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escape!
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しおりを挟む高い。見える位置が変わるだけで世界は別次元だ。先輩のつむじを見ならおれは感動していた。
結局、少し待ってみたけど足は役に立たず、なんと先輩がおぶるなんてことをおっしゃった。もちろん首をブンブン横に振って気持ちだけで!と言い張ってみたもの、横抱きでもいい。なんて凄まじい発言にまけておんぶしてもらった。
先輩背高すぎ、おれの世界が変わったんですけど。まじどこよココ。
そういえば、おれも先輩と写メを撮った。まじ奇跡の2枚目だろう。先輩に「俺らも送る」なんて言われた時は流石に幻聴かと思ったけど。まあでも、二人に対抗してダブルピースしましたさ。先輩にぶらさがったまま。
……なんか対抗しちゃったあたり、やっぱおれ、親友だなぁと実感。類は友を呼ぶ。
「たっかい、素晴らしい。良いなあ先輩はいつもこんな世界を見てるわけですね」
「ハハッ変なやつ」
「え、褒めてるのに……!」
「俺に出会ってすぐ素で話すやつあんまいねぇしな。あんな軽い返事するやつもな」
おんぶで表情分かんないけどいまは爽やかに笑っているのだろう。普通のやつに見えたがそうでもなかったと付け足した。
普通、というのは面白味が無い、という意味になってしまうのだろうか。それとも先輩の世界からするとほとんどの人が普通の人に入るのだろうか。普通を悪い意味では使ってなかったような気がしたので後者だと考える。
「あ、おれの言葉気に障ったら言って下さいね!心と口直結型なんで……」
「なんだ、いまさらだな。面白かったから気に入った、俺は」
ひとつ分かったことがある。獅之宮先輩はストレートな人種だ。おれと同じように思った事は口にするタイプで好き嫌いもはっきり告げるだろう。しかも感情に自信を持って発言するタイプ。
だからこそ、自分の物になれという事に軽いとか重いというジャンル分けはないそうだ。嘘偽りなく欲しいと思ったらしい。淡々と話された事に少し申し訳なさが生まれたが、嬉しいと思ったこの感情は嘘じゃない。
だから先輩の告白におれはすんなり答えたが、明確な理由を聞かれると困る自分がいた。おれは証拠と考察が無ければ確証が得られない。
「じゃあ、俺を恐れての返事か?」
不安そうな言葉じゃなく、純粋に疑問を聞いてくる先輩。おれの心情を整理しようとしてくれている。
「まさか、おんぶまでしてくれる人がおれを殴るとは思いませんよ。それに先輩美形過ぎて恐いとか思ってる暇無かったです」
答えに声を立てて笑うと先輩はおんぶなんて初めてした、と言った。確かに想像出来ない。
「俺はお前が今俺を愛してるなんて思ってねぇことはわかってるんだが、了承された手前気になるんだよな」
「えーと、うーん……答えがもうポロッと出たので嘘偽りなく先輩のものになるのはOKなんですよね」
「ポロッとなぁ……」
声からして苦笑。おれの曖昧な気持ちにもちゃんと聞いてくれるこの人は本当にあの不良と恐れられていた人なのだろうか。
「唯斗耳貸せ」
「え?」
すぐに先輩の口元に耳を近づける。
「俺はお前の笑顔に惚れたから」
真っ当な理由だろ、って。
うわ、これだからイケメンは心臓に悪い。良かった顔見えなくて、いや残念な気がしなくもないけど。いまの真正面から言われたら完璧好きになってたよ。あぶねーあぶねー。
「いきなりの攻撃は卑怯ってもんです」
「そうしてでも欲しいってもんなんだろ」
うーん、連続攻撃。
自然と腕に力がはいる。
「お前はまだ好意くらいだろ俺への気持ちが。さっきのに対しての礼なんかが結構多いハズだ。だから、俺はお前を口説き落とすから、溺れればいい俺に」
な、なんて事を普通に言うのだろうこの人は。告白されたことはあってもこんなふうに自信たっぷりに言ってきた人はいなかった。
「……今、絶対にこっち向くかないでくださいね」
顔真っ赤になっちゃったんですけど。あーおんぶでよかったこれで姫抱きされてたら両手で顔を隠したね。女の子がやってるのは超可愛いけどおれがやっても具合悪い人だ。
「唯斗可愛い」
ナニこれ。
先輩がイケメン過ぎて生きるのがツラい。ああ、でもこうして女の子の気持ちが分かっていくのだから、これはポジティブに捉えよう。
「はい、ここでいったんストップです!おれが顔から火を吹いたら先輩の髪の毛が燃えます」
「ふはっ、それは困る」
笑って先輩の体が少し揺れた。この短時間で随分とおれも先輩に懐いてしまった。話すリズムも雰囲気もなんだか心地がいい。安心感そのものだ。もっと知りたいな、この人のこと。
「ああ、でも、これは知っといてくださいね。獅之宮先輩だから拒まなかったのは確かですから。先輩じゃなきゃ嫌です」
「…………お前も大概卑怯」
「え?何がです?」
「……天然かよ」
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