121 / 145
後日談 サミュエル編 奥手な2人の誘惑大作戦!!
4 遠距離恋愛(4)
しおりを挟む「休みってないのかしら?」
私は休憩の合間に、ソファーに沈み込んだ。
シャルとルナは5日に1日交代でお休みを取っているそうだが、私はこの数か月両手で数えられるほどしかお休みが貰えていない。
「申し訳ございません。王女殿下の演奏会が終わりましたらお休みを取ることができますので!!」
シャルが手帳を見ながらあやまってくれた。
「ごめんなさい。シャルがあやまる必要はないわ」
「いえいえ、王女殿下こそあやまらないで下さい」
今日はルナはお休みでシャルが1人で私の予定を管理してくれていた。
だから、いつもより少しだけ休憩が長かった。
ルナがいると、休憩は時間通りだ。
「愚痴っただけよ」
「ふふふ。愚痴で解消するならお聞きいたしますよ」
「あ~~シャルは優しいわ……」
優しいと言って私はサミュエル先生の笑顔を思い浮かべてしまった。
(ああ、サミュエル先生のあの優しい笑顔がみたいわ……)
「はぁ~~」と大きな溜息をついた途端に、ノックが聞こえた。
入室を許可すると実父が部屋に入ってきた。
「ベル~~~~!! コンラッド君からの報告書にサミュエル君からの手紙が入っていたよ」
「え?!」
実父の言葉で、私の疲れは吹き飛んでしまった。
「見せて下さい!!」
「もちろんだよ」
私は実父の手から奪うようにサミュエル先生の手紙を受け取った。
お待ちきれない想いで封を切ると、手紙を読んだ。
私は嬉しくて泣きそうになってしまった。
『ベルナデッド様
一日も早くあなたの元へ戻ります。
愛しています。
サミュエル』
内容は短いし、いつも美しいサミュエル先生の字がどこか崩れていた。
きっと、ずっと書類仕事をして全ての仕事が終わった後に書いてくれたのだろう。
しかも、『愛している』の愛の字にインクだまりが出来ていた。
きっとすごく悩んでくれたのだろう。
とても短い手紙だったが、私には充分すぎるほどにサミュエル先生の想いが伝わってきた。
(私も愛しています)
「あ、そうそう。サミュエル君たちね~~すっごく頑張ってるみたいだよ?」
「え?」
私は手紙を持ったまま実父を見た。
「もしかしたら、1年はかからないかもしれないよ?」
「そうなのですか?!」
思いがけない報告に私は嬉しくて弾んだ声を上げた。
当初の予定では1年以上はかかると言われていたのだ。
だから早くサミュエル先生に会えると思うとじっとしていられなかった。
私は手紙を抱きしめると、ソファーから立ち上がった。
「どこに行くんだい?」
「手紙を机にしまってきます。
父上!! ありがとうございました!!」
「いえいえ~~~」
私は軽い足取りで、自室に戻ると手紙を引き出しにしまって空を見上げた。
(弱音を吐いているヒマはないわね。私もやらなきゃ)
そうして私はまた政務に励んだのだった。
24
あなたにおすすめの小説
3回目の人生は、悪役令嬢を辞めて引きこもります~一歩も出ずに国を救ったら、なぜか「聖女」として崇められ最強の男たちが部屋を包囲してくる件~
放浪人
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、1度目は悪役令嬢として断罪され処刑、2度目は改心して聖女となり国に尽くしたが過労死……という悲惨な最期を遂げた。 記憶を持ったまま3度目の人生が始まった瞬間、彼女は固く決意する。 「もう絶対に働きません! 今世は部屋から一歩も出ず、睡眠と趣味に命をかけます!」
最強の拒絶結界『絶対領域』で部屋に籠城し、婚約破棄イベントも夜会も全て無視して惰眠を貪ろうとするエリザベート。 しかし、彼女の「働きたくない」一心からの行動――適当な農業アドバイスや、安眠妨害への容赦ない迎撃――が、周囲には「国を憂う深慮遠謀」「慈愛に満ちた奇跡」として超好意的に解釈されてしまう!?
ヤンデレ化した元婚約者の王太子、物理で愛を語る脳筋騎士団長、効率厨の隣国王子、さらには古代の引きこもり少年までをも巻き込み、事態は国家規模の大騒動へ。 部屋ごと空を飛んで戦場を浄化し、パジャマ姿で古代兵器を操り、地下牢をスイートルームに変えながら、エリザベートは究極の安眠を手に入れることができるのか? 塩対応すればするほど愛され、逃げれば逃げるほど伝説になる、最強引きこもり令嬢の勘違いドタバタ溺愛ファンタジー、ここに完結!
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜
禅
恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。
だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。
自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。
しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で……
※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています
※完結まで毎日投稿します
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる