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仲間達の休日の風景
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『休日』
それは誰にでもある平和な一日、疲れた体と心を癒す必要な時間、国王から農夫までそれを与えれている。
ピュアブリングのパーティは各自休暇を満喫する。幸いにしてリーダーは大金持ちだし必要であるならそれを惜しまず投資する性格だ。渡された金貨銀貨が入った袋を見て目を輝かせる仲間達。
ここまで激しい戦いが続いていたから自分達の中に発散したい欲望が溜まっていた仲間達は各自体の泥を綺麗に流すため外に繰り出す。
「こっちには分厚いステーキと上等な酒を」「魚のバターソース姿焼きとたっぷり蜂蜜酒を持ってきてください」
ミーアとエメリアは上級に入る料理店に繰り出していた、今までコテージでピュアブリングの料理を食べていた。それは結構上等であったがやはりパーティであるため共通の物資から出されていた。誰かを特別扱いしてはパーティの秩序が成り立たないからだ。なのでよほど好みが合わない場合を除いて皆同じ食事になる。
だが、自由行動中であるなら話は別、与えられた金の範囲内ならどんな注文もできるのだ。
ガツガツ ムシャムシャ ゴクゴク
ミーアとエメリアは上流階級の出身なので食事にはうるさい。里を飛び出してからというもの現実を思い知りあまり良くない食事を選ばざるを得なかった。ピュアブリングは《料理》スキルを高ランクで持っているのでレパートリーは広いし味も保証される。食材棚にはパンやシチューやチーズやお酒なんかも定期的に補充されるため不自由はない。でも、時には制限なく飲み食いしたかったのだ。
「お肉追加。なるだけ肉厚なのを」「魚介類の煮込みをお願いします」
さらに店員に注文を出しつつお酒をゴクゴク飲む。
「ふぅーっ。いやぁ、久しぶりに満足できた」「こんな料理の量は家族の前では食べられませんからね」
意外とこの二人は大食いであり里では出される料理の量に不満を覚えていた。このぐらいで普通だろう、それじゃ私には足りない。でも、家族のいる中で自分だけが。その空腹感は常にあった。ピュアブリングは私達仲間に不自由させないぐらいに食べさせてくれる。やっぱりリーダー次第で自分がどの階層にいるのかが良く分かる。私達だけだったらここまで豪勢な食事にはありつけないから。
「やっぱ余裕のあるパーティは懐が違うし待遇は明確に差がある、優秀だとなお良いわけだね」「そうですね。多分他とパーティを組んでいたらプレートのランクは上がらなかったでしょうし貧相な生活でしょうから」
注文した料理を待ちつつ冒険者プレートを手の中で遊ばせる。緑色に強く輝くそれが自分達の実力の証明だからだ。彼とならまだまだ先に進めるだろう。辿り着く先は在野最高位の銀色級か、はたまた国家の重要案件を任せられる金色級か、そこまで行けば氏族部族内の地位は高くなり家族でさえも口出しできない。
二人の願いは『飾り物として都合よく使われたくない、自分のことは自分で決めることが出来る本物であることの証明』それが唯一無二の願い。里の外に出てきて自分達がいかに狭い世界で甘やかされて育ったかピュアブリングが教えてくれたし今正式にパーティを組んでいる。夢は膨らむばかりだ。
「お待たせしました」
「「いただきまーす」」
追加の料理が来た。腹一杯食べても金はかなり余ることだろう。良い服屋に行き下着やら外出着やら物色するか。各自洗濯をしてるがさすがに男女混合のコテージなのはどうしようもない。基本的に2階で干しっぱなしだがプライバシーがあるし下着などをそこらに放り投げてては問題だ。ベッドルームは個室だが狭いので物を置くスペースが限られる。
贅沢を言えば切りがないしあのコテージですら破格な金額だろう。それを共同で使わせてくれてるのだから文句は言えない。下手な宿屋よりも設備が充実しているからだ。あのフカフカのベッドと真新しいシーツの匂いを一度覚えると宿屋には足を運びたくなくなる。
ミーアとエメリアはとりあえず注文した食事を平らげることにした。
「これも中身がいいしこちらも興味深い。さて、山ほど選べるがすべては覚えられんな」「こっちの巻物と呪文書ありったけ買ってもいいですけど出所が分からない物もありますね」
