妻×恋

セックスレス⑧

「他に？」


雅人の手をとって自分の胸に手を乗せてみた。
だけど雅人の手に力が入ることはなく
だらんとしていることが分かる。
力の入っていない雅人の手が……全てを物語っている。


「そんなに……私は魅力ない？」


「愛莉……そんなことはないけど、疲れて帰って来て朝から……」


「じゃあ、いつ抱いてくれるの？今日仕事休みだよね？お昼？夜？」


こんな風に相手を問い詰めるのはよくないのは
わかっている。
だけど5年、ずっと我慢してきた。
もう、さすがに我慢ができない。


「愛莉……何で今更……別に夫婦はセックスがすべてじゃないだろう。俺たち仲良くやってきたじゃないか」


「すべてじゃないけど……仲良くやってきたけど……私は雅人ともっともっと愛し合いたいの……ダメなの？」


「愛莉……悪いけどその話はまた今度にしよう。もう、仕事だ。休日出勤なんだ。」


「雅人……」


自分の思いをぶつければ
ギスギスした雰囲気になるのは分かっていた。
だから、ずっと我慢してきたけど……
一度たかが外れてしまったら、もう我慢ができない。


ベッドから起き上がってからも
雅人は一度も私を見てくれない。
雅人の背中が……さっきまで触れていた背中が冷たく感じた。


「愛莉……愛莉は魅力的な女性で、俺、愛莉のこと好きだよ。一緒にいて楽しいし。」


「雅人……っ……」


「だけど、ごめん。セックスのことを考えると気が重いんだ。ごめん……」


「そんな……」


部屋に残されて色々考えた。
確かに一つ屋根の下に暮らすには
雅人は楽しい相手だ。雅人だって私のことそう思っている。
だけど愛情がきっと…私にはない。
愛情がない相手とずっと一緒に暮らすのかな。


何だか……すごく悲しい。


セックスレスの夫婦は
どうやって家庭を築いているの？
どうやって……夫婦をやっているの？