42 / 87
闇商人との取引と一時的に女の人達と恋人になる
しおりを挟む
僕は早速スラム街に向かう。当然入り口には門番らがいるが合言葉を言う。
「『幸運とは与えられることではない。罪悪とは殺すことではない。人の道理とは所詮言葉だけである』」
それを聞くと門番たちは恭しく頭を下げ中に案内する。早速闇商人の元締めのところに案内される
「あらぁ、古来の合言葉、それもごく一部だけに許されたものだと聞いたけどえらく若いわねぇ」
元締めは若い女性のようだ。しかしクラスチェンジ済みなのは間違いないようだ。
「何をご所望かしら」
「【自動筆記の魔法の地図】【枯渇しない食料の袋】【魔法の巨大な空間のコテージ】などとりあえず冒険者に必要な品々と、金や銀の塊をありったけ」
「品物は豊富にあるけどお高いわよぉ、けっこう無理じゃないかしら」
僕はオーガの遺体やヘッドハンターの遺体を溶かしてインゴットにした物をずらりと並べる。また《収納》の巻物を10個ほど出す。
「へぇ。そういうことなのね。通常はヘッドハンターの体を溶かしてインゴットにするには時間がかかるし、なにより闇に染まっているから装備作成は限定されるんだけどこれは浄化処理が念入りされていて万能的に使えるわ。何より《収納》というめったに入手できないスキルの巻物が素晴らしいわ」
申し分のない品々に元締めは満足した、商談はこれで纏まった。早速必要な品々を用意され《収納》で全部仕舞う。
「今後とも良いお付き合いを望みます。ピュアブリング殿」
どうやら僕の存在については把握済みだったのだろう。準備の手早さがかなり高かったことを考えるとここに来ることはある程度予測済みだったと考えていい。
さて、これで前回大放出した分は補充できたから戻るか。そういえばまだ中をあまり見て歩いてなかったことに気づきまだまだここで活動するため見て回り確認しておくのも悪くないと考える。そう考えた僕は露店や商店を見て回ることにした意外と掘り出し物があるかもしれないし。
露店で肉の串焼きやら果物やらを物色しながら商店などを回る。
「ふむぅ、いくつか欲しいスキルツリーの本が売ってあるね」
施設では教えてもらえなかったスキルツリーを系統図を網羅した本の数々。僕が保有しているスキルツリーは莫大だが穴もちょっとある。せっかく売っているのに手を出さない理由はない。山ほどの本を店員の前に積む。
店員は当然聞いてくる
「あんたこんなに買って覚えられるのか。覚えるだけじゃなくバッドステータスも消せるのか」
店員はスキルのリスクリターンコントロールのことについて良く知っているようだ。習得自体ならどうとでもなるが覚えたスキルには必ずバッドステータスが付いてくる。下級でもかなり負担だし中級になれば無視できなくなる上位になったらもう迂闊に発動するだけで命の危機だ。最上位とかになるともう相当な実力者でも自殺志願者同然になるほどだ。
これにさらに固有とか神位とかになるとまずお目にかかれないほどレアだがバッドステータスは天井知らずにかかり継承はまず不可能だ。スキルを発動した瞬間肉体は跡形もなく消し飛ぶ。それは誇張でも何でもなく文字通りだ。
だからこの世界ではスキルの継承はよほどの事情かしかるべき資格者が現れた場合だけしか行われない。スキルを継承してもバッドステータスの項目を一つ削除するためには莫大な時間と過酷な訓練と死闘が終わりなくやってくるからだ。
もしも、バットステータスを全部消した者に対しては多方向から尊敬の念が集まるほど。無数にあるスキルツリーのバッドステータスを全部消すことなど不可能だ。もしもそれが達成されたらそれは間違いなく『極めた』そうとしか言いようがない。
馬鹿な連中が血眼になって貴重なスキルを覚えようとするが僕からすれば言語道断である上に無謀の極みと言えるだろう。
さて、冒険者プレートを店員に見せる。
「ほう、緑光玉色とはこれまた久しぶりだ。欲望だけが先走る馬鹿共じゃねぇな。いいぜ、好きなだけ持ってきな」
実力と実績を兼ね備えているからこそさらに強敵となるモンスターを倒すためにスキルを覚えることが出来る品々が売られることを店員はよく理解していた。代金を支払い店を後にする。
「ねぇ、君」
道を歩いているとビースト女とエルフ女二人組が話しかけてきた」
「僕に何か用事ですか」
