我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番

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47 未来の可能性(2)

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クリスのところ戻ると、クリスの周りには人だかりが出来ていた。

(まぁ、クリスってかっこいいもんね~。)

私が近づくと、クリスが集まっている人たちに別れを告げて、こちらに歩いてきてくれた。

「クリス様、遅くなってごめんなさい。」
「大丈夫。そんなに待ってないよ。行こうか。」
「はい。」

馬車に乗ると、クリスが隣に座ってきた。
クリスの隣に座るのも久しぶりだった。
以前はよく隣に座って話をしていたが忙しくなってからは2人で話す余裕もなかった。

クリスの耳には相変わらず、私のプレゼントしたピアスが輝いていた。
学院にいる間は、クリスはずっとそのピアスを大切そうにつけていたので、私とクリスの中は学院内では公認だった。
プレゼントをしたのが随分前のことなので、思わず懐かしくなった。


「ベルの隣に座るのもずいぶん久しぶりだな~。」

クリスの言葉に思わず笑ってしまった。

「私も同じことを考えていました。」
「はは。そうか・・。」

2人の間に沈黙が落ちた。
久しぶりに会ったので、お互いどうしたらいいのかわからなかった。

「ねぇ、ベル。」

沈黙を破り、クリスがしんみりと話しかけてきた。

「なんですか?」
「卒業したら、すぐに結婚しようか。」
「え?」

クリスの言葉に私は動揺してしまった。

「どうしたのですか?突然。」

クリスが小さく笑った。

「突然じゃないよ。
もう何年も前から学院を卒業したらすぐにでも、ベルと結婚したいと思ってた。」

・・・・・。

元々、私はクリスの婚約者だ。
クリスと結婚することは決まっていた。
それでも、もう少し後だと思っていたから驚いた。

呆然としていると、クリスに腰を引き寄せられて、頭を抱え込むように抱きしめられた。

「これ以上。ベルをエリックのいる公爵家に置いてはおけない。
それに学院を卒業したら、あの人も動き出すかもしれない。
ねぇ。ベル。すぐにでも結婚しよう。」

そして、抱え込んだ頭に顔をうずめて呟いた。

「本当はこのまま王宮に連れて帰りたいくらいだ。」
「クリス様・・。」

この国では16歳になったら結婚できる。
それでも一般的には19歳くらいから結婚する人が多いようだ。
だが王族は早くから結婚して子供を作るので、16歳で結婚するのは普通だ。

それに王族の仕事は本当に多い。
本来なら、クリスの婚約者である私が学院の手伝いをする余裕はないのだ。

「私の側でこれからもこの国を良い国にしていかないか?」

クリスの真剣な瞳に吸い込まれそうになった。

「ベル。本気で考えてほしい。」
「わかりました。」

クリスがそっと私の手に口づけをした。

(うう~。昔の可愛いクリスならともかく、今のクリスにこんなことされたら、心臓が壊れるよ~~~!!)

私はどうしたらいいかわからず視線をさまよわせた。
ふと馬車から外を見ると、家の玄関に見慣れない馬車がとまっていた。

(お客様かしら?)

すると、馬車が止まった。

「ベル。ではまた明日。」
「ええ。」

降りようとすると、クリスに真っすぐな視線を向けられた。
本当に綺麗な顔で、心臓が痛いくらいに高鳴った。

「ねぇ。このまま私の部屋に来る?」

そう言ってクリスは私の手を握り、手をクリスの口元に持って言った。

(色気!!色気!!クリス・・カッコ良すぎる・・。)

私は動揺して手をひっこめそうになったがクリスは手を離してくれないばかりか、さらに私の腰を抱き寄せた。

「クリス様・・冗談ですよね?」
「冗談じゃないって言ったら?」

クリスの瞳に私の不安そうな表情が写っていた。

「・・・・・困ります。」

私の返事を聞いたクリスがくすくすと笑い出した。

「ごめん。そうか・・困るのか・・。」
「笑わないで下さい。」
「ごめんね。じゃあ、また学院で!!」

私が馬車を降りると、クリスは小さな声で呟いた。

「『イヤ』だと、拒否されなくてよかった。」





家に帰ると、執事に居間に案内された。
扉をあけると、実父がいた。

「あ~ベル~~。会いたかった。
綺麗になったね~~。
ああ。誰にもお嫁に出したくない~~~!!」

そう言って実父に抱きしめられた。

「こんにちは。ふふふ。父上ったら。」

私の声に実父は嬉しそうに顔を上げた。

「今日はここに滞在できるんだ。
夕食を一緒にどうだい?」
「ええ。もちろん。
楽しみですわ。」
「お土産もあるからね!!」
「ふふふ。ありがとうございます。」

それから夕食までを一緒に過ごした。
私は、この8年の間、実父とも父ともかなり良好な人間関係を築いていた。
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