勇者育成機関で育てられた僕よりも異世界から呼ぶ勇者のほうが楽で簡単で強いそうなので無用となりました

無謀突撃娘

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闇商人との取引と一時的に女の人達と恋人になる

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僕は早速スラム街に向かう。当然入り口には門番らがいるが合言葉を言う。

「『幸運とは与えられることではない。罪悪とは殺すことではない。人の道理とは所詮言葉だけである』」

それを聞くと門番たちは恭しく頭を下げ中に案内する。早速闇商人の元締めのところに案内される

「あらぁ、古来の合言葉、それもごく一部だけに許されたものだと聞いたけどえらく若いわねぇ」

元締めは若い女性のようだ。しかしクラスチェンジ済みなのは間違いないようだ。

「何をご所望かしら」

「【自動筆記の魔法の地図】【枯渇しない食料の袋】【魔法の巨大な空間のコテージ】などとりあえず冒険者に必要な品々と、金や銀の塊をありったけ」

「品物は豊富にあるけどお高いわよぉ、けっこう無理じゃないかしら」

僕はオーガの遺体やヘッドハンターの遺体を溶かしてインゴットにした物をずらりと並べる。また《収納》の巻物を10個ほど出す。

「へぇ。そういうことなのね。通常はヘッドハンターの体を溶かしてインゴットにするには時間がかかるし、なにより闇に染まっているから装備作成は限定されるんだけどこれは浄化処理が念入りされていて万能的に使えるわ。何より《収納》というめったに入手できないスキルの巻物が素晴らしいわ」

申し分のない品々に元締めは満足した、商談はこれで纏まった。早速必要な品々を用意され《収納》で全部仕舞う。

「今後とも良いお付き合いを望みます。ピュアブリング殿」

どうやら僕の存在については把握済みだったのだろう。準備の手早さがかなり高かったことを考えるとここに来ることはある程度予測済みだったと考えていい。

さて、これで前回大放出した分は補充できたから戻るか。そういえばまだ中をあまり見て歩いてなかったことに気づきまだまだここで活動するため見て回り確認しておくのも悪くないと考える。そう考えた僕は露店や商店を見て回ることにした意外と掘り出し物があるかもしれないし。

露店で肉の串焼きやら果物やらを物色しながら商店などを回る。

「ふむぅ、いくつか欲しいスキルツリーの本が売ってあるね」

施設では教えてもらえなかったスキルツリーを系統図を網羅した本の数々。僕が保有しているスキルツリーは莫大だが穴もちょっとある。せっかく売っているのに手を出さない理由はない。山ほどの本を店員の前に積む。

店員は当然聞いてくる

「あんたこんなに買って覚えられるのか。覚えるだけじゃなくバッドステータスも消せるのか」

店員はスキルのリスクリターンコントロールのことについて良く知っているようだ。習得自体ならどうとでもなるが覚えたスキルには必ずバッドステータスが付いてくる。下級でもかなり負担だし中級になれば無視できなくなる上位になったらもう迂闊に発動するだけで命の危機だ。最上位とかになるともう相当な実力者でも自殺志願者同然になるほどだ。

これにさらに固有とか神位とかになるとまずお目にかかれないほどレアだがバッドステータスは天井知らずにかかり継承はまず不可能だ。スキルを発動した瞬間肉体は跡形もなく消し飛ぶ。それは誇張でも何でもなく文字通りだ。

だからこの世界ではスキルの継承はよほどの事情かしかるべき資格者が現れた場合だけしか行われない。スキルを継承してもバッドステータスの項目を一つ削除するためには莫大な時間と過酷な訓練と死闘が終わりなくやってくるからだ。

もしも、バットステータスを全部消した者に対しては多方向から尊敬の念が集まるほど。無数にあるスキルツリーのバッドステータスを全部消すことなど不可能だ。もしもそれが達成されたらそれは間違いなく『極めた』そうとしか言いようがない。

