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高校生活1
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入学式が終わって、部にも入って、いよいよ高校生活が始まります。
ジリリ……カチッ
目覚まし時計が、その役目を果たすのを遮るかのごとく、素早く止めます。
目覚めはよい方です。
「ふぁ……」
とはいえ、まだ朝早い時間なので眠いです。
授業に間に合うように起きなければならない時間より、一時間以上も早いです。
それには理由があります。
昨日の夜にスマートフォンで話していたときに、ソラが早めに家を出ると言ったのです。
陽が昇っている時間とはいえ油断はできません。
ソラの童貞を狙う魔の手は、いつどこから襲ってくるか分からないのです。
ソラの童貞を護るためには、ソラと一緒に通学する必要があります。
だから、早起きも苦にはなりません。
素早く朝食を摂り、素早く身支度をして、家を出ます。
どれだけ急いでいても、朝食を抜くことはありまえん。
体形を保つためには、規則正しい食生活が大切なのです。
魔女っ子の基本です。
あと、ついでに、モデルの基本でもあります。
夢破れたとはいえ、かつて魔女っ子を目指していた者として、基本は守らなければなりません。
「行ってきます」
玄関を出ると、ちょうど隣の家からソラが出てくるところでした。
「おはよう」
「おはよう、キララ」
「おっす、キララ」
朝の挨拶をすると、返事は二つ返ってきました。
一つは私の護衛対象であるソラ、もう一つは私が早起きすることになった元凶であるリクでした。
リクはサッカー部というヤリサーに入部したらしく、さっそく朝練があるそうです。
ソラはそれに付き合って、こんなに早い時間に家を出るのです。
サブカルチャー研究部に朝練は無いので、本来ソラはこんなに早い時間に家を出る必要はありません。
それなのに、リクに義理立てて一緒に家を出るなんて、ソラは優しいです。
一方のリクは、非童貞だけあって、朝っぱらから変態です。
こんな一般生徒がいない時間帯に高校に行くなんて、きっといかがわしいことをするに違いありません。
高校という普通ではないシチュエーションでいかがわしいことをすることに、興奮する性癖の人間がいると聞いたことがあります。
リクはきっと、それでしょう。
高校へ着いたら、ソラは健全な場所に隔離した方がいいかも知れません。
そうと決まれば、さっそく行動です。
「行きましょう、ソラ」
私はソラの手を取って歩き始めます。
ソラがリクによっていかがわしい所に連れ込まれないようにするためです。
しかし、それを邪魔するように、リクが私の反対側の手を掴んできました。
私ごとソラをいかがわしい所に連れ込むつもりでしょうか。
「離せ、ヤリチン。いかがわしい所になんか付いていかないわよ」
「ばっ! そんなところに行くわけないだろう!」
私の言葉に、リクが動揺します。
けど、手は離してくれません。
「ソラと手を繋ぐなら、俺とも手を繋いだっていいだろ!」
意味が分かりません。
振り解こうと、ぶんぶんと手を振り回しますが、ちっとも振り解けません。
こうなったら、隙を見て撒くしかありません。
「仕方ないわね。早く高校に行くわよ」
私達は歩き始めます。
まだ見慣れない通学路ですが、迷うことはありません。
会話をしながら、高校へ向かいます。
「リクは朝練なんて大変だね」
「おまえら暇だろ。練習、見に来いよ」
「いかがわしい練習なんて見るわけがないでしょう」
「いかがわしくねえ! グラウンドでやるんだぞ! そんなわけがないだろう!」
「アオカンってやつね。聞いたことがあるわ」
「違う!」
「アオカン?」
「ソラは知らなくていい単語よ」
朝だというのに猥談をしてくるなんて、リクには困ったものです。
ソラがいかがわしい知識をつけないように、気を付けなければなりません。
「リク君!」
通学路を半分ほど進んだ頃でしょうか。
女子の声が聞こえてきます。
ソラの童貞を狙う刺客かと思い警戒しますが、その女子はリクの方に向かいました。
私は警戒を解きます。
現れたのはリクの取り巻きの、お股がゆるい女でした。
「サオリ」
「一緒に行こ!」
お股がゆるい女は、リクの腕に自分の腕を絡めます。
薄い胸が当たっているようですが、あれはわざとだと思います。
きっと、人目が無ければ、腕ではなく、お股を絡めていたのでしょう。
さすがは、ヤリチンの取り巻きです。
「サオリ、恥ずかしいから離せ」
「いいじゃない。私もマネージャーとして一緒に朝練に出るんだし」
どうやら、お股がゆるい女は、ヤリサーのマネージャーになったようです。