バーゼルとシェリルが来ていたのは戦闘指南書や魔術書や巻物を売っている書店兼魔術品販売店だ。自由時間を与えられた二人は今後の戦いに備えてより高度な戦闘技術や知識を求めていた。役割がパーティ内でほぼ確立しているが手札は多いに越したことはない。
ピュアブリングは全員を纏められる上に戦達者で出来ないことはほとんどないという強さを有している。竜人は身体能力が格段に高いため前列を担うし戦達者も数多い、上位者を敬う傾向を非常に強く有している。彼の的確な指示といざという時に頼れる強さ、それを確認済みだからこそ自分らも高く険しい山を諦めずに登れるのだ。
前衛を務めるバーゼルは騎馬にも乗れるため本来体格が大きい竜人には難しい機動力が確保できる。なら、もっと前線で戦うためには手駒が欲しい。《竜牙兵》を覚えればより前衛で戦えるして手数が増える。何より『補充可能な戦力』その意味が大きい。触媒もピュアブリングに注文すればかなりの量を出してもらえるからだ。
しかるべき実力者が生み出せば召喚生物もそれ相当に強くなれるメリットがある。今までは必要性を感じなかったが仲間のラグリンネやエトナの召喚生物の戦闘力を見て覚えて損はないと判断した。
シェリルもまた魔術師で知識の探求が本質だ。今までは土属性魔術のみでやってきたが今後戦いが激化すれば属性が通りづらい相手は必ず出てくる。属性の多さがすべてはないが手札の多さは間違いなくメリットになるし触媒もピュアブリングに事前に頼んでおけば戦闘中も補充可能だ。
それだけ《収納》をデメリット無しに使える者が重用され引く手あまたなのか実感できる。それを覚えられる巻物は市場にまず出回らないからだ。覚えられるのは限られたごく一部だけ。生まれながらに有している例はほぼ有り得ないと噂が立つほどである。
「店員殿、会計をお願いしたい」「とりあえず、今現実的に必要な分ですけど」
バーゼルとシェリルは山積みの本や巻物などを店員の前に持ってきた。
「あんたら、金はともかく覚えて使えるのか?」
店員は疑惑の目を向ける。金だけだったらどうにかなるかもしれないが貴重な品々を販売するわけだから実力が足りなければ無駄にリスクばかりが増える。下手に売って馬鹿な問題が出ないように警戒するのは当然だ。我らは冒険者プレートを店員の前に出す。
「緑光玉色のプレート、すげぇ、本物なんだなあんたら。そういうお客様なら大歓迎だ」
早速会計を行う店員。馬鹿げた考えで強いスキルを得ようとする輩が後を絶たないため店員らも慎重に販売相手を選んでいるのだろうな。そのリスクを説明してもなお得ようとする馬鹿が世の中には無数にいる。その資格有りと証明できなければ追い返されるだけだ。
「あんたたちが大成して活躍することを願うよ。モンスターは脅威だからな」
「うむ、かたじけない」「精進いたします」
必要なものはあらかた買ったのでコテージに戻り読破し覚える。こういう地道さこそ冒険者という仕事に必要不可欠なのだ。ただ腕が立つだけではそこらの破落戸と変わりがない。明確な線引きがされているからこそ秩序がもたらされるのだ。
今現在緑光玉級に仲間全員が進んでいた。先が見えない暗闇をピュアブリングという明かりを頼りに確実に前に進んでいる。さらに進めば部族氏族を纏める役割が待っているだろうし、もしかしたら族長を任されるやもしれない。シェリルもまた一族の都合で無理矢理パ-ティを組まされたことについては『自分が弱いから利用される、それも無理矢理に』自分の今後について真剣に考えていた。
「我らがこのまま順調に進めば進むほど送り出した部族氏族は焦るであろうな。自分達の操り人形が自力で動き出したら困るであろうし手の届かない場所に行ってしまっては元も子もないでしょうな」
「今までは部族氏族の力が強くて強引な取り決めが頻発してましたけど、冒険者ギルドの宣言でコネや縁故採用は格段に難しくなりましたからね。今後はもう迂闊な行動はできないでしょうけど」
人形を操っているはずがそれは自分達の方だった。それを知った瞬間どうしようもなくなるだろう。
