を着たモモに、ご奉仕されたい。
それに対してユズは、メイド服こそ似合っていたけど、少し気味悪そうに顔を歪めていた。
「小さいサイズのメイド服があったのは、百歩ゆずっていいとして、なんで私達にぴったりなのかしら」
それは私も知りたい。
私は小さいサイズがあったこと自体を疑問に思ったけど、ユズはさらにオーナーさんが見立てた服がぴったりだったことに疑問を感じたようだ。
私とユズが首を傾げていると、その本人が教えてくれる。
「店員を増やそうと思って、色々なサイズのメイド服を用意していたのよ。何も不思議なことはないわ」
そういえば、二号店を出そうとしているくらい繁盛していると言っていた。
予備のメイド服があること自体は、おかしくない。
「あと、ぴったりなのは、私が調整したからよ。これでも、お裁縫が得意なの」
そう言って、ウインクするオーナーさん。
なるほど。
筋は通っている。
……
本当にそうだろうか。
「調整する前に、私達の身体に触らなかったですよね?」
「ええ。それが何か?」
「何かっていうか……」
お城にいたときに服を仕立ててもらったことはある。
でも、そのときは身体のあちこちを測っていた。
それに対して、オーナーさんは測ることなく、ぴったりに仕上げてみせた。
「もしかして……オーナーさん、実は凄い人?」
それしか説明が思いつかない。
オーナーさんの技術は、お城にいた人よりも高いような気がする。
私の感想を聞いたオーナーさんが、得意そうな顔になる。
「やっとわかった? そう、私は凄いのよ!」
ふざけたような台詞と態度だけど、その技術が高いことは確かだ。
思ったより、大物なのかも知れない。
「女の子の身体のことなら、視ただけで全てわかるの! スリーサイズから、エッチのときに感じる場所まで!」
「ひゃあ!」
「言わなくていいわよ!」
オーナーさんが、モモ、ユズ、それに私を順に眺めてくる。
なんだか、ぞわぞわっとした。
私達三人は思わず自分の身体を抱きしめる。
けど、オーナーさんの視線にさらされると、まるで身体の中まで見られているような気分になる。
それどころか、心の中まで。
「さて、私の特技を見せてあげたわけだし、今度はお嬢ちゃんの特技を見せてもらおうかしら」
私がぞわぞわしていると、オーナーさんが、ぽんっと肩を叩いてくる。
不思議なことに、視線にさらされていると、ぞわぞわしたのに、肩を叩かれるとそれが解けた。
それで、私は自分のやるべきことを思い出した。
「わかりました」
雇ってもらえることになったとは言っても、私は自分の価値を示さなきゃならない。
それで今後の待遇が変わってくるかも知れないのだ。
雇い主はオーナーさんだ。
だから、オーナーさんが私に価値がないと判断すれば、私……私達が首になる可能性もある。
私は基本的な仕事の内容を聞いて、それを理解する。
いよいよ本番だ。
お客さんから、注文を聞く。
聞いた内容を、厨房に伝える。
料理や飲み物を、お客さんへ持っていく。
簡単に言えば、やることはそれだけだ。
けど、単にそれをおこなうだけでは、お客さんは満足してくれない。
ただのカフェなら、それで充分かも知れないけど、ここはメイドカフェだ。
お客さんは、メイドにご奉仕されることを望んでいる。
それに対して、お客さんはお金を払うのだ。
「それじゃあ、いってきます」
「ええ、いってらっしゃい」
オーナーさんに見送られて、私は初めての接客に向かった。
……
「いらっしゃいませ」
私の強みは、本物のメイドを知っていることだ。
それは、他の人には無い知識だと思う。
だから私は、記憶の中にいるメイド達の動きを思い出す。
私自身はメイドの仕事をしたことはない。
けど、毎日のように見ていた。
それに、礼儀作法の教育は受けていた。
だから、模倣することはできると思う。
事実、私の身体は、記憶の中にあるメイド達の動きを、再現してくれたと思う。
「お待たせしました」
けれど、どうもお客さんの反応が悪い。
そこで私は思い出した。
オーナーさんは言った。
町の人達は『本物のメイド』を知っているわけじゃない。
それなのに、この店に来ている。
それは町の人達が思い浮かべる『理想のメイド』に会いにきているからだ。
それは『偽物のメイド』かも知れないけど『理想のメイド』なのだ。
求められているのは、『本物のメイド』じゃない。
『理想のメイド』だ。
「ごゆっくりしていってください」