「美少女と見まごう外見にその服装、その幼さから君がピュアブリングね」
「そうなのね。ようやく接触できたわ。お姉さんたちに付き合わないかしら」
すぐさま両脇に移動しがっちり腕を組む。不味い、この女達にはもう色欲が見えていた。前回絡んできた女らと同じだ。
「早速交流を深めましょう」「そうしましょう」
彼女達は上級な料理店に迷いなく入る。早速注文をする二人。
(まぁ、美人?と食事をしながら話し合うのも経験だよね)
僕には種族間における容姿の美醜など何一つとして興味はないがお話ぐらい付き合ってもいいとは判断した。彼女らの本命はもうすでに分かっているがあえて聞かない。彼女らから色々な話を聞かれる
「討伐実績はどのぐらいなのでしょう」
「オーガとヘッドハンター、ボーン・ジェネラルなどを少々」
「大変に素晴らしいですわ」
「お褒め頂きありがとございます」
「大変に稼いでおられるのでしょう」
「まぁ、生活に不自由しない分には」
「冒険者プレートのランクは」
「緑光玉級です」
「はぁー、噂は本当だったのですね。将来有望ですわ」
あれやこれやとこちらのことを聞き時には持ち上げる言動、別にそれがどうしたものなのか、僕の本音はそれだけだがこうした処世術は外の世界で生きる女には必須なのだろう。お茶を時々飲みながら返答する。
「で、男性なのですね。それでしたら色々と関心があるのでは。特に女の子のことについて」
いよいよ本題に入るらしい。
「興味ありますよね」「知らないことは損ですわ」
「まぁ、人並みには。でも、僕の年齢ではちょっと距離感が」
言葉を濁すと彼女達の目が輝き始める。
「だったら、短い間だけでも恋人にならない」「お姉さん達が女の子のことを色々教えてあげるわ」
これがどう意味なのかは分かっているため僕としては仲間に女性が多いためより深く親密になれる切っ掛けを学べると思えば双方に損はないな。だが、最後までは付き合わない。一線を越えるつもりはない、今の所誰が来ようとだ。
「よろしくお願いします」
ちょうど注文してた料理が持ってこれらご機嫌で堪能する。その代金は全部こちら持ちだ。その後服屋とかで服を試着して買わされたり娯楽場という名のカジノとかにも連れていかれた。両脇にいる彼女らを喜ばせるため誰にも分からないようにイカサマを使う。
「21」
「くっ」
親一人と子が複数のカードゲームだ。僕はスキル《強運》などを使い一方的に勝つ。相手も色々対策をしているようだが穴があることを見抜いた僕は馬鹿なほどに勝ち続ける。あまりにも勝ち続けるためサクラが入れ代わり立ち代わり変更されるが結果は僕の圧勝だ。さすがにこれ以上はヤバいので切り上げて店の外に出る。
「えへへっ、実に気分がいいです」「これはちょっとありえないですね」
ユクール銀貨金貨が詰まった大袋を複数抱えながら連れの女たちは「これはありえないでしょ」そう思うしかないほどに勝ちまくった僕に対して明言した。
「「愛人扱いでもいいから傍に置いてもらえませんか」」
本音を漏らした。
強い男に惹かれるのは女の性、それが中身も良いと分かれば早い者勝ちだ。二人は露骨に体を寄せてくる。
その後は色々な場所を見て回り談笑し身を飾る品々を買ったりと、楽しい時間だけが過ぎていく。
そして、暗闇が訪れ当然のごとく中級ぐらいの宿屋まで目前にすると。
「恋人ごっこはここでおしまい。勉強させていただきありがとうございました」
「?!」
楽しい時間の終わりを告げる。
「なんでよ。上位種族じゃないとか。好みに合わないとか言わせない自信があります」「私達はこれでも器量や容姿については自信があります。それなのにどうして」
女の方から誘っているのに拒否するなんて。彼女達からすれば「そんなことなどありえない」だろうね。
「お二人には何の不満もないよ。男を立てる術も熟知しご機嫌を取り誘導し双方に不利益が生まれない世の中を渡る女性の魅力と生き方、存分に楽しませてもらったから。これで満足出来ない男はほとんどいないだろうね」
「「だったらなんで!」」
二人は表情を激変させて問うてくる。
「僕という存在に一時の安らぎを求めるのはいい。傍にいればいつ死ぬか分からない男に頼るのは人生という長い道を歩くには不都合が多すぎるしそいつのせいで不幸になる女は見たくない」
