グラドル戦隊グラドルレンジャーズ

青キング

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第三話 女性たちを返せ! 残虐イケメン俳優

栗山の友人

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 今日の栗山千春は、珍しく機嫌がいい。

 何故かと言えば、年来の友人と半年ぶりに顔を合わせるのだ。

 待ち合わせ場所の駅前広場のベンチに座り、鼻歌に合わせてスニーカーの踵でリズムを踏んでいる。

 上機嫌な栗山のもとへ、清涼感ある水色の袖なしブラウスの女性が小走りで近寄ってくる。

「オヒサー、ちーちゃん」

 女性は掌を振って、栗山に明るく話しかけた。

 栗山の方も目が合うと立ち上がって、掌を向けた。

「おう、久しぶりだぜ未希」

 栗山と親しく呼び交わしている女性は遠野未希といい、栗山の高校からの友人であり、元グラビアアイドル。現在は俳優を仕事にしている。

 未希は掌を向けていた手で、そのまま栗山の身体を指さす。

「服装が相変わらずねぇ」

「このパーカー、カッコいいだろ。パチンコをちょっと我慢して買ったんだぜ」

 黒地に何色かのインクをぶちまけたようなデザインのパーカーを、自慢げに引っ張って見せる。

 未希は申し訳ない顔で微笑んだ。

「ごめん、よくわかんない」

「カッコよくないのか?」

「うーん、カッコよくないことはないけど。あたしの趣味じゃないなって思った」

 苦笑して言う未希に、栗山はニヤニヤして友人の服装を見つめる。

「そりゃそうだな。お前、結構エロい格好してるもんな」

「エロい?」

 栗山からの偽りのなさそうな感想に、まさかの思いで未希は訊き返す。

「ああ、腕が丸だしじゃねえか。男どもの視線集めまくりだろ」

「そんなことないよー。チーちゃんの方こそ、ここで待っててナンパされなかった?」

「あたしがか? されないされない」

 あり得ない、というように首を振った。

 挨拶代わりの四方山話も尽きたところで、栗山は尋ねる。

「でよ、あたしになんか用があるのか?」

「そうそう」

 未希は嬉しそうに頷く。

「ズボラなチーちゃんに相談したいことがあって」

「相談かよ。ズボラなあたしに、まともな答えを意見を求めちゃダメだ」

「ズボラだからこそ、チーちゃんなんだよ」

 期待した顔で笑う。

 栗山は頼られていることに内心くすぐったい気持ちがした。

「立って話すのも疲れるから、店に入ろっか」

 周りを見回して、未希が提案する。

「どこにすんだよ、久しぶりに二人でパチ屋か?」

 自らの希望を孕んで候補を挙げた。

 未希から詰るような視線を返される。

「チーちゃん、人と話をする場としてパチ屋はないでしょ。それにあたしはもう、パチンコやめたし」

 栗山の顔が鳩が豆鉄砲を食ったようになる。

「へ、やめた?」

「やめた。パチンコしてても楽しくないし、お金は減るしで良い事ない」

「金を賭けて勝つか負けるかのスリリングがパチンコの醍醐味だろうが。金が減るくらい覚悟の上だろ」

「うーん、ほんとに今はパチンコを打つ気概なんてない」

「ちぇ、また同士が一人いなくなったぜ。つまんね」

 ふてくされた口調でぶつつく。

「そんな不平言わないで。食事代奢るからさ、相談に乗ってよ」

「奢ってくれんのか、助かる。今手持ちが少ないからな」

 途端に、機嫌を良くする。

 現金な栗山に未希は半笑いだったが、本心は溜息を吐きたかった。



 栗山と未希は近くのハンバーガーショップに入って、店内の隅の向い合いの席を取った。

 未希の相談とは、ドラマで一緒になった神里晋一から二人で飲みに行かないかと誘われ、曖昧な返事でその場を済ましてしまったが、彼に好意があるのかどうか、という結構に切実な内容であった。

「で、お前はその神なんとかに熱を上げてるのか?」

「熱を上げてるわけじゃないけど、どう見られてるのかなって思って」

「そんなん、お遊びだろ」

 栗山は平然と断言した。

「だってイカした顔してんだろ、そいつ。そういう野郎は大抵、プレイボーイだ」

「そうかな。チーちゃん、似た経験があるの?」

「ないね、ハハハハ」

 さらりと答えて、声を立てて笑った。

「イメージだけで決めつけないでよ。全員が全員、女性癖が悪い人ばかりじゃないと思う」

「じゃあなんだ。なんとか里にはあたしのイメージが当てはまらないと?」

「神里よ。なんでさっきは神だけ覚えてて、次は里だけ覚えてるのよ。」

 栗山の間違いを訂正しながら突っ込む。

「イメージが当てはまらない、とあたしは思うな。一緒に仕事した感じ、穏やかな人当たりだったし、少しビビりな部分もあったから。女の気配も見当たらない」

「あれだろ、マザコンだろ」

 変わらず歯に衣着せぬ物言いをする。

 未希は一つ嘆息して、自分の返答に面白がっている栗山に、ピッと人差し指を突きつける。

「真面目に答えて」

「んなこと言われてもよ」

 急に自信ない顔つきになる。

「男女の恋愛感情の機微とか、複雑でわかなんねえだよ」

「わからないからって、テキトーに答えないでよ。少しくらい考えてよ」

「すまん」

 栗山は自分の非を謝った。

「でも、考えてもわかんねぇよ。昔から疎いんだよそういうの」

「そう」

 未希の目に幻滅の色が浮かぶ。

「他の友達じゃ羨むばっかで話にならないから、疎いチーちゃんに相談したのに。しっかりした答えがないなんて」

「ほんとにすまん」

「あたし、誘いを受けようと思ってるんだけど、いいよね?」

「ああ、好きなようにやればいいんじゃねぇか。お前への誘いだからな」

「そうさせてもらう。何か進展あったら報告するよ。じゃ、これからあたしドラマの撮影があるから」

 そう告げると、未希はトレイを持って席を立ちカウンターに返却すると、店の出口で掌を掲げ合って栗山と別れた。
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