だから私は、にっこりと微笑んだ
……
「どうでしたか」
一人目の接客を終えて、私はオーナーさんに感想を求める。
お城で見ていたメイドの模倣はできたと思う。
けど、このお店のお客さんが求めているメイドが体現できたかは分からない。
だから、尋ねた。
「うーん……」
オーナーさんが腕を組んで、考えている。
私を見ていない。
お店のお客さんをみている。
「……」
気付いていた。
私が接客をしたお客さんは反応が鈍かった。
そして、お店の中も静かになっている。
私は失敗したのかも知れない。
私の接客が期待外れだったから、しらけさせてしまったのかも知れない。
心臓の鼓動が激しい。
破裂してしまいそうだ。
私が不安の中で答えを待っていると、ふわっと後ろから何かがぶつかってきた。
いや、ぶつかってきたというより、抱き着いてきた。
「凄かったよ、白雪姫!」
抱き着いてきたのは、モモだった。
ユズも近づいてきて、声をかけてくれる。
「うん、凄かった。お客さんも店員さんも、白雪姫に見惚れていたよ」
そうなのだろうか。
自分では分からない。
私は確認するために、オーナーさんの方を見た。
私の視線に気づいたのだろう。
オーナーさんが、にこっと笑ってきた。
「接客はバッチリだったわよ。お客さんが見惚れていたのも本当。でも……」
前半の言葉を聞いて、ほっとする。
けど、後半の言葉を聞いて、私は再び不安になる。
良いところはあったけど、悪いところもあった。
そういうことだろうか。
だとすれば、結果としては微妙だ。
どれだけ良いところがあったとしても、このお店が必要としているものを満たしていなければ、お客さんは満足しない。
私は続く言葉を待つ。
「でも、メイドじゃなかったかな。他の店員が取り入れることができそうなところも無かったかな」
「そう……ですか」
その言葉に私の頭は真っ白になる。
メイドカフェで、メイドじゃないと言われたのだ。
つまり、お店が必要としているものじゃなかったということだ。
私は期待に応えることができなかった。
そう言われたのだ。
後は必至になって働くしかない。
雇ってはくれると言っているのだ。
少しでもお店が求めるものに近づくために、努力をするしかない。
「あの、頑張って他の店員さんと同じことができるようになりますから、どうか首にしないでください」
私は懇願する。
けど、オーナーさんは首を横に振る。
「ん? それじゃダメよ」
見込みがないということだろうか。
絶望的な心境になる。
「あの、どうか……」
私がさらにお願いしようとすると、オーナーさんは、ぽんっと手を叩く。
「決めた! 白雪姫って言ったっけ? あなたは今日から、うちのお店のお姫様よ!」
そして、そんなことを言ってきた。
その言葉に私は二つの疑問を覚えた。
一つ目は、どうして私の名前を知っているかということだ。
でもそれは、先ほどモモが呼んだからだろう。
問題は二つ目だ。
お姫様って……なに?
「ほら見て、お客さんも他の店員も、みんな見惚れちゃって、声も出せないでいるもの!」
言われて私は改めてお店の中を見る。
すると、みんなが私を見ていることに気づく。
そして、私がみんなを見ると、そっと視線を逸らされた。
「白雪姫が綺麗すぎて、素敵すぎて、みんな気圧されちゃっているのよ。笑ってあげて」
オーナーさんが、見本を見せるように、笑顔を見せてくる。
私はもう一度、お店の中のみんなを見る。
みんな、私をちらちらと見てくるけど、しっかりと視線を合わせてくれない。
けど、これは私が原因らしい。
なら、私の態度しだいで、視線を合わせてくれるということだ。
私はお店の中に足を踏み入れる。
そして、みんなに向けてカーテシーを捧げる。
お城にいるお姫様なら、これでいいのだと思う。
けど、このお店では、これだけではダメなのだ。
私は、私が知る一番の微笑み思い出しながら、自分の表情にそれを浮かべる。
「新人の白雪姫です。これからよろしくお願いします」
その日、私は鳴り響く拍手とともに、このお店の一員として認められた。
「いいのいいの。今は常連さんしかいないしね」
オーナーさんに連れてこられた私達は、いつの間にかメイド服を着せられていた。
いや、自分で着たのは覚えている。
けど、いつの間にか着ていたのだ。
本当にいつの間にか。
そこにメイド服があったから。
そうとしか説明できない。
