最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘

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ゲーム開始時編

ゲームとの出会い5

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「行ってきます」

「沢山持って帰ってきてくださいね」

ミミちゃんに送り出されて向かった場所は草原、この前知り合ったミカさんらも一緒だ。本日の目的は薬草である。ボスなど強敵との連戦を繰り返すプレイヤーのせいでポーションなどが枯渇して大幅に値上がりしていた。その値段は5倍近くまでになっていた。とにかく質よりも量が必要なのでリリアーヌさんら生産者は値段の安定化を優先し多くのプレイヤーに呼びかけて薬草採集の人手を集めることに力を入れた

僕はというと誰も持っていない運系スキル持ちとしてパーティに入り貢献することになった。しかしどんな大規模パーティでもイベント以外では60人までという制限がかかっているので一つのパーティにしか入れない。

なので誰よりも沢山持って帰ることが必要だった。

「こっちは異常なしだ」

ミカさんは常に僕の傍にいる。彼女らも連続の戦闘で同じようにポーションの数がギリギリなので人手を出していた。最初の町近くの草原とはいえモンスターも当然出る。戦闘系なら大して問題ではないけど生産系だと最弱のラビットにも苦戦してしまう。なので護衛料として多めにポーションの制作をしてもらうそうだ。

ひたすら薬草を取る。

「ふぅ」

「疲れたか」

「まだまだ楽勝です」

「そうなのか。おなじPTがもうすでに満杯で帰るのが多いのにアイテム枠が大きいんだな」

ミカさんがPTリーダーでアイテム枠が満杯で抜ける人と作業が進みにくい人を入れ替えたりなどの仕事をしている。他の人は見てないけど。

「あたしらの仲間も採集持ちも多いけどここまで差があるなんてな」

β版とは大きく変わっていることに文句があるんだろうな。初心者の僕には分からないけど。

「退屈ではありませんか」

「カオルを取られると攻略に大きく響く、これぐらいの手間は予想できる範囲さ」

ゲーム歴が長いので必要な苦労は良く知っているようだ。

「やっぱり作業の進行が遅れているのが出始めたようだぜ。こっちに入れるぞ」

簡単な採集とはいえスキルがないと出来ないし持っていても上げるのに時間がかかる。僕のようなのを除いてさしてスキルレベルが高いとはいえないのが現実だった。

「(カオルがいるといないとじゃ効率が違いすぎる、今後を考えると押さえておかないとまずいぜ)」

ミカは作業の進行の差に苦悩していた。カオルと最初に組んだ連中は満杯で帰りそれを倉庫に預けてもう一度採集を行っていた、2往復したのも多い。ある程度育った別組のうちのメンバーでもまだ容量の4割ほどだ。今後ゲームユーザーは多く入る予定でありそれに伴いギルドメンバーの増設も視野に入れているのだがカオルほど貢献できるのは一人も見当たらなかった。

β版でゴミスキル無用スキルと評価されているドロップ系や運系スキルがここまで明暗を分けるとは考えていなかった。

「(姉御、そっちのパーティは?)」

「(こっちはもう終わってるも同然だ。カオルのおかげで段違いに手に入るからな。商機になると往復で来てるのも多いがなるべく差をつけすぎないようにしないとな)」

「(ってことはカオル以外では仕事は終わっていると)」

「(そうだな。この前のマラソンといい今回の仕事といい見積もりが甘かったぜ)」

何しろ質も量も遥かに違うのだ。カオルの有用性は今回を含めてすぐに広がるだろう。そうなると取り合いが間違いなくおきる。ミカは仲間に入ってもらいたい気持ちが大きくなる一方だった。

「(カオルは今のところどのギルドにも入る気を持っていない。しかし何とか連れ出せる機会を多くしたいぜ)」

このゲームのドロップ率が渋いという認識はユーザー全てが思っていることだ。だけども運系スキルはゲーム開始時にしか習得できないという大きな落とし穴がある。さらにランクを上げないと効果は微々たる物なのでやはり手を出す人もいないのだ。