つまり、長い道のりを歩ける安全安心幸せを噛みしめられる生涯のパートナーを出来る限り早く見つけて欲しいから。一時の快楽に任せて破滅するのは悪役だけでいい。僕が言うべきことはそれだけだ。
僕の立場とて未来永劫じゃない。冒険者と愛の語らいをする女達というのは切り離せないが彼女達には普通に幸せになって欲しいから。借金漬けにされ使い潰される存在にはなって欲しくない。
だから、可能な限り甘く幸せな夢を一時でも与えた。手の中にあるそれが僕から支払う代金だ。そこに性行為は入ってない。別にそれが悪いわけではないがそのつもりはこちらにはない
「普通に幸せを与えてくれるパートナーを探せと」「あなたは冒険者でしょう。なのに普通を求めろというのですか」
彼女達はそこで自分達の手の中にあるユクール金貨銀貨の大袋のことを思い出す。これだけあれば季節が半週出来るほどに生活には困らないから悪い連中とも付き合わなくていいはず。
手の中にあるのは幸せを掴むための資本金だ。
そうして、彼女達を置いてきぼりにして立ち去る。
彼がこちらを振り返ることなく去っていく。
「うーん、目的の達成まであと一歩だったんだけど」「こちらのことをちゃんと見ていた上で最後の壁が強固に立ちはだかったわね」
二人はあと一歩の所で大物を逃がしたことが悔しくて仕方なかった。ピュアブリングのことはもう知らない方がおかしいほどの有名人だ。滅多に外でしかも単独で見かけないのでこれは好機だと確信し近づいたら中身は想像を遥かに超えていた。
こっちはありったけを振り絞り男を立てたことについては素直に喜んでいたし女がどのような態度を示せば喜ぶのかもよく分かっていた。私達は本気で愛人になりたかった。
でも、最後の一線を越えようとした時に放った彼の言葉の意味を考える。
『普通に生きられるって無自覚に幸せなことなんだよ』
一時の気の迷いで男に縋り付いては後でどんな酷い目にあわされるのか分からないから。傍に置く男はちゃんと選べ。年下のくせに生意気な、それを笑えない雰囲気を感じた。
手の中にある確実な重さのある大袋を抱きしめる。
「彼の言うようにクズな男に後先考えずに抱きしめその後始末なんてやりたくないですね」「同感ね。そんな男どもなんてこっちから願い下げよ。大勢見て来てるからね。彼の言葉は間違いなく私達の幸せを望んでいたわ」
二人は男にただ甘えるだけの女ではない、慎重に相手を吟味し近づいて双方に利益を出してたからだ。だからこそピュアブリングという大物に是が非でも近づきたかったが最後はこうなってしまった。
すでに同族の女達は彼に狙いを定めており何とか接触するチャンスにありつこうとしていた。あの手この手を使い彼の仲間らに接触しているが反応は芳しくない。
彼のコテージに無理矢理侵入しようとしてもパーティ以外は入れないのか弾き飛ばされてしまう。本人の知らない場所で欲望を叶えたい同類は相当な人数になっていた。
最後は彼に逃げられてしまったが逆に短時間でも彼の中身が自分らの想像を超えた本物であることが分かっただけで大収穫だろう。増々持って捕まえたい思いが強くなる二人だった。
「『幸運とは与えられることではない。罪悪とは殺すことではない。人の道理とは所詮言葉だけである』」
それを聞くと門番たちは恭しく頭を下げ中に案内する。早速闇商人の元締めのところに案内される
「あらぁ、古来の合言葉、それもごく一部だけに許されたものだと聞いたけどえらく若いわねぇ」
元締めは若い女性のようだ。しかしクラスチェンジ済みなのは間違いないようだ。
「何をご所望かしら」
「【自動筆記の魔法の地図】【枯渇しない食料の袋】【魔法の巨大な空間のコテージ】などとりあえず冒険者に必要な品々と、金や銀の塊をありったけ」
「品物は豊富にあるけどお高いわよぉ、けっこう無理じゃないかしら」
僕はオーガの遺体やヘッドハンターの遺体を溶かしてインゴットにした物をずらりと並べる。また《収納》の巻物を10個ほど出す。
「へぇ。そういうことなのね。通常はヘッドハンターの体を溶かしてインゴットにするには時間がかかるし、なにより闇に染まっているから装備作成は限定されるんだけどこれは浄化処理が念入りされていて万能的に使えるわ。何より《収納》というめったに入手できないスキルの巻物が素晴らしいわ」