なぜか私達に合うサイズのメイド服があり、着るのが当たり前という雰囲気だったから、その雰囲気に流されるままに着てしまった。
まるで、それが自然の摂理であるかのように。
「わあ、可愛いね」
モモは単純に喜んでいるようだ。
確かにモモに似合っている。
こんな可愛いメイド服を着たモモに、ご奉仕されたい。
それに対してユズは、メイド服こそ似合っていたけど、少し気味悪そうに顔を歪めていた。
「小さいサイズのメイド服があったのは、百歩ゆずっていいとして、なんで私達にぴったりなのかしら」
それは私も知りたい。
私は小さいサイズがあったこと自体を疑問に思ったけど、ユズはさらにオーナーさんが見立てた服がぴったりだったことに疑問を感じたようだ。
私とユズが首を傾げていると、その本人が教えてくれる。
「店員を増やそうと思って、色々なサイズのメイド服を用意していたのよ。何も不思議なことはないわ」
そういえば、二号店を出そうとしているくらい繁盛していると言っていた。
予備のメイド服があること自体は、おかしくない。
「あと、ぴったりなのは、私が調整したからよ。これでも、お裁縫が得意なの」
そう言って、ウインクするオーナーさん。
なるほど。
筋は通っている。
……
本当にそうだろうか。
「調整する前に、私達の身体に触らなかったですよね?」
「ええ。それが何か?」
「何かっていうか……」
お城にいたときに服を仕立ててもらったことはある。
でも、そのときは身体のあちこちを測っていた。
それに対して、オーナーさんは測ることなく、ぴったりに仕上げてみせた。
「もしかして……オーナーさん、実は凄い人?」
それしか説明が思いつかない。
オーナーさんの技術は、お城にいた人よりも高いような気がする。
私の感想を聞いたオーナーさんが、得意そうな顔になる。
「やっとわかった? そう、私は凄いのよ!」
ふざけたような台詞と態度だけど、その技術が高いことは確かだ。
思ったより、大物なのかも知れない。
「女の子の身体のことなら、視ただけで全てわかるの! スリーサイズから、エッチのときに感じる場所まで!」
「ひゃあ!」
「言わなくていいわよ!」
オーナーさんが、モモ、ユズ、それに私を順に眺めてくる。
なんだか、ぞわぞわっとした。
私達三人は思わず自分の身体を抱きしめる。
けど、オーナーさんの視線にさらされると、まるで身体の中まで見られているような気分になる。
それどころか、心の中まで。
「さて、私の特技を見せてあげたわけだし、今度はお嬢ちゃんの特技を見せてもらおうかしら」
私がぞわぞわしていると、オーナーさんが、ぽんっと肩を叩いてくる。
不思議なことに、視線にさらされていると、ぞわぞわしたのに、肩を叩かれるとそれが解けた。
それで、私は自分のやるべきことを思い出した。
「わかりました」
雇ってもらえることになったとは言っても、私は自分の価値を示さなきゃならない。
それで今後の待遇が変わってくるかも知れないのだ。
雇い主はオーナーさんだ。
だから、オーナーさんが私に価値がないと判断すれば、私……私達が首になる可能性もある。
私は基本的な仕事の内容を聞いて、それを理解する。
いよいよ本番だ。
お客さんから、注文を聞く。
聞いた内容を、厨房に伝える。
料理や飲み物を、お客さんへ持っていく。
簡単に言えば、やることはそれだけだ。
けど、単にそれをおこなうだけでは、お客さんは満足してくれない。
ただのカフェなら、それで充分かも知れないけど、ここはメイドカフェだ。
お客さんは、メイドにご奉仕されることを望んでいる。
それに対して、お客さんはお金を払うのだ。
「それじゃあ、いってきます」
「ええ、いってらっしゃい」
オーナーさんに見送られて、私は初めての接客に向かった。
……
「いらっしゃいませ」
私の強みは、本物のメイドを知っていることだ。
それは、他の人には無い知識だと思う。
だから私は、記憶の中にいるメイド達の動きを思い出す。
私自身はメイドの仕事をしたことはない。
けど、毎日のように見ていた。
それに、礼儀作法の教育は受けていた。
だから、模倣することはできると思う。
事実、私の身体は、記憶の中にあるメイド達の動きを、再現してくれたと思う。
「お待たせしました」
けれど、どうもお客さんの反応が悪い。
そこで私は思い出した。
オーナーさんは言った。
町の人達は『本物のメイド』を知っているわけじゃない。
それなのに、この店に来ている。