『そういうプレイ』をする順番のマネージメントでもするのでしょうか。
ジリリ……カチッ
目覚まし時計が、その役目を果たすのを遮るかのごとく、素早く止めます。
目覚めはよい方です。
「ふぁ……」
とはいえ、まだ朝早い時間なので眠いです。
授業に間に合うように起きなければならない時間より、一時間以上も早いです。
それには理由があります。
昨日の夜にスマートフォンで話していたときに、ソラが早めに家を出ると言ったのです。
陽が昇っている時間とはいえ油断はできません。
ソラの童貞を狙う魔の手は、いつどこから襲ってくるか分からないのです。
ソラの童貞を護るためには、ソラと一緒に通学する必要があります。
だから、早起きも苦にはなりません。
素早く朝食を摂り、素早く身支度をして、家を出ます。
どれだけ急いでいても、朝食を抜くことはありまえん。
体形を保つためには、規則正しい食生活が大切なのです。
魔女っ子の基本です。
あと、ついでに、モデルの基本でもあります。
夢破れたとはいえ、かつて魔女っ子を目指していた者として、基本は守らなければなりません。
「行ってきます」
玄関を出ると、ちょうど隣の家からソラが出てくるところでした。
「おはよう」
「おはよう、キララ」
「おっす、キララ」
朝の挨拶をすると、返事は二つ返ってきました。
一つは私の護衛対象であるソラ、もう一つは私が早起きすることになった元凶であるリクでした。
リクはサッカー部というヤリサーに入部したらしく、さっそく朝練があるそうです。
ソラはそれに付き合って、こんなに早い時間に家を出るのです。
サブカルチャー研究部に朝練は無いので、本来ソラはこんなに早い時間に家を出る必要はありません。
それなのに、リクに義理立てて一緒に家を出るなんて、ソラは優しいです。
一方のリクは、非童貞だけあって、朝っぱらから変態です。
こんな一般生徒がいない時間帯に高校に行くなんて、きっといかがわしいことをするに違いありません。
高校という普通ではないシチュエーションでいかがわしいことをすることに、興奮する性癖の人間がいると聞いたことがあります。
リクはきっと、それでしょう。
高校へ着いたら、ソラは健全な場所に隔離した方がいいかも知れません。
そうと決まれば、さっそく行動です。
「行きましょう、ソラ」
私はソラの手を取って歩き始めます。
ソラがリクによっていかがわしい所に連れ込まれないようにするためです。
しかし、それを邪魔するように、リクが私の反対側の手を掴んできました。
私ごとソラをいかがわしい所に連れ込むつもりでしょうか。
「離せ、ヤリチン。いかがわしい所になんか付いていかないわよ」
「ばっ! そんなところに行くわけないだろう!」
私の言葉に、リクが動揺します。
けど、手は離してくれません。
「ソラと手を繋ぐなら、俺とも手を繋いだっていいだろ!」
意味が分かりません。
振り解こうと、ぶんぶんと手を振り回しますが、ちっとも振り解けません。
こうなったら、隙を見て撒くしかありません。
「仕方ないわね。早く高校に行くわよ」
私達は歩き始めます。
まだ見慣れない通学路ですが、迷うことはありません。
会話をしながら、高校へ向かいます。
「リクは朝練なんて大変だね」
「おまえら暇だろ。練習、見に来いよ」
「いかがわしい練習なんて見るわけがないでしょう」
「いかがわしくねえ! グラウンドでやるんだぞ! そんなわけがないだろう!」
「アオカンってやつね。聞いたことがあるわ」
「違う!」
「アオカン?」
「ソラは知らなくていい単語よ」
朝だというのに猥談をしてくるなんて、リクには困ったものです。
ソラがいかがわしい知識をつけないように、気を付けなければなりません。
「リク君!」
通学路を半分ほど進んだ頃でしょうか。
女子の声が聞こえてきます。
ソラの童貞を狙う刺客かと思い警戒しますが、その女子はリクの方に向かいました。
私は警戒を解きます。
現れたのはリクの取り巻きの、お股がゆるい女でした。
「サオリ」
「一緒に行こ!」
お股がゆるい女は、リクの腕に自分の腕を絡めます。
薄い胸が当たっているようですが、あれはわざとだと思います。
きっと、人目が無ければ、腕ではなく、お股を絡めていたのでしょう。
さすがは、ヤリチンの取り巻きです。
「サオリ、恥ずかしいから離せ」
「いいじゃない。私もマネージャーとして一緒に朝練に出るんだし」
どうやら、お股がゆるい女は、ヤリサーのマネージャーになったようです。
『そういうプレイ』をする順番のマネージメントでもするのでしょうか。
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