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高校生活2
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「ところで……」
ふいに、お股がゆるい女が私を睨んできます。
「なんで、あなたがリク君と手を繋いでいるの? 離しなさいよ」
お股がゆるい女は、瞳孔もゆるいのでしょうか。
リクは私の手を包み込むように掴んでいます。
私は掴まれている側です。
つまり、私から手を離すことはできないのです。
それが見えていないのでしょうか。
視力が悪いとしか思えません。
ああ、もしかしたら、瞳孔がゆるいのではなく、脳味噌がゆるいのかも知れません。
それなら納得です。
見えている光景から状況を理解するだけの知能が無いのでしょう。
仕方が無いので、お股も脳味噌も蕩けてどろどろな女に、説明してあげることにします。
「リクが強引に手を握ってきて離さないの。私のことは気にしなくていいから、リクを連れて先に行ったら?」
そうすれば、私はリクから手を離してもらえるし、お股がゆるい女はリクと二人きりで登校することができます。
そんな親切な提案をしてあげたのいうのに、お股がゆるい女の目がつり上がります。
「リク君のお気に入りだからって、いい気にならないでよ! あなた、リク君と付き合っているわけじゃないんだからね!」
「? 私がリクと付き合いたいなんて、思う訳が無いでしょう」
「リク君の方が、あなたと付き合いたいと思っているって言いたいの!?」
なんで、そういう発想が出てくるのでしょう。
理解できません。
脳味噌がゆるい人間の言うことは、理解しようとするだけ無駄なようです。
お股がゆるい女は、むきーっ!と私に因縁をつけてきています。
まるで猿みたいです。
おそらく、知能指数も猿と同じくらいなのでしょう。
「おい、よせ、サオリ」
「リク君、この女の味方をするの!?」
「味方もなにも……」
リクがお股がゆるい女をなだめようとして、私から手を離します。
チャンスです!
「ソラ、行こ!」
「わっ!」
私はソラの手を引いて駆けだそうとします。
しかし、後ろから引っ張られて足が止まってしまいます。
見ると、リクが再び手を握っていました。
「おい、先に行くな」
「ちっ」
「……舌打ちしやがったな」
どうやら、リクを撒くのは失敗してしまったようです。
私は舌打ちし、それを見たリクが叱られた子犬のように、しゅんとします。
そして、それを見たお股がゆるい女が、さらに目をつり上げます。
すごいつり上がり具合です。
このままいけば、目が90度回転して、縦方向になるのではないでしょうか。
「もういいわ。リク君、行こっ!」
お股がゆるい女が、腕を組んだリクを引っ張って、先に行こうとします。
そのまま先に行ってくれたらいいのに、リクに手を握られている私も、引っ張られてしまいます。
どうも、このまま行くしかないようです。
「賑やかで楽しいね」
「……そうね」
ソラの笑顔だけが癒やしでした。
*****
結局、高校の近くに来るまで、四人で横並びになって進みます。
右から、ソラ、私、リク、お股がゆるい女の順番です。
はっきり言って、通行の邪魔です。
時折、すれ違う人が迷惑そうな顔をします。
そのたびに私はリクの手を振り解こうとするのですが、リクは手を離してくれません。
ようやく手を離してくれたのは、高校の門を通過してからでした。
「じゃあ、俺は朝練に行くけど……」
リクが何かを期待するかのように、こちらを見てきます。
そういえば、練習を見に来て欲しいと言っていた気がします。
けど、ソラにいかがわしい光景を見せるわけにはいきません。
「私達は図書室にでも行きましょうか」
私はソラに提案します。
それを聞いて、リクはがっくりとします。
「……じゃあな」
「べーっ!」
とぼとぼと歩くリクと、こちらに向けて舌を出すお股がゆるい女を見送り、私とソラは図書室へ向かいます。
あそこなら安全でしょう。
…………
いえ、やはり油断はできません。
特殊な性癖の人は、見つかりそうで見つからないシチュエーションに興奮すると言います。
そして、甘い香りで引き寄せた虫を食べてしまう食中植物のように、興味を持った人間を引きずり込むのです。
よく考えたら、図書室はその条件を満たす、絶好の場所ではないですか。
失敗しました。
そこまで考えが至りませんでした。
「ソラ、油断しないでね」
「え? う、うん?」