我らもコネでごり押しするだけの部族や氏族に対しては「それはちょっとまずいだろ」危機感を持っていた。才能だけはある連中が混乱を引き起こしている現実を眺めることしかできなかったからだ。しかし、これからは違う。本当に本物だけしか生き残れない時代がやってくるのだ。
これで心を改めてくれればよいのだが部族氏族の力はいまだ健在、まだまだその土台は揺るがないだろう。それを揺るがすモノが現れた時どう対処するのだろうか。それが敵であったら壊滅させられるかもしれない。我らにはリーダーが今後必ず必要だ。種族の垣根を越えて纏め上げられる器と度量と行動力の持ち主。
旅の過程で色々な人物見て観察したがピュアブリングという存在の器は底どころか縁すら見えない。その器には深淵だけがあり敵と見なした存在を皆殺しにする巨大な瞳と絶望と死に引きずり込む無数の手が伸ばされている。彼が行く先には熾烈な戦いが待ち受けているが彼ならば乗り越えられるのではないか。
バーゼルとシェリルは彼に出会えたことは天が与えた奇跡のようだとピュアブリングを評価していた。
「よく耐えましたね」
「司祭様、別の教義を信仰する私を入れて下さったことに感謝いたします」「えへへっ、あたしらは世界中のいる神々ではなくて実在した英雄を信仰してるのに」
ラグリンネとエトナは町の大きな教会に来ていた、目的はただ一つ。新たな奇跡を授かるためだ。今後さらに戦いは激化し強敵は雪崩のごとくやってくるはずである。
それに備えて新たな奇跡を求め教会にやってきて奇跡の嘆願をした。本来であれば他教義の神官を受け入れてはならないことになっている。だけども、司祭様は笑顔で私達を受け入れてくれた。
「あの市内中を罪人として歩き回されている奴らは我らを公然と侮辱の言葉を使っただけではなく色々と悪さをしておりましたからね」
前回のダンジョン探索で奴らは神官を連れてこなかった理由の事情を聞く。
『ダンジョンを攻略する。神官を派遣しろ。報酬は後払いだ』
上から目線で見下すような態度と場合によれば壁替わりにしかねない言動の数々、奇跡を冒涜するようなその振る舞いは破落戸と変わりなかった。
だから、誰一人として連れて行かせなかった。もちろん奴らは激怒したが教会が相手では実家でもどうしようもなく憎々しげにダンジョンに向かう。そのために《バーミット》物資を有り得ないほど買い込んでしまい経済が混乱する直前だった。それが意趣返しなのだろうと教会は判断したのだ。
さすがにここまで大事になるとは考えてなかった。
「ピュアブリング殿が買い付けて来た物資が無かったら暴動が起こっていたでしょうね」
彼には感謝していると。莫大な物資と金を損得抜きにして提供してくれたのだ。その後冒険者ギルドを通じて徐々に物流を安定させることに成功した。彼は間違いなく恩人だ。
その後奴らがボロボロになって帰ってくる。
『貴様らのせいで我らが故郷が壊滅寸前にまで問題が発展した。その責任を取れ』
民衆全員が怒り処罰を求めた。
彼らの実家は名のある一族で影響力もあるがそれは地方まで、中央までは届いてない。現地の住民を完全に敵に回した奴らは実家や冒険者ギルドに助けを求めるが感情のない顔と声を聞いた。
「お前らのせいで冒険者ギルドの看板に泥が塗られた」「お前らなど我が子でも一族でもない。絶縁処分にする。その罪を己の身で清算しろ」
以前から問題行動を繰り返していたので見切るのは早かった。
奴らは逃げ出そうとするが冒険者ギルドは懸賞金まで賭けて仲間らを全員捕まえた。その後裁判となる
「自分達は悪いことは何もしてない」
「ほう。自分らは無実だと。色々と証拠があるのだがね。それを再度確認することにしようか」
裁判長は冒険者ギルドにプレートの全情報を開示するように命じた。冒険者プレートは所有者の言動の全てを記録する機能があることを彼らは覚えてなかったのだ。
脅迫、凌辱、見殺し、その他いろいろな罪状が多数出てくる。
「そんな機能があるなんて聞いてないぞ」
「本当かね」
「いえ。これは初期登録するすべての冒険者に最初に明言する言葉です。念押しもします。コネを使い無理矢理ランクを上げた彼らはこの事実の意味を誤解しました。内容の改ざんは不可能です」
「という事は自分らに都合よく利用できる部分だけを使い回していたという事か。後先考えずに」
「それ以外説明不可能かと」
「……」
「確認した内容だと彼らは1年と半分以上も依頼達成報告がないとある。これは責任放棄の罪に該当するが」