採集といった基本ですらこの状態なのでカオルがいれば効率は圧倒的に良くなるしマラソンだってやりやすい、さらに馬鹿げた性能のモンスターをテイムしているので戦力として大きく貢献できる。

さらにアイテムを大量に入れられるインベントリも持っているので臨時の倉庫にもなりえるのだ。

ミカはカオルを仲間に誘う手段を考えながら護衛を続けた。

「採集が終わりました」

「お、そうか」

僕はかなりの長時間薬草を集め続けた。知らない間にPTの人は入れ替わり立ち代り出入りしていたようだ。

「長い時間拘束したようですみません」

「気にすんな」

ミカさんらも予想より早く大量に薬草が手に入ったので利益は出してると軽く笑った。

「姉御、仲間全員持てるだけ取りやした」

どうやら僕たちが最後らしい。

「それじゃあ戻りましょう」

「そうだな。早くメンバーにポーション作ってもらわねぇと先に進めねぇし」

そうして今日は町に戻りミミちゃんに薬草を渡す。

「これからどうしましょうか」

「そうだなぁ」

薬草は渡したがポーションにするには少し時間がかかる。

「ところでよ、リリアーヌから話は聞いてるが布地や毛皮や青銅はまだ持ってるか?」

「ありますけど」

結構作ったので余っていた。

「少しばかり分けてくれねぇか。あたしの知り合いに服職人やアクセサリー屋がいるんだが良い素材が無くて悩んでるのがいるんだ」

「いいですよ」

ミカさんに布地のロールと大きくした毛皮と青銅、おまけに宝石の原石も渡す。

「こんなにいいのか?」

「はい」

「ありがてぇ、今所持金が無いから後で持ってくるわ」

そうして町でログアウトした。

翌日。

『ポーション大量にあるよ~、買った買った~』

ポーション露店売りが大声で客を呼ぶ光景を見る。どうやら職人ががんばったようだ。

さて、どうしようかと悩むとミカさんからフレンドチャットがきた。

『カオル、いるか』

「いますよ」

『商談がある、指定の場所に来てくれ』

そうして指定の場所まで行くことにした。

「もう来てくれたのか。早いな」

「ミカさん、この建物は」

「あたしらのパーティの溜まり場兼拠点だな、β版からの参加者はある程度の所持金を引き継げるんで将来ギルドを立ち上げることを想定して購入したのさ」

今のところはただの建物であり中身や施設はまだ手を入れてないらしい。

「ところでお話とは」

「この前売ってもらった布地や青銅などのことさ」

あれをもっと用意できるのかと聞いてきた。

「少し時間をいただければ」

「出来る限り早めにしてほしい」

「なぜですか」

「知り合いに流したんだが反応が凄くてな。また出来上がった品がかなり良くてな。もっと作りたいから材料が欲しいといってきたんだ」

なるほど。

「あたしらは戦闘をメインにしてるから素材を手に入れてもレア以外は大抵売っちまう。でも売るなら長く付き合える相手を選ぶのが当然だろ」

そうだよね。

「用意する代わりに頼みたいことがあるのですが」

「なんだい?」

「僕用の装備を作ってもらいたいんです」

何しろ最初のままの装備を使い続けていたのだ、お金もあるし良い装備が欲しくなったのだ。

「重い鎧とか着れないので布製の防具とアクセサリーが欲しいんです」

「そういや最初にもらう装備のままだったんだな。任せとけ、知り合いに専門の職人がいる」

品を用意出来てから装備作成に入るということなので大急ぎで用意することにした。ただ量がそれぞれ3000個なので数日時間がかかることになった。

「用意してきました」

「予想していたよりも早いなぁ。半月以上はかかると思ってたんだが」

「ここで渡せばいいんですか」

「あたしじゃ持ちきれないよ、あわせる職人に渡してくれ」

そうして少し離れた家に向かう。

「オッス」

『ミカ!やっと来たのね!』

出迎えたのは紫色の髪とピンク色の髪の女性二人だった。外見は・・・凄くスタイルがよかった。アイシャとメリルという名前だ。