私とソラは、戦場を匍匐前進する兵士のように、慎重に進みました。
ふいに、お股がゆるい女が私を睨んできます。
「なんで、あなたがリク君と手を繋いでいるの? 離しなさいよ」
お股がゆるい女は、瞳孔もゆるいのでしょうか。
リクは私の手を包み込むように掴んでいます。
私は掴まれている側です。
つまり、私から手を離すことはできないのです。
それが見えていないのでしょうか。
視力が悪いとしか思えません。
ああ、もしかしたら、瞳孔がゆるいのではなく、脳味噌がゆるいのかも知れません。
それなら納得です。
見えている光景から状況を理解するだけの知能が無いのでしょう。
仕方が無いので、お股も脳味噌も蕩けてどろどろな女に、説明してあげることにします。
「リクが強引に手を握ってきて離さないの。私のことは気にしなくていいから、リクを連れて先に行ったら?」
そうすれば、私はリクから手を離してもらえるし、お股がゆるい女はリクと二人きりで登校することができます。
そんな親切な提案をしてあげたのいうのに、お股がゆるい女の目がつり上がります。
「リク君のお気に入りだからって、いい気にならないでよ! あなた、リク君と付き合っているわけじゃないんだからね!」
「? 私がリクと付き合いたいなんて、思う訳が無いでしょう」
「リク君の方が、あなたと付き合いたいと思っているって言いたいの!?」
なんで、そういう発想が出てくるのでしょう。
理解できません。
脳味噌がゆるい人間の言うことは、理解しようとするだけ無駄なようです。
お股がゆるい女は、むきーっ!と私に因縁をつけてきています。
まるで猿みたいです。
おそらく、知能指数も猿と同じくらいなのでしょう。
「おい、よせ、サオリ」
「リク君、この女の味方をするの!?」
「味方もなにも……」
リクがお股がゆるい女をなだめようとして、私から手を離します。
チャンスです!
「ソラ、行こ!」
「わっ!」
私はソラの手を引いて駆けだそうとします。
しかし、後ろから引っ張られて足が止まってしまいます。
見ると、リクが再び手を握っていました。
「おい、先に行くな」
「ちっ」
「……舌打ちしやがったな」
どうやら、リクを撒くのは失敗してしまったようです。
私は舌打ちし、それを見たリクが叱られた子犬のように、しゅんとします。
そして、それを見たお股がゆるい女が、さらに目をつり上げます。
すごいつり上がり具合です。
このままいけば、目が90度回転して、縦方向になるのではないでしょうか。
「もういいわ。リク君、行こっ!」
お股がゆるい女が、腕を組んだリクを引っ張って、先に行こうとします。
そのまま先に行ってくれたらいいのに、リクに手を握られている私も、引っ張られてしまいます。
どうも、このまま行くしかないようです。
「賑やかで楽しいね」
「……そうね」
ソラの笑顔だけが癒やしでした。
*****
結局、高校の近くに来るまで、四人で横並びになって進みます。
右から、ソラ、私、リク、お股がゆるい女の順番です。
はっきり言って、通行の邪魔です。
時折、すれ違う人が迷惑そうな顔をします。
そのたびに私はリクの手を振り解こうとするのですが、リクは手を離してくれません。
ようやく手を離してくれたのは、高校の門を通過してからでした。
「じゃあ、俺は朝練に行くけど……」
リクが何かを期待するかのように、こちらを見てきます。
そういえば、練習を見に来て欲しいと言っていた気がします。
けど、ソラにいかがわしい光景を見せるわけにはいきません。
「私達は図書室にでも行きましょうか」
私はソラに提案します。
それを聞いて、リクはがっくりとします。
「……じゃあな」
「べーっ!」
とぼとぼと歩くリクと、こちらに向けて舌を出すお股がゆるい女を見送り、私とソラは図書室へ向かいます。
あそこなら安全でしょう。
…………
いえ、やはり油断はできません。
特殊な性癖の人は、見つかりそうで見つからないシチュエーションに興奮すると言います。
そして、甘い香りで引き寄せた虫を食べてしまう食中植物のように、興味を持った人間を引きずり込むのです。
よく考えたら、図書室はその条件を満たす、絶好の場所ではないですか。
失敗しました。
そこまで考えが至りませんでした。
「ソラ、油断しないでね」
「え? う、うん?」
私とソラは、戦場を匍匐前進する兵士のように、慎重に進みました。
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