「こちらも基本的な勉強や基礎技術や簡単な納品依頼などを斡旋しましたが受け付けず罰金も実家送りです」
彼らは最後の頼みとして弁護士を呼ぶ。
「弁護士よ。何かこれら事実を否定できる根拠はあるか」
「何一つありません。弁護士としては失格かもしれませんが」
弁護士さえ彼らを見捨てた。即座に裁判長は「有罪」そう宣言した。
本人と関係者全員手枷足枷をはめられ縄で馬に引かれ季節が一周するまで市内中を引きずり回された上で斬首にされるそうだ。傷を負っても病気にかかっても最低限しか処置を施してもらえない
苦しくても誰も助けてはくれない。
「ありえない。こんな状態はあり得ないぃぃ。私はいずれ冒険者の最高位になるはずなのにぃい」
憎悪の念をまき散らしながら叫ぶ彼らに民衆は無関心だ。しばらくすると彼らはもはや逃げようがないことを悟ったようで幽鬼のように虚ろな視線でひたすら引きずり回されるようになる。
その後も大変だった。
彼らが見捨てて逃げた人々、特に若すぎる世代が多すぎてパーティでは面倒を見れない。ピュアブリングはここでも手助けした。
「これで、彼らに救いを与えて下さい」
金や銀の塊をこれでもかと積み上げた。それを子供の背丈より高く積み上げる。
「寄進お布施だけが教会に対する貢献ではありませんが」
「わかりました。彼らは弱者側にいたから従うしかなかった、そうなんですね」
事情が事情なのでどうしようもないだろうし教会とはそういう組織だ。しかるべき行いをすれば手助けするのが本業である。さすがに出しすぎではないだろうかと心配するが。
「金の心配はしなくていい。仲間に不自由はさせない」
笑顔で答えてくれた。
「彼は何者なのでしょうか」
「私に何とも言えませんが助けるべき人々を助けていることには間違いありません」「そうだねー。まぁ、有り得ない品々を出すことについてはもう何も聞かないことで全員一致しているからねー」
彼は自分自身のことに関して無関心すぎる悪い癖がある。助け叱り慰め怒り、必要なものを惜しみなく出し認めた仲間を絶対に見捨てない。敵とみなせば絶対に倒す。それなのに物事の価値観とか人の道徳とか世界の常識とあまりに上下の差が激しすぎる。
存在を全て秤にかけられていてその釣り合いを幸運不幸という価値観で認識し命の質を重視している。救うべきではない命に対しては冷酷非情としか言いようがないが自力で助かる余地は残してはいる。
ピュアブリングのことについてはほとんど分からない状態のままだ。彼自身が説明した「なんか世界を救う人物を育成する機関」とやらで育ったという説明意外聞いてない。
ピュアブリングはこのまま冒険者として順調に進んでいけば相当な高さまで行けるだろう。銀色級?金色級?もしかしたら至高の頂にさえ座れてしまうかもしれない逸材。うん、ちゃんと支えるときに支えてあげるのが神官の仕事だ。
「そこまで行ったらもう勇者としか呼ぶしかありませんね。さらに尊厳が付くでしょう」
「そうだねー。今はまだ勇者の卵から羽化したばかり雛鳥。今後もがんばらないとねー」
ラグリンネとエトナは同じ結論に至りちゃんと面倒を見てあげないと。決意を新たにする。幸いにしてお金は一杯渡されているので真新しい予備の神官服とか買いに行きましょうか。色々と見て回りたいし美味しいご飯も食べたい。ピュアブリングの料理は申し分ない美味しさだがやはりパーティ共同で食事となると差別化できない難点があった。
これもリーダーとして誰かを特別扱いすればパーティクラッシュが引き起こされる危険性を考えているからだろう。後問題なのかどうかわからないが色欲がまるでないことだ。何度か下着姿の仲間達を見ているが無関心である。欲情しないのはいいがあそこまでになると『機能不能男』などと思うからだ。
外見がまだ少年少女同然なのでその手の関心がないからかもしれないが女の子のフリフリヒラヒラした服装を何の疑問も持たずに着こなしているため奇妙で不思議な納得性があるのだ。馬子にも衣裳とかそんな感じ。
あと、評判を聞いてビースト女やエルフ女らが密かに私達に接触してくる問題も頭が痛い。彼女らの願望機の具現体である彼は本人の知らないところで欲情の対象になっていた。
まぁ、冒険者ギルド直営店に行ける身分だししかるべき相手を紹介してもらえるだろうが万が一のことも考えておかないと。男の子だからね。
それは誰にでもある平和な一日、疲れた体と心を癒す必要な時間、国王から農夫までそれを与えれている。
ピュアブリングのパーティは各自休暇を満喫する。幸いにしてリーダーは大金持ちだし必要であるならそれを惜しまず投資する性格だ。渡された金貨銀貨が入った袋を見て目を輝かせる仲間達。
ここまで激しい戦いが続いていたから自分達の中に発散したい欲望が溜まっていた仲間達は各自体の泥を綺麗に流すため外に繰り出す。
「こっちには分厚いステーキと上等な酒を」「魚のバターソース姿焼きとたっぷり蜂蜜酒を持ってきてください」
ミーアとエメリアは上級に入る料理店に繰り出していた、今までコテージでピュアブリングの料理を食べていた。それは結構上等であったがやはりパーティであるため共通の物資から出されていた。誰かを特別扱いしてはパーティの秩序が成り立たないからだ。なのでよほど好みが合わない場合を除いて皆同じ食事になる。
だが、自由行動中であるなら話は別、与えられた金の範囲内ならどんな注文もできるのだ。
ガツガツ ムシャムシャ ゴクゴク
ミーアとエメリアは上流階級の出身なので食事にはうるさい。里を飛び出してからというもの現実を思い知りあまり良くない食事を選ばざるを得なかった。ピュアブリングは《料理》スキルを高ランクで持っているのでレパートリーは広いし味も保証される。食材棚にはパンやシチューやチーズやお酒なんかも定期的に補充されるため不自由はない。でも、時には制限なく飲み食いしたかったのだ。
「お肉追加。なるだけ肉厚なのを」「魚介類の煮込みをお願いします」
さらに店員に注文を出しつつお酒をゴクゴク飲む。
「ふぅーっ。いやぁ、久しぶりに満足できた」「こんな料理の量は家族の前では食べられませんからね」
意外とこの二人は大食いであり里では出される料理の量に不満を覚えていた。このぐらいで普通だろう、それじゃ私には足りない。でも、家族のいる中で自分だけが。その空腹感は常にあった。ピュアブリングは私達仲間に不自由させないぐらいに食べさせてくれる。やっぱりリーダー次第で自分がどの階層にいるのかが良く分かる。私達だけだったらここまで豪勢な食事にはありつけないから。
「やっぱ余裕のあるパーティは懐が違うし待遇は明確に差がある、優秀だとなお良いわけだね」「そうですね。多分他とパーティを組んでいたらプレートのランクは上がらなかったでしょうし貧相な生活でしょうから」
注文した料理を待ちつつ冒険者プレートを手の中で遊ばせる。緑色に強く輝くそれが自分達の実力の証明だからだ。彼とならまだまだ先に進めるだろう。辿り着く先は在野最高位の銀色級か、はたまた国家の重要案件を任せられる金色級か、そこまで行けば氏族部族内の地位は高くなり家族でさえも口出しできない。
二人の願いは『飾り物として都合よく使われたくない、自分のことは自分で決めることが出来る本物であることの証明』それが唯一無二の願い。里の外に出てきて自分達がいかに狭い世界で甘やかされて育ったかピュアブリングが教えてくれたし今正式にパーティを組んでいる。夢は膨らむばかりだ。
「お待たせしました」
「「いただきまーす」」
追加の料理が来た。腹一杯食べても金はかなり余ることだろう。良い服屋に行き下着やら外出着やら物色するか。各自洗濯をしてるがさすがに男女混合のコテージなのはどうしようもない。基本的に2階で干しっぱなしだがプライバシーがあるし下着などをそこらに放り投げてては問題だ。ベッドルームは個室だが狭いので物を置くスペースが限られる。
贅沢を言えば切りがないしあのコテージですら破格な金額だろう。それを共同で使わせてくれてるのだから文句は言えない。下手な宿屋よりも設備が充実しているからだ。あのフカフカのベッドと真新しいシーツの匂いを一度覚えると宿屋には足を運びたくなくなる。
ミーアとエメリアはとりあえず注文した食事を平らげることにした。
「これも中身がいいしこちらも興味深い。さて、山ほど選べるがすべては覚えられんな」「こっちの巻物と呪文書ありったけ買ってもいいですけど出所が分からない物もありますね」