それは町の人達が思い浮かべる『理想のメイド』に会いにきているからだ。
それは『偽物のメイド』かも知れないけど『理想のメイド』なのだ。
求められているのは、『本物のメイド』じゃない。
『理想のメイド』だ。
「ごゆっくりしていってください」
だから私は、にっこりと微笑んだ
……
「どうでしたか」
一人目の接客を終えて、私はオーナーさんに感想を求める。
お城で見ていたメイドの模倣はできたと思う。
けど、このお店のお客さんが求めているメイドが体現できたかは分からない。
だから、尋ねた。
「うーん……」
オーナーさんが腕を組んで、考えている。
私を見ていない。
お店のお客さんをみている。
「……」
気付いていた。
私が接客をしたお客さんは反応が鈍かった。
そして、お店の中も静かになっている。
私は失敗したのかも知れない。
私の接客が期待外れだったから、しらけさせてしまったのかも知れない。
心臓の鼓動が激しい。
破裂してしまいそうだ。
私が不安の中で答えを待っていると、ふわっと後ろから何かがぶつかってきた。
いや、ぶつかってきたというより、抱き着いてきた。
「凄かったよ、白雪姫!」
抱き着いてきたのは、モモだった。
ユズも近づいてきて、声をかけてくれる。
「うん、凄かった。お客さんも店員さんも、白雪姫に見惚れていたよ」
そうなのだろうか。
自分では分からない。
私は確認するために、オーナーさんの方を見た。
私の視線に気づいたのだろう。
オーナーさんが、にこっと笑ってきた。
「接客はバッチリだったわよ。お客さんが見惚れていたのも本当。でも……」
前半の言葉を聞いて、ほっとする。
けど、後半の言葉を聞いて、私は再び不安になる。
良いところはあったけど、悪いところもあった。
そういうことだろうか。
だとすれば、結果としては微妙だ。
どれだけ良いところがあったとしても、このお店が必要としているものを満たしていなければ、お客さんは満足しない。
私は続く言葉を待つ。
「でも、メイドじゃなかったかな。他の店員が取り入れることができそうなところも無かったかな」
「そう……ですか」
その言葉に私の頭は真っ白になる。
メイドカフェで、メイドじゃないと言われたのだ。
つまり、お店が必要としているものじゃなかったということだ。
私は期待に応えることができなかった。
そう言われたのだ。
後は必至になって働くしかない。
雇ってはくれると言っているのだ。
少しでもお店が求めるものに近づくために、努力をするしかない。
「あの、頑張って他の店員さんと同じことができるようになりますから、どうか首にしないでください」
私は懇願する。
けど、オーナーさんは首を横に振る。
「ん? それじゃダメよ」
見込みがないということだろうか。
絶望的な心境になる。
「あの、どうか……」
私がさらにお願いしようとすると、オーナーさんは、ぽんっと手を叩く。
「決めた! 白雪姫って言ったっけ? あなたは今日から、うちのお店のお姫様よ!」
そして、そんなことを言ってきた。
その言葉に私は二つの疑問を覚えた。
一つ目は、どうして私の名前を知っているかということだ。
でもそれは、先ほどモモが呼んだからだろう。
問題は二つ目だ。
お姫様って……なに?
「ほら見て、お客さんも他の店員も、みんな見惚れちゃって、声も出せないでいるもの!」
言われて私は改めてお店の中を見る。
すると、みんなが私を見ていることに気づく。
そして、私がみんなを見ると、そっと視線を逸らされた。
「白雪姫が綺麗すぎて、素敵すぎて、みんな気圧されちゃっているのよ。笑ってあげて」
オーナーさんが、見本を見せるように、笑顔を見せてくる。
私はもう一度、お店の中のみんなを見る。
みんな、私をちらちらと見てくるけど、しっかりと視線を合わせてくれない。
けど、これは私が原因らしい。
なら、私の態度しだいで、視線を合わせてくれるということだ。
私はお店の中に足を踏み入れる。
そして、みんなに向けてカーテシーを捧げる。
お城にいるお姫様なら、これでいいのだと思う。
けど、このお店では、これだけではダメなのだ。
私は、私が知る一番の微笑み思い出しながら、自分の表情にそれを浮かべる。
「新人の白雪姫です。これからよろしくお願いします」
その日、私は鳴り響く拍手とともに、このお店の一員として認められた。
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