「ここにきたって言うのは布地と青銅の話なのよね」

早く答えを言えとせっつく

「前にも話したが現時点であれの製造を出来る職人はいねぇな」

「どういうことよ?現物があるのに製造できないなんて」

「だからしつこく説明しただろうが、作ったのはβプレイヤーじゃないって」

「私たちβの頃のプレイヤーでもあれと同じものを作れるのはもっと先の町に進んでスキルを上げてからよ。まさか新規プレイヤーが制作したの?」

「そのまさかだ」

ええっ!と。

「紹介するぜ、こいつはカオル、新規でしかもテイマーだ。最高ランク運系スキル持ちでもある」

よろしくと。

「理解がしがたいってのは認めるところだが正式版では内容が違うってことは良くあることだろう。現に誰も考えられない結果がもう出てるんだしな」

「たしかにね。ゴミスキルと評価されてたスキルが正式版では大きく修正が入ったのは事実よ。現にβプレイヤーの多くがスキルを組み替えてるし」

「そうねぇ。私たちもスキルの選択を悩まされたし」

二人はβの頃から続けているそうだ。

「修正箇所は多いが運系は馬鹿げたほどに修正が入ってるぜ。採集からドロップまで効率が段違いだ、生産でも完成品に圧倒的に差が出るからな」

「まったくよね」「よね~」

僕以外納得して話が進められる。

「あの~」

「おっとすまねえl」

ようやく本題に入る。

「欲しいって言ってた布地や大きな毛皮、青銅もカオルが全て用意してくれた」

二人に渡せと。トレードで渡す。

「こんなに!」「すご~い!」

二人ともとても驚いていた。すぐさま二人の目つきが変わる。

『PTに入って』

強引だった。

「アハハハ!これまで手の届かなかった性能の装備が次々とできるわ!」

「本当よね~!」

二人は一心不乱に装備を作っていた。

「あの~」

「しばらくほうっておきな。生粋の職人だしな」

2時間も待つことになる。

『ふぅ~』

どうやら興奮が収まったのか手を休める。

「感想はどうだ」

「いや~、材料もいいけど運系スキルがここまで影響が大きいとは」「ほんとよね~、出来が違いすぎるわ~」

「・・・」

「あっ、ごめん。まだ代金も払ってないのに素材つかっちゃって」

「それはいいのですけど」

僕の装備を作って欲しいとお願いする。

「代金とスキルの効果を考えると簡単すぎるわね」「わね~」

フレンド登録をしておいてとお願いされる。もちろん登録しておく。

「他に材料とか持ってないかしら」

「おいおい、カオルはまだ最初の場所しか行ってないぜ。その話は次の町までのルートが開けてからだ」

「できれば入手方法を教えて欲しいんだけど」

「もっと無理な話だ。あたしも確認したがそれはカオルの専売特許だ。渡せるわけないだろ」

その話はもうするなと釘を刺してくれる。

「材料はどこにも出回ってないから高めだな。今後とも付き合いたいならプレイヤーとしてまっとうな取引を継続しな」

ミカさんはそれで話を終える。

「分かったわ」

代金は100万G。もう価値が分からなくなり始めた。

『今後とも付き合いをお願いします』

装備の制作を依頼して家を出る。リリアーヌさんのところにも取引があるので次の予定は今のところ入れないがなるだけ早く持ってきて欲しいそうだ。

「結構強引でしたね」

「あの二人はβの頃からの知り合いで服飾人としてアクセサリー職人として人気だったんだ」

多少仕事に熱中しすぎることはあるが良い人だと。

「すまないな次々と仕事を押し付けて」

「かまいませんよ。ゲームの楽しさも分かってきましたしね」

現実では出来ないことがここでは出来るしモンスターも可愛いし、やり続けるごとに新しい発見と楽しみがある。そうして町に戻りログアウトした。
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