バーゼルとシェリルが来ていたのは戦闘指南書や魔術書や巻物を売っている書店兼魔術品販売店だ。自由時間を与えられた二人は今後の戦いに備えてより高度な戦闘技術や知識を求めていた。役割がパーティ内でほぼ確立しているが手札は多いに越したことはない。
ピュアブリングは全員を纏められる上に戦達者で出来ないことはほとんどないという強さを有している。竜人は身体能力が格段に高いため前列を担うし戦達者も数多い、上位者を敬う傾向を非常に強く有している。彼の的確な指示といざという時に頼れる強さ、それを確認済みだからこそ自分らも高く険しい山を諦めずに登れるのだ。
前衛を務めるバーゼルは騎馬にも乗れるため本来体格が大きい竜人には難しい機動力が確保できる。なら、もっと前線で戦うためには手駒が欲しい。《竜牙兵》を覚えればより前衛で戦えるして手数が増える。何より『補充可能な戦力』その意味が大きい。触媒もピュアブリングに注文すればかなりの量を出してもらえるからだ。
しかるべき実力者が生み出せば召喚生物もそれ相当に強くなれるメリットがある。今までは必要性を感じなかったが仲間のラグリンネやエトナの召喚生物の戦闘力を見て覚えて損はないと判断した。
シェリルもまた魔術師で知識の探求が本質だ。今までは土属性魔術のみでやってきたが今後戦いが激化すれば属性が通りづらい相手は必ず出てくる。属性の多さがすべてはないが手札の多さは間違いなくメリットになるし触媒もピュアブリングに事前に頼んでおけば戦闘中も補充可能だ。
それだけ《収納》をデメリット無しに使える者が重用され引く手あまたなのか実感できる。それを覚えられる巻物は市場にまず出回らないからだ。覚えられるのは限られたごく一部だけ。生まれながらに有している例はほぼ有り得ないと噂が立つほどである。
「店員殿、会計をお願いしたい」「とりあえず、今現実的に必要な分ですけど」
バーゼルとシェリルは山積みの本や巻物などを店員の前に持ってきた。
「あんたら、金はともかく覚えて使えるのか?」
店員は疑惑の目を向ける。金だけだったらどうにかなるかもしれないが貴重な品々を販売するわけだから実力が足りなければ無駄にリスクばかりが増える。下手に売って馬鹿な問題が出ないように警戒するのは当然だ。我らは冒険者プレートを店員の前に出す。
「緑光玉色のプレート、すげぇ、本物なんだなあんたら。そういうお客様なら大歓迎だ」
早速会計を行う店員。馬鹿げた考えで強いスキルを得ようとする輩が後を絶たないため店員らも慎重に販売相手を選んでいるのだろうな。そのリスクを説明してもなお得ようとする馬鹿が世の中には無数にいる。その資格有りと証明できなければ追い返されるだけだ。
「あんたたちが大成して活躍することを願うよ。モンスターは脅威だからな」
「うむ、かたじけない」「精進いたします」
必要なものはあらかた買ったのでコテージに戻り読破し覚える。こういう地道さこそ冒険者という仕事に必要不可欠なのだ。ただ腕が立つだけではそこらの破落戸と変わりがない。明確な線引きがされているからこそ秩序がもたらされるのだ。
今現在緑光玉級に仲間全員が進んでいた。先が見えない暗闇をピュアブリングという明かりを頼りに確実に前に進んでいる。さらに進めば部族氏族を纏める役割が待っているだろうし、もしかしたら族長を任されるやもしれない。シェリルもまた一族の都合で無理矢理パ-ティを組まされたことについては『自分が弱いから利用される、それも無理矢理に』自分の今後について真剣に考えていた。
「我らがこのまま順調に進めば進むほど送り出した部族氏族は焦るであろうな。自分達の操り人形が自力で動き出したら困るであろうし手の届かない場所に行ってしまっては元も子もないでしょうな」
「今までは部族氏族の力が強くて強引な取り決めが頻発してましたけど、冒険者ギルドの宣言でコネや縁故採用は格段に難しくなりましたからね。今後はもう迂闊な行動はできないでしょうけど」
人形を操っているはずがそれは自分達の方だった。それを知った瞬間どうしようもなくなるだろう。
我らもコネでごり押しするだけの部族や氏族に対しては「それはちょっとまずいだろ」危機感を持っていた。才能だけはある連中が混乱を引き起こしている現実を眺めることしかできなかったからだ。しかし、これからは違う。本当に本物だけしか生き残れない時代がやってくるのだ。