馬鹿な連中が血眼になって貴重なスキルを覚えようとするが僕からすれば言語道断である上に無謀の極みと言えるだろう。

さて、冒険者プレートを店員に見せる。

「ほう、緑光玉色とはこれまた久しぶりだ。欲望だけが先走る馬鹿共じゃねぇな。いいぜ、好きなだけ持ってきな」

実力と実績を兼ね備えているからこそさらに強敵となるモンスターを倒すためにスキルを覚えることが出来る品々が売られることを店員はよく理解していた。代金を支払い店を後にする。

「ねぇ、君」

道を歩いているとビースト女とエルフ女二人組が話しかけてきた」

「僕に何か用事ですか」

「美少女と見まごう外見にその服装、その幼さから君がピュアブリングね」

「そうなのね。ようやく接触できたわ。お姉さんたちに付き合わないかしら」

すぐさま両脇に移動しがっちり腕を組む。不味い、この女達にはもう色欲が見えていた。前回絡んできた女らと同じだ。

「早速交流を深めましょう」「そうしましょう」

彼女達は上級な料理店に迷いなく入る。早速注文をする二人。

(まぁ、美人?と食事をしながら話し合うのも経験だよね)

僕には種族間における容姿の美醜など何一つとして興味はないがお話ぐらい付き合ってもいいとは判断した。彼女らの本命はもうすでに分かっているがあえて聞かない。彼女らから色々な話を聞かれる

「討伐実績はどのぐらいなのでしょう」

「オーガとヘッドハンター、ボーン・ジェネラルなどを少々」

「大変に素晴らしいですわ」

「お褒め頂きありがとございます」

「大変に稼いでおられるのでしょう」

「まぁ、生活に不自由しない分には」

「冒険者プレートのランクは」

「緑光玉級です」

「はぁー、噂は本当だったのですね。将来有望ですわ」

あれやこれやとこちらのことを聞き時には持ち上げる言動、別にそれがどうしたものなのか、僕の本音はそれだけだがこうした処世術は外の世界で生きる女には必須なのだろう。お茶を時々飲みながら返答する。

「で、男性なのですね。それでしたら色々と関心があるのでは。特に女の子のことについて」

いよいよ本題に入るらしい。

「興味ありますよね」「知らないことは損ですわ」

「まぁ、人並みには。でも、僕の年齢ではちょっと距離感が」

言葉を濁すと彼女達の目が輝き始める。

「だったら、短い間だけでも恋人にならない」「お姉さん達が女の子のことを色々教えてあげるわ」

これがどう意味なのかは分かっているため僕としては仲間に女性が多いためより深く親密になれる切っ掛けを学べると思えば双方に損はないな。だが、最後までは付き合わない。一線を越えるつもりはない、今の所誰が来ようとだ。

「よろしくお願いします」

ちょうど注文してた料理が持ってこれらご機嫌で堪能する。その代金は全部こちら持ちだ。その後服屋とかで服を試着して買わされたり娯楽場という名のカジノとかにも連れていかれた。両脇にいる彼女らを喜ばせるため誰にも分からないようにイカサマを使う。

「21」

「くっ」

親一人と子が複数のカードゲームだ。僕はスキル《強運》などを使い一方的に勝つ。相手も色々対策をしているようだが穴があることを見抜いた僕は馬鹿なほどに勝ち続ける。あまりにも勝ち続けるためサクラが入れ代わり立ち代わり変更されるが結果は僕の圧勝だ。さすがにこれ以上はヤバいので切り上げて店の外に出る。

「えへへっ、実に気分がいいです」「これはちょっとありえないですね」

ユクール銀貨金貨が詰まった大袋を複数抱えながら連れの女たちは「これはありえないでしょ」そう思うしかないほどに勝ちまくった僕に対して明言した。

「「愛人扱いでもいいから傍に置いてもらえませんか」」

本音を漏らした。

強い男に惹かれるのは女の性、それが中身も良いと分かれば早い者勝ちだ。二人は露骨に体を寄せてくる。

その後は色々な場所を見て回り談笑し身を飾る品々を買ったりと、楽しい時間だけが過ぎていく。

そして、暗闇が訪れ当然のごとく中級ぐらいの宿屋まで目前にすると。

「恋人ごっこはここでおしまい。勉強させていただきありがとうございました」

「?!」

楽しい時間の終わりを告げる。

「なんでよ。上位種族じゃないとか。好みに合わないとか言わせない自信があります」「私達はこれでも器量や容姿については自信があります。それなのにどうして」

女の方から誘っているのに拒否するなんて。彼女達からすれば「そんなことなどありえない」だろうね。

「お二人には何の不満もないよ。男を立てる術も熟知しご機嫌を取り誘導し双方に不利益が生まれない世の中を渡る女性の魅力と生き方、存分に楽しませてもらったから。これで満足出来ない男はほとんどいないだろうね」

「「だったらなんで!」」

二人は表情を激変させて問うてくる。

「僕という存在に一時の安らぎを求めるのはいい。傍にいればいつ死ぬか分からない男に頼るのは人生という長い道を歩くには不都合が多すぎるしそいつのせいで不幸になる女は見たくない」

つまり、長い道のりを歩ける安全安心幸せを噛みしめられる生涯のパートナーを出来る限り早く見つけて欲しいから。一時の快楽に任せて破滅するのは悪役だけでいい。僕が言うべきことはそれだけだ。

僕の立場とて未来永劫じゃない。冒険者と愛の語らいをする女達というのは切り離せないが彼女達には普通に幸せになって欲しいから。借金漬けにされ使い潰される存在にはなって欲しくない。

だから、可能な限り甘く幸せな夢を一時でも与えた。手の中にあるそれが僕から支払う代金だ。そこに性行為は入ってない。別にそれが悪いわけではないがそのつもりはこちらにはない

「普通に幸せを与えてくれるパートナーを探せと」「あなたは冒険者でしょう。なのに普通を求めろというのですか」

彼女達はそこで自分達の手の中にあるユクール金貨銀貨の大袋のことを思い出す。これだけあれば季節が半週出来るほどに生活には困らないから悪い連中とも付き合わなくていいはず。

手の中にあるのは幸せを掴むための資本金だ。

そうして、彼女達を置いてきぼりにして立ち去る。



彼がこちらを振り返ることなく去っていく。

「うーん、目的の達成まであと一歩だったんだけど」「こちらのことをちゃんと見ていた上で最後の壁が強固に立ちはだかったわね」

二人はあと一歩の所で大物を逃がしたことが悔しくて仕方なかった。ピュアブリングのことはもう知らない方がおかしいほどの有名人だ。滅多に外でしかも単独で見かけないのでこれは好機だと確信し近づいたら中身は想像を遥かに超えていた。

こっちはありったけを振り絞り男を立てたことについては素直に喜んでいたし女がどのような態度を示せば喜ぶのかもよく分かっていた。私達は本気で愛人になりたかった。

でも、最後の一線を越えようとした時に放った彼の言葉の意味を考える。

『普通に生きられるって無自覚に幸せなことなんだよ』

一時の気の迷いで男に縋り付いては後でどんな酷い目にあわされるのか分からないから。傍に置く男はちゃんと選べ。年下のくせに生意気な、それを笑えない雰囲気を感じた。

手の中にある確実な重さのある大袋を抱きしめる。

「彼の言うようにクズな男に後先考えずに抱きしめその後始末なんてやりたくないですね」「同感ね。そんな男どもなんてこっちから願い下げよ。大勢見て来てるからね。彼の言葉は間違いなく私達の幸せを望んでいたわ」

二人は男にただ甘えるだけの女ではない、慎重に相手を吟味し近づいて双方に利益を出してたからだ。だからこそピュアブリングという大物に是が非でも近づきたかったが最後はこうなってしまった。

すでに同族の女達は彼に狙いを定めており何とか接触するチャンスにありつこうとしていた。あの手この手を使い彼の仲間らに接触しているが反応は芳しくない。

彼のコテージに無理矢理侵入しようとしてもパーティ以外は入れないのか弾き飛ばされてしまう。本人の知らない場所で欲望を叶えたい同類は相当な人数になっていた。

最後は彼に逃げられてしまったが逆に短時間でも彼の中身が自分らの想像を超えた本物であることが分かっただけで大収穫だろう。増々持って捕まえたい思いが強くなる二人だった。
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