病弱モブは推しのサポキャラを助ける為に、お金も積むし、ゲームのシナリオも改変します

あやまみりぃ

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帰ってきた

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 ダンジョンから、屋敷へ帰り着いたのは8/25とゲームでいう最終決戦であるスタンピート発生の約1週間前だった。転移陣なんて設置していない新しいダンジョンだからね。帰りにも時間がかかるわけです。
 屋敷に入ると張っていた気が抜けたようで俺は案の定倒れた。
 1ヶ月もダンジョン内に篭り切りは流石に、体にこたえたみたいだった。
 後から聞いた話、俺の物凄い集中力で魔物の対処や指示出しには全く問題は無かったが、日々顔色が悪くなり窶れていくのを周りは気が付いて居たらしい。
 地下階段を発見した時の、パーティメンバー全員による魔物への総攻撃はそんな俺を一刻も早く休ませたい一心だったらしい。
 ……本当凄かったんだよ。
 多分ダンジョンボス戦並みの様々なランクの魔物が200体位出てきたんだけど、10分位で片付けちゃって本当驚愕した。
 皆、地下への階段が中々見つからなかった事への苛立ちで目を血走らせているのかと思っていたけど、違かったんだねぇ。
 ダンジョン探索にも無理矢理巻き込んだのに、使用人達から愛されているみたい?
 俺はそのまま夜に高熱を出し3日間意識混濁状態、4日目には目覚めたものの熱は続き、8/29やっと熱が下がってきた。
 熱は下がったというものの、高熱が下がっただけで依然38.6度あり、体力は戻っておらず今もベッドに入りながら、俺が居なかった時や寝込んでいた時の報告などを聞いている。
 それによると、結局俺達がダンジョンに入ってすぐ、ダンジョン魔力石はしばらく赤くなってしまっていたらしい。
 ただ、その後2日後には濃い橙色に戻っていたから、スタンピートは発生しないだろうと見込んではいるが、一応現在も警戒はしているようだ。
 確かに俺的にもゲームでのスタンピートが発生した8/31周辺は警戒した方が良いと思う。
 まだ熱がある中、何故報告を聞いているかと言うと、俺の予知能力があるからだ。
 現在ベッドサイドには、エドガーと父親が居て俺の言葉を待っている。
 エドガーと接するのはダンジョン生活で大分慣れたものの、父親は久しぶり過ぎて最初喋り辛かった。
 濃い茶髪に緑目で無骨な感じのする容姿の父親はエドガーにそっくりで、口を開かないと怒っているように見える。
 そんな父親だが、
「リューイすまない。疲れたか?」
 喋り方は優しげなのだ。
 あまりに長い間、直に接して来ておらず過去の記憶も曖昧だった為、その怒っているような表情から、父親という人物像を見誤っていたかもしれない。
「いいえ、父上まだ大丈夫です。一応8/31前後迄は警戒を緩めないでくれますか?」
「……ああ。分かった」
 俺の言葉を全面的に信じちゃうのもすごいけど、なんだろうか?
 8/31というワードに父親が引っかかったようだ。
「何か日付に問題が?」
 父親は何か迷っているようだ。
「親父。リューイにも言っておくべきだ」
 エドガーが父親の背中を押すような発言をする。
「いや……。そうだな……。前に勇者からガーデンパーティの招待状が来ていた事はサスケを通じて知っていると思うが、当然国の一大事に行けるわけがないと断った。
 そこから音沙汰が無かったのだが……8/31婚約パーティを行うから必ず出席するようにお前が倒れた日に招待状と共に再び手紙が届いた。
 ……その、勇者であるリョウコの婚約相手はシルバリウスだというのだ」
 父親は一度こちらを伺い言葉を続ける。
「こちらとしても速攻で、国王に連絡してローワン王国にも抗議と確認を入れたが、ローワン王国の国王も知らない事だという。
 ……それで、エドガーから聞いたのだが、シルバリウスがしていた婚約指輪がかえってきたと聞いた。
 本来なら、婚約破棄については双方合意の元、手続きを踏まねばならないが、もしお前が希望すればこちらで整えておくよ」
 どうやら、父親の心はもうシルバリウスとの婚約破棄へ傾いているらしい。
 シルバリウスの事は人に言っておらず、エドガーへも口止めはしなかったからな……。
 まぁ、普通に考えたら手紙もなし、リューイの前どころかダンジョンにも現れず、隣国で勇者との噂情報だけあり、やっとシルバリウスのまともそうな情報が入ってきたと思ったら、別相手との婚約パーティ。
 ……確かに見限ってもおかしくないだろう。
「陛下はどうお考えで?」
「……陛下はシルバリウス程の戦力をみすみす手放す事は避けたいという事で、婚約続行を推奨しているが、今回のお前の働きを部分的に伝えてある。
 勇者パーティ無しで巨大なダンジョンの停滞期へ持っていったのは偉大な功績だ。
 だから、お前を手放す位だったらシルバリウスを諦めるそうで、お前の決定を優先してくれる事になった。
 だから、お前が決めて良いんだ。
 ……今まで色々我慢させて悪かった。シルバリウス関連の事はお前が決めて良い。国王の意向がどうであれ、私はお前の気持ちを優先して決めるよ」
 こんなに喋る父親が新鮮で、意外にも俺のことを思ってくれていて、なんだか心が暖かい。
「……ありがとう。……ヴィーの事は本人から聞きたいと思う」
 俺は髪を耳にかけピアスに触れる。
 そこにはまだシルバリウスの色のピアスがあるのだ。
 父親もエドガーも驚いたようだが、この国では指輪なんかより、ピアスの方が大事にされている。
 だから、ピアスが返送されていないという事は何らかの理由で一緒に居られないなどを指していたりもするのだ。
 まだ、シルバリウスを諦めないという意思が伝わったのだろう。
「……分かった。とりあえず、8/31の婚約パーティについては欠席連絡を入れているが、抗議文も送っておこう。ひとまずは、ゆっくり休んで体調を整えるように。
 何か欲しいものはあるか?」
「ないかな。……あ、1つあった」
 欲しい物を言うと、父親は怪訝な顔をしながらもすぐに用意すると言って、エドガーと共に部屋を出て行った。
 体調が良くなったらシルバリウスに会いに行こうと決めて、俺は再び眠りについた。
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