申し分のない品々に元締めは満足した、商談はこれで纏まった。早速必要な品々を用意され《収納》で全部仕舞う。
「今後とも良いお付き合いを望みます。ピュアブリング殿」
どうやら僕の存在については把握済みだったのだろう。準備の手早さがかなり高かったことを考えるとここに来ることはある程度予測済みだったと考えていい。
さて、これで前回大放出した分は補充できたから戻るか。そういえばまだ中をあまり見て歩いてなかったことに気づきまだまだここで活動するため見て回り確認しておくのも悪くないと考える。そう考えた僕は露店や商店を見て回ることにした意外と掘り出し物があるかもしれないし。
露店で肉の串焼きやら果物やらを物色しながら商店などを回る。
「ふむぅ、いくつか欲しいスキルツリーの本が売ってあるね」
施設では教えてもらえなかったスキルツリーを系統図を網羅した本の数々。僕が保有しているスキルツリーは莫大だが穴もちょっとある。せっかく売っているのに手を出さない理由はない。山ほどの本を店員の前に積む。
店員は当然聞いてくる
「あんたこんなに買って覚えられるのか。覚えるだけじゃなくバッドステータスも消せるのか」
店員はスキルのリスクリターンコントロールのことについて良く知っているようだ。習得自体ならどうとでもなるが覚えたスキルには必ずバッドステータスが付いてくる。下級でもかなり負担だし中級になれば無視できなくなる上位になったらもう迂闊に発動するだけで命の危機だ。最上位とかになるともう相当な実力者でも自殺志願者同然になるほどだ。
これにさらに固有とか神位とかになるとまずお目にかかれないほどレアだがバッドステータスは天井知らずにかかり継承はまず不可能だ。スキルを発動した瞬間肉体は跡形もなく消し飛ぶ。それは誇張でも何でもなく文字通りだ。
だからこの世界ではスキルの継承はよほどの事情かしかるべき資格者が現れた場合だけしか行われない。スキルを継承してもバッドステータスの項目を一つ削除するためには莫大な時間と過酷な訓練と死闘が終わりなくやってくるからだ。
もしも、バットステータスを全部消した者に対しては多方向から尊敬の念が集まるほど。無数にあるスキルツリーのバッドステータスを全部消すことなど不可能だ。もしもそれが達成されたらそれは間違いなく『極めた』そうとしか言いようがない。
馬鹿な連中が血眼になって貴重なスキルを覚えようとするが僕からすれば言語道断である上に無謀の極みと言えるだろう。
さて、冒険者プレートを店員に見せる。
「ほう、緑光玉色とはこれまた久しぶりだ。欲望だけが先走る馬鹿共じゃねぇな。いいぜ、好きなだけ持ってきな」
実力と実績を兼ね備えているからこそさらに強敵となるモンスターを倒すためにスキルを覚えることが出来る品々が売られることを店員はよく理解していた。代金を支払い店を後にする。
「ねぇ、君」
道を歩いているとビースト女とエルフ女二人組が話しかけてきた」
「僕に何か用事ですか」
「美少女と見まごう外見にその服装、その幼さから君がピュアブリングね」
「そうなのね。ようやく接触できたわ。お姉さんたちに付き合わないかしら」
すぐさま両脇に移動しがっちり腕を組む。不味い、この女達にはもう色欲が見えていた。前回絡んできた女らと同じだ。
「早速交流を深めましょう」「そうしましょう」
彼女達は上級な料理店に迷いなく入る。早速注文をする二人。
(まぁ、美人?と食事をしながら話し合うのも経験だよね)
僕には種族間における容姿の美醜など何一つとして興味はないがお話ぐらい付き合ってもいいとは判断した。彼女らの本命はもうすでに分かっているがあえて聞かない。彼女らから色々な話を聞かれる
「討伐実績はどのぐらいなのでしょう」
「オーガとヘッドハンター、ボーン・ジェネラルなどを少々」
「大変に素晴らしいですわ」
「お褒め頂きありがとございます」
「大変に稼いでおられるのでしょう」
「まぁ、生活に不自由しない分には」
「冒険者プレートのランクは」
「緑光玉級です」
「はぁー、噂は本当だったのですね。将来有望ですわ」
あれやこれやとこちらのことを聞き時には持ち上げる言動、別にそれがどうしたものなのか、僕の本音はそれだけだがこうした処世術は外の世界で生きる女には必須なのだろう。お茶を時々飲みながら返答する。