これで心を改めてくれればよいのだが部族氏族の力はいまだ健在、まだまだその土台は揺るがないだろう。それを揺るがすモノが現れた時どう対処するのだろうか。それが敵であったら壊滅させられるかもしれない。我らにはリーダーが今後必ず必要だ。種族の垣根を越えて纏め上げられる器と度量と行動力の持ち主。
旅の過程で色々な人物見て観察したがピュアブリングという存在の器は底どころか縁すら見えない。その器には深淵だけがあり敵と見なした存在を皆殺しにする巨大な瞳と絶望と死に引きずり込む無数の手が伸ばされている。彼が行く先には熾烈な戦いが待ち受けているが彼ならば乗り越えられるのではないか。
バーゼルとシェリルは彼に出会えたことは天が与えた奇跡のようだとピュアブリングを評価していた。
「よく耐えましたね」
「司祭様、別の教義を信仰する私を入れて下さったことに感謝いたします」「えへへっ、あたしらは世界中のいる神々ではなくて実在した英雄を信仰してるのに」
ラグリンネとエトナは町の大きな教会に来ていた、目的はただ一つ。新たな奇跡を授かるためだ。今後さらに戦いは激化し強敵は雪崩のごとくやってくるはずである。
それに備えて新たな奇跡を求め教会にやってきて奇跡の嘆願をした。本来であれば他教義の神官を受け入れてはならないことになっている。だけども、司祭様は笑顔で私達を受け入れてくれた。
「あの市内中を罪人として歩き回されている奴らは我らを公然と侮辱の言葉を使っただけではなく色々と悪さをしておりましたからね」
前回のダンジョン探索で奴らは神官を連れてこなかった理由の事情を聞く。
『ダンジョンを攻略する。神官を派遣しろ。報酬は後払いだ』
上から目線で見下すような態度と場合によれば壁替わりにしかねない言動の数々、奇跡を冒涜するようなその振る舞いは破落戸と変わりなかった。
だから、誰一人として連れて行かせなかった。もちろん奴らは激怒したが教会が相手では実家でもどうしようもなく憎々しげにダンジョンに向かう。そのために《バーミット》物資を有り得ないほど買い込んでしまい経済が混乱する直前だった。それが意趣返しなのだろうと教会は判断したのだ。
さすがにここまで大事になるとは考えてなかった。
「ピュアブリング殿が買い付けて来た物資が無かったら暴動が起こっていたでしょうね」
彼には感謝していると。莫大な物資と金を損得抜きにして提供してくれたのだ。その後冒険者ギルドを通じて徐々に物流を安定させることに成功した。彼は間違いなく恩人だ。
その後奴らがボロボロになって帰ってくる。
『貴様らのせいで我らが故郷が壊滅寸前にまで問題が発展した。その責任を取れ』
民衆全員が怒り処罰を求めた。
彼らの実家は名のある一族で影響力もあるがそれは地方まで、中央までは届いてない。現地の住民を完全に敵に回した奴らは実家や冒険者ギルドに助けを求めるが感情のない顔と声を聞いた。
「お前らのせいで冒険者ギルドの看板に泥が塗られた」「お前らなど我が子でも一族でもない。絶縁処分にする。その罪を己の身で清算しろ」
以前から問題行動を繰り返していたので見切るのは早かった。
奴らは逃げ出そうとするが冒険者ギルドは懸賞金まで賭けて仲間らを全員捕まえた。その後裁判となる
「自分達は悪いことは何もしてない」
「ほう。自分らは無実だと。色々と証拠があるのだがね。それを再度確認することにしようか」
裁判長は冒険者ギルドにプレートの全情報を開示するように命じた。冒険者プレートは所有者の言動の全てを記録する機能があることを彼らは覚えてなかったのだ。
脅迫、凌辱、見殺し、その他いろいろな罪状が多数出てくる。
「そんな機能があるなんて聞いてないぞ」
「本当かね」
「いえ。これは初期登録するすべての冒険者に最初に明言する言葉です。念押しもします。コネを使い無理矢理ランクを上げた彼らはこの事実の意味を誤解しました。内容の改ざんは不可能です」
「という事は自分らに都合よく利用できる部分だけを使い回していたという事か。後先考えずに」
「それ以外説明不可能かと」
「……」
「確認した内容だと彼らは1年と半分以上も依頼達成報告がないとある。これは責任放棄の罪に該当するが」
「こちらも基本的な勉強や基礎技術や簡単な納品依頼などを斡旋しましたが受け付けず罰金も実家送りです」
彼らは最後の頼みとして弁護士を呼ぶ。
「弁護士よ。何かこれら事実を否定できる根拠はあるか」
「何一つありません。弁護士としては失格かもしれませんが」
弁護士さえ彼らを見捨てた。即座に裁判長は「有罪」そう宣言した。
本人と関係者全員手枷足枷をはめられ縄で馬に引かれ季節が一周するまで市内中を引きずり回された上で斬首にされるそうだ。傷を負っても病気にかかっても最低限しか処置を施してもらえない
苦しくても誰も助けてはくれない。
「ありえない。こんな状態はあり得ないぃぃ。私はいずれ冒険者の最高位になるはずなのにぃい」
憎悪の念をまき散らしながら叫ぶ彼らに民衆は無関心だ。しばらくすると彼らはもはや逃げようがないことを悟ったようで幽鬼のように虚ろな視線でひたすら引きずり回されるようになる。
その後も大変だった。
彼らが見捨てて逃げた人々、特に若すぎる世代が多すぎてパーティでは面倒を見れない。ピュアブリングはここでも手助けした。
「これで、彼らに救いを与えて下さい」
金や銀の塊をこれでもかと積み上げた。それを子供の背丈より高く積み上げる。
「寄進お布施だけが教会に対する貢献ではありませんが」
「わかりました。彼らは弱者側にいたから従うしかなかった、そうなんですね」
事情が事情なのでどうしようもないだろうし教会とはそういう組織だ。しかるべき行いをすれば手助けするのが本業である。さすがに出しすぎではないだろうかと心配するが。
「金の心配はしなくていい。仲間に不自由はさせない」
笑顔で答えてくれた。
「彼は何者なのでしょうか」
「私に何とも言えませんが助けるべき人々を助けていることには間違いありません」「そうだねー。まぁ、有り得ない品々を出すことについてはもう何も聞かないことで全員一致しているからねー」
彼は自分自身のことに関して無関心すぎる悪い癖がある。助け叱り慰め怒り、必要なものを惜しみなく出し認めた仲間を絶対に見捨てない。敵とみなせば絶対に倒す。それなのに物事の価値観とか人の道徳とか世界の常識とあまりに上下の差が激しすぎる。
存在を全て秤にかけられていてその釣り合いを幸運不幸という価値観で認識し命の質を重視している。救うべきではない命に対しては冷酷非情としか言いようがないが自力で助かる余地は残してはいる。
ピュアブリングのことについてはほとんど分からない状態のままだ。彼自身が説明した「なんか世界を救う人物を育成する機関」とやらで育ったという説明意外聞いてない。
ピュアブリングはこのまま冒険者として順調に進んでいけば相当な高さまで行けるだろう。銀色級?金色級?もしかしたら至高の頂にさえ座れてしまうかもしれない逸材。うん、ちゃんと支えるときに支えてあげるのが神官の仕事だ。
「そこまで行ったらもう勇者としか呼ぶしかありませんね。さらに尊厳が付くでしょう」
「そうだねー。今はまだ勇者の卵から羽化したばかり雛鳥。今後もがんばらないとねー」
ラグリンネとエトナは同じ結論に至りちゃんと面倒を見てあげないと。決意を新たにする。幸いにしてお金は一杯渡されているので真新しい予備の神官服とか買いに行きましょうか。色々と見て回りたいし美味しいご飯も食べたい。ピュアブリングの料理は申し分ない美味しさだがやはりパーティ共同で食事となると差別化できない難点があった。
これもリーダーとして誰かを特別扱いすればパーティクラッシュが引き起こされる危険性を考えているからだろう。後問題なのかどうかわからないが色欲がまるでないことだ。何度か下着姿の仲間達を見ているが無関心である。欲情しないのはいいがあそこまでになると『機能不能男』などと思うからだ。
外見がまだ少年少女同然なのでその手の関心がないからかもしれないが女の子のフリフリヒラヒラした服装を何の疑問も持たずに着こなしているため奇妙で不思議な納得性があるのだ。馬子にも衣裳とかそんな感じ。
あと、評判を聞いてビースト女やエルフ女らが密かに私達に接触してくる問題も頭が痛い。彼女らの願望機の具現体である彼は本人の知らないところで欲情の対象になっていた。
まぁ、冒険者ギルド直営店に行ける身分だししかるべき相手を紹介してもらえるだろうが万が一のことも考えておかないと。男の子だからね。
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