「で、男性なのですね。それでしたら色々と関心があるのでは。特に女の子のことについて」
いよいよ本題に入るらしい。
「興味ありますよね」「知らないことは損ですわ」
「まぁ、人並みには。でも、僕の年齢ではちょっと距離感が」
言葉を濁すと彼女達の目が輝き始める。
「だったら、短い間だけでも恋人にならない」「お姉さん達が女の子のことを色々教えてあげるわ」
これがどう意味なのかは分かっているため僕としては仲間に女性が多いためより深く親密になれる切っ掛けを学べると思えば双方に損はないな。だが、最後までは付き合わない。一線を越えるつもりはない、今の所誰が来ようとだ。
「よろしくお願いします」
ちょうど注文してた料理が持ってこれらご機嫌で堪能する。その代金は全部こちら持ちだ。その後服屋とかで服を試着して買わされたり娯楽場という名のカジノとかにも連れていかれた。両脇にいる彼女らを喜ばせるため誰にも分からないようにイカサマを使う。
「21」
「くっ」
親一人と子が複数のカードゲームだ。僕はスキル《強運》などを使い一方的に勝つ。相手も色々対策をしているようだが穴があることを見抜いた僕は馬鹿なほどに勝ち続ける。あまりにも勝ち続けるためサクラが入れ代わり立ち代わり変更されるが結果は僕の圧勝だ。さすがにこれ以上はヤバいので切り上げて店の外に出る。
「えへへっ、実に気分がいいです」「これはちょっとありえないですね」
ユクール銀貨金貨が詰まった大袋を複数抱えながら連れの女たちは「これはありえないでしょ」そう思うしかないほどに勝ちまくった僕に対して明言した。
「「愛人扱いでもいいから傍に置いてもらえませんか」」
本音を漏らした。
強い男に惹かれるのは女の性、それが中身も良いと分かれば早い者勝ちだ。二人は露骨に体を寄せてくる。
その後は色々な場所を見て回り談笑し身を飾る品々を買ったりと、楽しい時間だけが過ぎていく。
そして、暗闇が訪れ当然のごとく中級ぐらいの宿屋まで目前にすると。
「恋人ごっこはここでおしまい。勉強させていただきありがとうございました」
「?!」
楽しい時間の終わりを告げる。
「なんでよ。上位種族じゃないとか。好みに合わないとか言わせない自信があります」「私達はこれでも器量や容姿については自信があります。それなのにどうして」
女の方から誘っているのに拒否するなんて。彼女達からすれば「そんなことなどありえない」だろうね。
「お二人には何の不満もないよ。男を立てる術も熟知しご機嫌を取り誘導し双方に不利益が生まれない世の中を渡る女性の魅力と生き方、存分に楽しませてもらったから。これで満足出来ない男はほとんどいないだろうね」
「「だったらなんで!」」
二人は表情を激変させて問うてくる。
「僕という存在に一時の安らぎを求めるのはいい。傍にいればいつ死ぬか分からない男に頼るのは人生という長い道を歩くには不都合が多すぎるしそいつのせいで不幸になる女は見たくない」
つまり、長い道のりを歩ける安全安心幸せを噛みしめられる生涯のパートナーを出来る限り早く見つけて欲しいから。一時の快楽に任せて破滅するのは悪役だけでいい。僕が言うべきことはそれだけだ。
僕の立場とて未来永劫じゃない。冒険者と愛の語らいをする女達というのは切り離せないが彼女達には普通に幸せになって欲しいから。借金漬けにされ使い潰される存在にはなって欲しくない。
だから、可能な限り甘く幸せな夢を一時でも与えた。手の中にあるそれが僕から支払う代金だ。そこに性行為は入ってない。別にそれが悪いわけではないがそのつもりはこちらにはない
「普通に幸せを与えてくれるパートナーを探せと」「あなたは冒険者でしょう。なのに普通を求めろというのですか」
彼女達はそこで自分達の手の中にあるユクール金貨銀貨の大袋のことを思い出す。これだけあれば季節が半週出来るほどに生活には困らないから悪い連中とも付き合わなくていいはず。
手の中にあるのは幸せを掴むための資本金だ。
そうして、彼女達を置いてきぼりにして立ち去る。
彼がこちらを振り返ることなく去っていく。
「うーん、目的の達成まであと一歩だったんだけど」「こちらのことをちゃんと見ていた上で最後の壁が強固に立ちはだかったわね」
二人はあと一歩の所で大物を逃がしたことが悔しくて仕方なかった。ピュアブリングのことはもう知らない方がおかしいほどの有名人だ。滅多に外でしかも単独で見かけないのでこれは好機だと確信し近づいたら中身は想像を遥かに超えていた。
こっちはありったけを振り絞り男を立てたことについては素直に喜んでいたし女がどのような態度を示せば喜ぶのかもよく分かっていた。私達は本気で愛人になりたかった。
でも、最後の一線を越えようとした時に放った彼の言葉の意味を考える。
『普通に生きられるって無自覚に幸せなことなんだよ』
一時の気の迷いで男に縋り付いては後でどんな酷い目にあわされるのか分からないから。傍に置く男はちゃんと選べ。年下のくせに生意気な、それを笑えない雰囲気を感じた。
手の中にある確実な重さのある大袋を抱きしめる。
「彼の言うようにクズな男に後先考えずに抱きしめその後始末なんてやりたくないですね」「同感ね。そんな男どもなんてこっちから願い下げよ。大勢見て来てるからね。彼の言葉は間違いなく私達の幸せを望んでいたわ」
二人は男にただ甘えるだけの女ではない、慎重に相手を吟味し近づいて双方に利益を出してたからだ。だからこそピュアブリングという大物に是が非でも近づきたかったが最後はこうなってしまった。
すでに同族の女達は彼に狙いを定めており何とか接触するチャンスにありつこうとしていた。あの手この手を使い彼の仲間らに接触しているが反応は芳しくない。
彼のコテージに無理矢理侵入しようとしてもパーティ以外は入れないのか弾き飛ばされてしまう。本人の知らない場所で欲望を叶えたい同類は相当な人数になっていた。
最後は彼に逃げられてしまったが逆に短時間でも彼の中身が自分らの想像を超えた本物であることが分かっただけで大収穫だろう。増々持って捕まえたい思いが強くなる二人だった。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)
屯神 焔
ファンタジー
魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』
この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。
そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。
それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。
しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。
正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。
そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。
スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。
迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。
父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。
一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。
そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。
毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。
そんなある日。
『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』
「・・・・・・え?」
祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。
「祠が消えた?」
彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。
「ま、いっか。」
この日から、彼の生活は一変する。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる